【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓

公開: 更新: テレ東プラス

1995年の渋谷を舞台にしたテレビ東京開局60周年連続ドラマ ドラマプレミア23「95」(毎週月曜夜11時6分)。ドラマの撮影裏話とともに1995年を考察する短期集中連載、最終回は【1995年の音楽②】。

前回に続き、本作を手掛ける城定秀夫監督の話を交えながら、1995年の音楽シーンを振り返る。さらに、ドラマ最終回に向け、こだわりのアクションシーンなどクライマックスの見どころについても聞いた。

【動画】秋久(髙橋海人)と翔(中川大志)が激しい殴り合い!?

カラオケの普及で音楽が“聴く”ものから“歌う”ものへ


1990年代に“J-POP”が活気を帯びメガヒットが生まれるようになった背景の一つに、1980年代中盤から増え始めた“カラオケボックス”の普及が挙げられる。音楽が“聴く”ものから“歌う”ものへと変わったのだ。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第3話より

劇中でも、Qはカラオケボックスでアルバイトを、星学ボーイズや女子高生たちがカラオケで歌うシーンも度々登場する。

劇中での使用曲には「95年リリースの曲だけにこだわらず、当時の高校生がCDで聴いたりカラオケで歌っていたであろう曲」、加えて「令和の高校生でも何となく知っている曲であること」を意識したと城定監督。

ギャルの加奈(浅川梨奈)、恵理子(工藤遥)がカラオケで歌っていた広瀬香美の「ロマンスの神様」(1993年)、前回ふれた音楽プロデューサー・小林武史のユニット“マイラバ”ことMy Little Loverの「Man & Woman」(1995年)。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第4話より

姉の危機から目をそらしヘッドフォンで耳をふさいだQが大音量で聴いていたBOØWYの「Marionette -マリオネット-」(1987年)、仕返しのタイマン勝負に挑んだQの勝ち鬨をあげみんなで熱唱したCHAGE and ASKAの「YAH YAH YAH」(1993年)。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第6話より

母親の支配に辟易する翔が缶ビール片手に街を歩きながらハミングするTHE BLUE HEARTSの「リンダ リンダ」(1987年)。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第6話より

チームがバラバラになる中、かつて通っていた道場に再入門し中国拳法に打ち込むQが聴いていたMr.Childrenの「CROSS ROAD」(1994年)など、現在も第一線で活躍するアーティストの楽曲や、カラオケの定番曲なども多く使われている。

また、当時はテレビの影響力が大きく、人気ドラマは視聴率30%を超え、主題歌も大ヒット。小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」(1991年「東京ラブストーリー」主題歌)、CHAGE and ASKA「SAY YES」(同年「101回目のプロポーズ」主題歌)、米米CLUB「君がいるだけで」(1992年「素顔のままで」主題歌)、CHAGE and ASKA「YAH YAH YAH」(1993年「振り返れば奴がいる」主題歌)、藤井フミヤ「TRUE LOVE」(1993年「あすなろ白書」主題歌)、Mr.Children「Tomorrow never knows」(1994年「若者のすべて」主題歌)、DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」(1995年「愛していると言ってくれ」主題歌)などダブルミリオンが続々と生まれた。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第5話より

第5話の花火を見ながらQとセイラの距離がグッと近づくシーンで使われている国分万里の「ポケベルが鳴らなくて」(1993年)も、同名ドラマ(日本テレビ系)の主題歌。当時、普及しつつあった“ポケベル”(ポケットベル)を冠したドラマと主題歌は、時代をいち早くとらえ話題を呼んだ。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第8話より

第2話で、Qが初めて秘密のたまり場を訪れた日にマルコ(細田佳央太)たちがカラオケで熱唱したWANDSの「世界が終るまでは...」(1994年)は、アニメ「SLAM DUNK」(テレビ朝日系)のエンディングテーマ。WANDSのほか、B’z、ZARD、T-BOLANらが所属する音楽マネジメント会社ビーイングは、ドラマやCMのほかアニメなどとも積極的にタイアップし、ヒット曲を連発。上記の渋谷系、小室ファミリーとともに、“ビーイング系”と呼ばれるアーティスも1990年代の音楽シーンを担った。

この他にも、バブル崩壊、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件など、先行きが見えづらい世の中で、KAN「愛は勝つ」(1990年)、槇原敬之「どんなときも。」(1991年)、大事MANブラザーズバンド「それが大事」(1992年)、ZARD「負けないで」(1993年)、岡本真夜「TOMORROW」(1995年)などの応援ソングがヒットしたのも1990年代。

