<危険!>男性の貧血の原因は?予防と改善策を専門医が解説!:主治医の小部屋

公開: 更新: テレ東プラス

長寿番組「主治医が見つかる診療所」(月曜夜8時から)は、いま話題の健康法から、いざというときの医師・病院選びのコツまで、医療に関するさまざまな情報をお届けする知的エンターテイメントバラエティ。

今回、WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは「男性の貧血」について。相談者は体力づくりに励んでいるものの最近、貧血ぎみとのこと。貧血といえば女性がなりやすいというイメージですが、男性がなる原因とは? 当連載初登場で、同番組のレギュラー・齋田瑞恵医師は順天堂病院総合診療科医局長で「生活習慣病予防食」などの栄養学にも精通。「一番の関心事は鉄欠乏性」ということで、さっそくアドバイスしていただきましょう。

貧血が慢性的に続く場合はすぐ受診を!


Q: 30代男性です。半年ほど前から健康のために毎日ジムへ通って筋トレも欠かさずに頑張っています。でも、最近貧血ぎみです…。プロテインなどで鉄分も補充しているはずなのですが。男性が貧血になる原因が気になります。改善するためにおすすめの食事(あまり料理は得意でないので)などを教えてください。

──そもそもなぜ鉄分が不足すると貧血になるのでしょうか。

鉄分は、血中で酸素を体の隅々まで運ぶヘモグロビンの主成分。不足すれば酸素が全身に行きわたらず、倦怠(けんたい)感や息苦しさが症状となって表れます。これが鉄分不足で貧血が起こるメカニズムです。また貧血だけでなく、体の代謝が落ちることから気力が下がり、うつのような症状が出ることもあります。

──相談者の症状もやはり鉄分不足が原因なのでしょうか。

実は月経がある女性に比べて、男性はケガなどで出血をしない限り、貧血になるリスクはかなり低いのです。もちろん鉄分の一定の消費・供給は誰にもありますが、女性のように体内で大きな動きがあるわけではありません。

ですから男性で体がだるい、めまいがするなどの症状が慢性的に続くのであれば、別の病気を疑うことも大事です。同じ症状の男性が、大腸のポリープから出血していたことに気づかず、がんの発見が遅れたというケースもあります。貧血はいずれ治るだろうと自己判断し、健康診断で便の検査をしていなかったためです。

ただ、相談者の方は頻繁に運動をしているようなので、運動による鉄の消費量が増えることや汗などと共に鉄の排出量がふえることで起こる「スポーツ貧血」の可能性もあります。こちらは、あくまで一時的なものですので、治療の必要はありません。

毎日ジムに通っているほど元気なら、ただのスポーツ貧血かもしれません。とはいえ、手遅れになる前に一度、便の先血反応の確認や、尿から血が漏れていないかなどのチェックをおすすめします。

「レバニラ炒め」や「鉄入り」乳製品でこまめに鉄分補給を


記事画像画像素材:PIXTA

──そもそも日本人は、鉄分の摂取量が少ないという話を聞いたことがあります。

そうですね。海外では、小麦など日常生活で口にするものに鉄分を添加されているものが多く販売されていますが、一方、日本ではそうした商品は多くありません。ですから意識して鉄分を摂取するのはとても大切なことです。年齢によって摂取すべき量は変わりますが、30代の男性なら1日7.5ミリグラムの摂取を厚生労働省では推奨しています。

──鉄分不足を補うためには、どんな食事を心がければいいのでしょうか。

鉄分はアサリやシジミ、ヒジキやのり、赤身の肉や魚など多様な食品に含まれていますが、野菜や豆類などの「植物性食品」よりも、肉や魚などの「動物性食品」のほうが吸収率は高いため、後者を優先して摂取するといいと思います。特に、レバーは優等生で、レバニラ炒めなどがおすすめです。最近ではインスタントのアサリ汁やシジミ汁なども、コンビニエンスストアや量販店などで簡単に手に入るので、普段の食事に加えるのもいいと思いますよ。

あるいは、お茶を飲むときに鉄瓶を使う、鉄鍋で調理をする、「鉄玉」をやかんや鍋などに入れるなどして、普段口にする食材に鉄分を加える方法もあります。

──近年、鉄分を補う食品も種類が増えてきていますよね。

鉄分の重要性の認知が向上している表れだと思います。医薬品として病院で処方する鉄剤とは別に、市販の乳製品の中に、体に吸収されやすい状態の鉄が入ったものもあります。「鉄入り」の牛乳やヨーグルトなどもおすすめです。ぜひ意識的に摂取してほしいと思います。

――齋田先生、ありがとうございました。

【齋田瑞恵医師 プロフィール】

順天堂大学医学部(東京都文京区)総合診療科学講座准教授、
順天堂病院総合診療科医局長。
公益財団法人 星総合病院(福島県郡山市)総合診療科。

総合診療専門医、日本内科学会認定内科医、日本病院総合診療医学会認定医、日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア指導医、日本東洋医学会会員、日本医師会認定産業医、日本総合健診医学会 ・日本人間ドック学会人間ドック健診専門医。

『幸せなおばあちゃんを増やそう!』を目標に、総合診療医の育成に注力している。1男2女を持つワーキング・ウーマン。子育て経験を活かした女医ならではの診療に定評。日々の診療では西洋と東洋医学の融合したコロナ後遺症外来、予防接種の啓蒙、生活習慣改善なども行っている。

※この記事は齋田瑞恵医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った齋田先生も出演する、次回の主治医が見つかる診療所は、【小さな村にYOUが殺到クリニック&冬の健康新常識】!

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YOUが殺到!
【小さな村にできたクリニックに密着】
人口9000人の長野県白馬村は、スキーシーズンになるとパウダースノーを求めて外国人が殺到する。そんな村に2カ月前にクリニックが誕生したのだが…予想以上に外国人がやってきて病院内は大変なことに! スキーで無茶したYOUたちのケガが続出し松葉杖が足りなくなったり…。元バックパッカーだったという女性院長がたった1人で切り盛りする開院間もないクリニックに密着した!

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