<コロナ後遺症>いつ治る?気になる症状と脳への影響を解説:主治医の小部屋

公開: 更新: テレ東プラス

長寿番組「主治医が見つかる診療所」(月曜夜8時から)は、いま話題の健康法から、いざというときの医師・病院選びのコツまで、医療に関するさまざまな情報をお届けする知的エンターテイメントバラエティ。

今回、WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは「コロナ後遺症」について。収束に向かっている印象が強い新型コロナウイルス感染症だが、いまだ後遺症に悩み、漠然と不安を感じている人も。そこで正しく理解して対処するために、同番組のレギュラー・齋田瑞恵医師に症例や「コロナ後遺症」の現状について教えていただきました。

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半年~1年で回復に向かうケースが多い


Q: 40代女性です。3カ月ほど前に新型コロナウイルスに感染しました。その後、ストレスからか気分が沈んだ状態が続くようになり、咳も止まらないので病院に行ったところ「コロナ後遺症」と診断されました。まだけん怠感があり、咳も少しは治まりましたが続いている状態です。後遺症はどのくらい続くものなのでしょうか。また、コロナ後遺症は「脳の萎縮」が原因ともいわれていますが本当でしょうか? もし治らなかったら、と思うと不安です。


――まずは「コロナ後遺症」の定義について教えてください。

新型コロナウイルス感染症の罹患(りかん)後症状、いわゆる「コロナ後遺症」にはさまざまな定義がありますが、基本的には新型コロナウイルス感染症にかかった後、はっきりした原因がないのに日常生活に支障が出る状態がしばらく続くことをいいます。また、世界保険機構(WHO)では「症状が少なくとも2カ月以上続き、他の病気の症状として説明がつかないもの」などとしています。

――相談者は咳が止まらない、気分がすぐれないとのことですが、代表的な症状は?

関節痛や筋肉痛、息切れや睡眠障害などさまざまですが、代表的なのは疲労感・倦怠(けんたい)感。あとは頭がぼんやりして思考や集中が困難になる「ブレイン・フォグ(脳の霧)」など。初期の新型コロナ株は、咳嗽(がいそう、長引くせき)が主な症状でしたが、最近の変異株は、味覚障害や倦怠感、脱毛、ブレイン・フォグといった症状が多い印象です。

――後遺症はどれくらい続くのでしょうか。

漢方で治療した例でいくと、倦怠感やブレイン・フォグなど病因が特定しにくい病態の場合、だいたい半年から1年続くようです。半年ほどすると日常生活に困難がなくなり、休職されていた方が復職するケースも多いですね。味覚障害の場合は3カ月ほどで大半の人が症状が落ち着いていくといわれています。

現在、後遺症の原因ははっきりしていないため、確実に治るというような治療法は確立していません。そのため、それぞれの症状に応じて処方を変えているのが現状です。

後遺症を疑う前に受診して原因を突き止めよう


記事画像画像素材:PIXTA

――相談者は脳の萎縮を恐れているようです。

後遺症によって脳の萎縮があるのかといえば、可能性はないとはいえませんが、現時点では、はっきりと解明されていません。

認知機能が著しく悪くなってきたと感じるようでしたら、まず脳の専門医に相談を。脳に問題がなければ、そこで初めてブレイン・フォグなどの可能性が出てきます。

これは、コロナ後遺症の他の症状にも当てはまる話です。関節痛や筋肉痛、せきやたん、息切れや下痢、腹痛、睡眠障害などは、新型コロナに感染しなくても起こることはあります。はじめからコロナ後遺症が原因だと決めつけず、まずは病院へ行き、いま治療法が明らかになっている病気を見つけることが先決です。

――改めて感染を防ぐためにどんなことを心がければいいでしょうか。

事前にワクチンを打っておくことで、後遺症の罹患率を減らすといった研究もされています。とはいえ、予防接種により減らせるリスクは、症状などによって異なるといわれるので、必ずしも「ワクチンを打てば大丈夫」とは言い切れません。まずは手洗いとかうがいをする、体をしっかり温めるなど、今後もインフルエンザ同様に、新型コロナウイルス感染症や風邪にかからない対策を徹底していくことが大事です。

―― 齋田先生、ありがとうございました。

【齋田瑞恵医師 プロフィール】
順天堂大学医学部(東京都文京区)総合診療科学講座准教授、
順天堂病院総合診療科医局長。
公益財団法人 星総合病院(福島県郡山市)総合診療科。
日本内科学会認定内科医、総合診療専門医、日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医、日本東洋医学会会員、日本医師会認定産業医、日本総合健診医学会 ・日本人間ドック学会人間ドック健診専門医。
西洋医学と漢方を融合させ、女性ならではの総合診療に定評。コロナ後遺症、ワクチン後遺症の治療にもあたっている。一番の関心ごとは鉄欠乏症。もともと地球は鉄の惑星という視点から人類を救いたいと願っている。2女1男を持つワーキング・ウーマン。

※この記事は齋田瑞恵医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った齋田先生も出演する、次回の主治医が見つかる診療所は、【観光YOUが駆け込む新宿の病院&病気の早期発見丸わかり】!

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【歌舞伎町YOUが殺到】
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どうぞお楽しみに!