俳優が作品をプロデュース「流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたい」

公開: 更新: テレ東プラス

ドラマ24「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」(毎週金曜深夜24時12分)で、初のドラマプロデューサーを務める、俳優・柄本時生さん(出演)、今井隆文さん(出演・脚本も担当)インタビュー【後編】。【前編】はこちら!

【動画】“幼馴染3人で起業”するも会社をたたむことに

普段の関係性と登場人物


俳優が作品をプロデュース「流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたい」ドラマ24「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」第3話より

――“掃除屋”を演じるメインキャスト、賀来賢人さん、柄本さん、落合モトキさんのインタビューで、柄本さんは配役には明確な意図があったとお話しされていました。そこにはもうひとりのメインキャストで“ルポライター”役の岡田将生さん含め、4人の普段の関係性も反映されているのですか。

柄本「そうですね。ただ、関係性を作品に落とし込んだつもりはないです」

今井「途中で“そういえば、4人はこういう感じだ”って気づいたんだよね」

柄本「そう。人間関係の位置付けも、僕の中では完璧にできていて、“おのずとそうなるだろうな”というのは正直ありました。例えば、一平(落合)が後輩で、大助(賀来)と裕ちゃん(柄本)を繋ぎ止めるのも一平以外いないと。それだけで十分なんです。一平が後輩で、演じるのが“落合モトキ”というだけで、関係性の図式は完璧にできあがる。だから、そういうことはあまり意識しなくてもできていくものなんだな、と」

俳優が作品をプロデュース「流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたい」ドラマ24「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」第3話より
――今井さんは脚本も担当されていますが、登場人物はあて書きの部分もあるそうで。どんなところを意識していましたか?

今井「ナチュラルに会話できるようにというところは、すごくこだわりました。撮影が始まって、現場で3人が『この方がいいんじゃない?』とか話し合ってくれているのを見るとうれしくて。作品のことを考えてくれてるし、どんどんよくなるから“ありがとう”と思ってます。先日も、とあるシーンでモトキくんが『この後にこういうシーンがあるから、ここでもこういうシーンを入れた方がいいんじゃないですか』と言ってくれて。『それ、めっちゃ面白いから入れよう!』ということもありましたし」

柄本「あったね!」

今井「撮影初日、掃除屋の3人、大ちゃん(賀来)、裕樹(柄本)、一平(落合)が揃った時も、岡田くんが演じるルポライターの蒼が出てきた時も、“あぁ、大ちゃん(賀来)だ!裕ちゃんだ!一平だ!”、“あぁ、蒼だ!”って思っちゃって。 “やっぱり役者さんってすごいな”と感動しましたね、僕も役者ですが(笑)」

俳優が作品をプロデュース「流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたい」ドラマ24「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」第2話より

――お2人とも“役者さん”ですが(笑)、俳優が作品をプロデュースすることが増えている中で感じていることはありますか?

柄本「環境の変化は感じますね。僕らより上の世代だと山田孝之さんがされていますが、僕にとっては賀来くんがプロデュース(ドラマ『忍びの家 House of Ninjas』Netflix)したことが大きかった。身近な人であそこまでやり切った人が1人いることによって、自分の中で勇気が持てた、“やっていいんだ”と思えました。そういう意味では(役者がプロデュースすることを)認めていただける環境が増えるのはいいことなんじゃないかな、と。僕自身、今回、楽しみですし、これからもクリエイティブなものがどんどん生まれるんじゃないかなと期待しています」

今井「みんな“やれない”と思っているだけだから、やればいいですよね。“僕にはできない”という人もいますが、やってみると作品との向き合い方も変わるだろうし、人を巻き込んでどんどんやればいいと思います。今までと同じではない作り方もやっていかないと、同じような作品が量産されていくだけになる。映画は資金がないと作れない。けど、テレビドラマには枠がありますから。そこに流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたいという意味でも、今回チャレンジングなことをさせてもらえるのはありがたいですし、楽しみです」

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次回、ドラマ24「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」(毎週金曜深夜24時12分)第3話は?

俳優が作品をプロデュース「流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたい」
第3話
木ノ本大助(賀来賢人)・今井裕樹(柄本時生)・奥田一平(落合モトキ)は、車中でいつものようになみえ(濱田マリ)・かおる(光石研)の地元FM番組を聞きながら、フィリピンパブ「サラマッポ」の清掃に向かう。「サラマッポ」は、ひどく雑然としていたが、そこには理由があった。違法な連れ出し行為…つまり売春をあっせんしていたことが発覚して閉店に追い込まれたのだ。

俳優が作品をプロデュース「流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたい」
そんな事件の影響は店員にも及んでいた。錦糸町育ちのミカ(矢野あゆみ)は店の裏の顔を知らぬまま働いていたが、実は母親がフィリピン人で日本国籍がない。この一件で不法就労がバレてしまい、母娘共にまもなく国へ強制送還されることになった。その事実を幼馴染の喫茶店「デルコッファー」店長・高橋心音(さとうほなみ)に打ち明けるが、やがて事態は思わぬ方向へ――。

俳優が作品をプロデュース「流れ作業が起きないよう、釘を刺してみたい」
一方その頃、坂田蒼(岡田将生)は駄菓子屋のまっさん(星田英利)に会いに行っていた…。

【プロフィール】
柄本時生(えもと・ときお)

1989年10月17日生まれ。東京都出身。2003年、オムニバス映画 Jam Films S「すべり台」(2005年公開)で俳優デビュー。ドラマ「Q10」(日本テレビ系)、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(NHK)、「ひねくれ女のボッチ飯」(テレ東)、「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、映画「俺たちに明日はないッス」(2008年公開)など出演作多数。本作「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」(テレ東系)がドラマ初プロデュース。
Instagram:@emototokio1989

今井隆文(いまい・たかふみ)
1985年7月27日生まれ。東京都出身。2007年「劇団プレステージ」に入団、リーダーとして、出演のほか、数々の作・演出を手掛けた後、2019年に退団。以降も、ドラマ「アンナチュラル」(TBS系)、「何かおかしい」(テレ東)、舞台「いつぞやは」、映画「アナログ」(2023年公開)のほか、ドラマ「パリピ孔明」「婚活1000本ノック」(ともにフジテレビ系)など、舞台・映像に幅広く出演。2020年にソロプロジェクト「パーマネント」を立ち上げ。また、ドラマ「忍びの家 House of Ninjas」(Netflix)では 原案に参加している。
X:@meganpa
Instagram:@imataka_tenpa

(取材・文/高本亜紀)