海外60ヵ国に拠点を持つグローバル企業「横河電機」が目指す”多様性”

公開: 更新: テレ東プラス

sdgs_20210708_01.jpg横河電機の奈良寿社長(右)と小谷真生子キャスター

環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいる。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」だ。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせた。

6月20日放送の番組では「ジェンダー」「多様性」について、先進的な取り組みを行う企業として、海外60ヵ国に拠点を構え、世界展開する計測、制御機器の大手「横河電機」の奈良寿社長を番組MCの小谷真生子キャスターが直撃。ジェンダーをはじめとするダイバーシティについてのトップの考えを聞いた。

女性社員のキャリアアップの環境作り

世界中で従業員は約1万8000人を抱える横河電機にとって多様性、ダイバーシティは非常に重要なポイントだ。奈良社長は、組織のジェンダー平等を行う意義について「女性は男性と比べ発想が違う部分があり、あっと驚く時がある。化学反応を起こすと意味でメリットがある」と話す。

一方で、日本社会全体のジェンダー平等はまだまだ遅れている。小谷キャスターは日本企業のジェンダーへの取り組みについて「女性には家事や育児、出産などのハンディキャップがある。そもそものスタートラインが日本の場合まだ全然整備されていない」とその遅れを指摘。奈良社長も「まだまだ企業に委ねているところがあるが、そういった部分を整備しないと人によっては踏ん切りがつかない。女性が働ける環境、ステージが用意されてない」と同意した。

横河電機では年に1回、女性社員限定のパネルディスカッションを開催し、女性社員のキャリアアップの環境作りに取り組んでいる。奈良社長によれば「以前は管理職になるのをためらう声もあったが、今は責任あるポジションで、力を発揮したいという気持ちの人が増えてきている」と効果は大きいという。

サウジアラビアでは現地の女性だけの部署も

sdgs_20210708_02.jpgサウジアラビアの拠点では現地の女性だけで構成した部署を作っている。

日本企業の一角としてSDGsをどう訴えていくのか。横河電機では2050年に向けて目指す社会の姿を、独自のサステナビリティ目標として設定している。拠点の一つであるサウジアラビアでは、現地の女性だけで構成した部署を作るなど、事業を通じたSDGsに取り組んでいる。

「企業理念には、計測と制御と情報により持続可能な社会の実現に貢献すると掲げている。我々からすると計測、制御、情報というのは、社会を営む、産業を営む上でも共通の基軸だと考えている。それを拡大して社会に貢献していきたい」

自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードする。企業としての持続性を確保するため、横河電機では環境の変化に合わせて経営構想を見直している。

測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす

sdgs_20210708_03.jpg横河電機の奈良寿社長

日本特有のメッセージをSDGsに絡めて発信していくためにはどのような課題があるのか。小谷キャスターからの質問に、奈良社長は次のように答えた。

「人や社会、自然を包含した形で一番よい状態にしたい。皆さんを幸せにしたいと思っている。利他の心、日本人がもともと持っている人間的な部分はとてもマッチしている。今の世界は例えばグローバルとローカル、人とAIと二極化している。そういったものをうまく重層的につなぎ合わせる、最適化する部分は得意だと思っている」

横河電機では、これまでのSDGsの流れをさらに加速させるため、改めて一企業の存在意義(パーパス)を問い直し「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす」とのメッセージを打ち出した。

「測る力は我々の原点である、物事を測り、現在の状態を捉え、新たな価値を見出していく。つなぐ力は、様々な産業とお客様との信頼関係を築いていく。測る力とつなぐ力をベースに、人と地球が共生する未来を叶えたい」

奈良社長はこれこそが横河電機のビジネスだと語る。

「一つ一つ単体のシステムは稼動しているが、それらを繋いで新たな価値を生み出す。この概念を『システム・オブ・システムズ』という。この概念自体がエコシステムになっていくと考えている」

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