1980年代後半から続くバンドブームの流れで、X JAPAN、LUNA SEA、GLAY、L'Arc~en~Cielなど“ヴィジュアル系”と呼ばれるバンドも台頭。アニソン、日本語ラップといった、それまでアンダーグラウンドにいたアーティストが日の目を浴びるようになった時代でもあった。

全5回の連載で紹介してきた1995年前後は、ファッションから音楽から全てが“混とん”とした、何でもアリのミクスチャーな時代。若者たちは、きたる未来に期待するのと同じくらい、急激に変化する時代の中で戸惑っていた。Qのように悩み、翔のように見えない何かに怒りをぶつける者もいたことだろう。

“エアマックス狩り”など暴力行為が横行していた当時の渋谷で「実際にカツアゲされたことがある」という城定監督は、「みなさんからドン引きされた第3話の終わりから第4話以降ヤバイ話が続いていますが、そのヤバさを底上げしてくれるのも和らげてくれるのも音楽。楽曲にはいろんな面で助けられています」と、劇中で流れる“音楽”が持つ力に改めて感謝する。

クライマックスの見どころはアクション


【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第4話より

最後に、クライマックスの見どころをうかがうと「アクション」と。中盤以降、バイオレンスなシーンも多かったが、「第9話、第10話では、今まで積み重ねてきたリアルに寄せたアクションシーンとは違う娯楽的な要素もあります。Qが復讐を果たした第4話のアクションは泥臭いものでしたが、話が進むにつれカッコよく決まるアクションも取り入れていきました。髙橋さん、中川さんをはじめ、みんな撮休(撮影のない日)を返上して練習してくれました」と、キャスト陣も気合を入れて挑んだ。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第8話より

キレイに中国拳法の技を決めるQ、ひたすら強い翔、コミカルに闘うマルコ、歯止めが利かなくなるレオ(犬飼貴丈)、ジム通いで鍛えたボクシングを披露するドヨン(関口メンディー)など、シーンによって、キャラクターによって「さまざまな戦い方をしている」とのことなので、期待も高まる。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第9話より

クランクインを前に、早見和真による原作小説を読み返して「(星学ボーイズは)1970年代を生きた全共闘世代に近い感覚なのかな」と想像したというが、1995年は全共闘の時と違って闘う相手がボヤっとした時代。「勧善懲悪でもなく、時代が悪いから彼らはこうなった、と言い切れるわけでもなく。大人が汚いという取り方もできれば、結局は大人が正しかったという取り方もできる、多角的な視点でドラマを紡いでいこうと考えました」と城定監督。

【ドラマ「95」連載 最終回】髙橋海人、中川大志らが撮休返上でアクション特訓ドラマプレミア23「95」第9話より

さらに、Qたちが第1話で口にした「“ダサい大人”になりたくない」にしても、「何がダサいのか? 抽象的でわからない。見る人それぞれの解釈にゆだねたラスト。スカッと終わる話でもないし、人によってはモヤっとするかもしれません」と続ける。ラスト2話、果たしてどんな結末を迎えるのか……?

ドラマ「95」短期集中連載
第1回は、【ドラマ「95」連載①】なぜ渋谷が若者文化の発信地となったのか?
第2回は、【ドラマ「95」連載②】「布の面積少なっ!」キャストも驚くコギャルファッション
第3回は、【ドラマ「95」連載③】1995年 若者のトレンドは「キムタク」「ポケベル」「エアジョーダン」
第4回は、【ドラマ「95」連載④】コギャルは茶髪に細眉、ロン毛男子が増殖
第5回は、【ドラマ「95」連載⑤】1990年代の音楽シーンを席巻した“小室ファミリー”とオシャレな“渋谷系”

今夜放送、テレビ東京開局60周年連続ドラマ ドラマプレミア23「95」(毎週月曜午後11時6分)第9話は?

第9話
秋久(髙橋海人)と牧野(三浦貴大)の間に置かれた1つの銃。緊張感漂う中、銃を受け取らない秋久に牧野は銃口を向ける。思わず縮こまる秋久を見てからかう牧野は秋久をさらに気に入り、行きつけの料亭に連れていく。渋谷の新たな一面を知り驚く秋久。死んでいく渋谷を変えるために“お前と手を組みたい”そう語る牧野が、出会った頃の翔(中川大志)と重なった。そして秋久はセイラを守るために牧野にある勝負を持ちかける。

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