石、木材、衣服などの廃棄物に“新たな価値”を!未来にやさしい空間をつくる“エシカルデザイン”が大集結!

公開: 更新: テレ東プラス

「テレ東プラス」は、「エシカル特集」の一環として、2023年11月に開催された「ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2023 」(主催:株式会社船場)をリポート! 「エシカルデザインについて、一緒に悩み、考えたい。」共創ビジネスの最前線を取材した。

船場▲「SHARE GREEN MINAMI AOYAMA」にて開催

幅広い分野で空間づくりを手掛ける「株式会社船場」は、短期間で大量の廃棄物が発生する内装業界において、サプライチェーンを再構築し、“つかう資源”と“すてる資源”を循環させ、”新たな価値”を生み出すエシカルデザインを推進。「空間づくり」を通じた社会課題の解決を目指し、業界を超えた多種多様な分野の専門家と、「未来にやさしい空間」の創造、資源循環型社会の共創に取り組んでおり、2021年より「ETHICAL DESIGN WEEK」を開催している。
船場が推進するエシカルデザインの3つのテーマは以下だ。

1) 素材から未来を再考する「Ethical Material(エシカルマテリアル)」

船場
「地球環境」「資源循環」「人・社会」「意匠・経済」の4つの視点で価値を持つ素材を、「船場」ではエシカルマテリアルとして収集。約100社の建材・原材料メーカーから情報を収集し、使い終わった後のリサイクル方法や、再生資源の活用方法を研究する活動を行う。

2) 未活用資源の可能性を拓く「re product(リプロダクト)」
広葉樹の曲がり木など、製材されない未利用材や経済活動で発生する産業廃棄物など、社会で価値化されていないモノを“未活用資源”と定義し、これらをアップサイクルする製品の開発、販売を行う。

船場▲広葉樹の曲がり木と石材の端材を組み合わせたテーブル。

ウッドチップになったり、廃棄されてしまったりと、社会で価値化されない資源を活用し、オリジナリティあふれる家具に。「re product」の取り組みの一環だ。
※制作プロセスはこちら

3) 資源を無駄にしない「Zero Waste(ゼロウエイスト)」

船場
自社設計の現場において排出される廃棄物の現場分別に注力し、独自に考案した重点8品目ごとに現場で分別し、一次リサイクル率(現場での分別排出及び中間処分会社での分別処理率)の全社平均90%以上を実現。中間処理以降のトレーサビリティにも取り組み、資源循環の仕組みづくりを全国で構築している。

今回のイベントでは、エシカルデザインに特化したさまざまな「船場」の共創パートナー企業が大集結! エシカルマテリアル、リプロダクト、ゼロウエイストをテーマにした展示、体験型ブース、カンファレンスを実施し、会場には、ビジネス関係者、一般客を含め5600人を上回る来場があった。
ここでは、イベントで展示されたブースやプロダクトから学ぶ“エシカルデザイン”を紹介していく。

日本エムテクス株式会社

船場
資源循環型社会づくりへの貢献に向け、研究開発、素材選定、各種試験を行い、長期的な環境ビジョンでのものづくりを進めている「日本エムテクス株式会社」。限りある地球資源をできるだけ消費せず、ものづくりを実現するにはどんなプロセスを描くのがいいのか…開発の現場にはそんな思いが満ちている。
廃棄される卵の殻を利用して開発したのは、ナチュラルな機能性を持つ塗料と壁紙。卵の殻だけでなく、工場から排出されるデニム端材、飲食店やホテルから排出されるコルク栓など、廃棄物をアップサイクルし、新たな価値を持った素材として製品化している。

関ヶ原石材株式会社

船場
1951年の設立以来、海外から大きな原石を仕入れて、関ヶ原本社工場で製品加工を行い、一気通貫で全国に販売、施工拠点を築いている「関ヶ原石材株式会社」。
石からできた板材の40%は、色や模様が合わず、製品にならないまま捨てられているという。
そこで「関ヶ原石材」では、端材石材をカラフルな砕石やプレート、色や形を生かした様々なプロダクトにアップサイクル。地球から採掘した貴重な資源を余すことなく届けるため、廃棄される石に新たな価値をつけて提案している。

VIVITA JAPAN株式会社
VIVIWARE株式会社

船場
「VIVITA JAPAN株式会社」は、クリエイティブラーニングスペース「VIVISTOP」を運営。3Dプリンターなどの最新のクリエイティブツールやリサイクルマテリアルのようなクリエイティビティを刺激する材料を備え、経済や社会、地域による制約に関わらず、全ての子どもたちに無料で提供している。
今回は、「VIVISTOP」で取り組む“繊維のリサイクルプロジェクト”に関するDIY反毛と「VIVIWARE Cell」を使った電動糸紡ぎのワークショップを実施。

株式会社装備

船場
船場のグループ会社である「株式会社装備」は、高い木工加工のノウハウを有し、商業施設をはじめ、幅広い分野における“未来にやさしい空間づくり”に真摯に取り組んでいる。
体験型ブースでは、工場から出る木の端材で、オリジナルスタンドを作るワークショップを実施。

株式会社飛騨の森でクマは踊る(Hidakuma)

船場
今回のイベントでは、コミュニティマーケット「あおいちマルシェ」に、エシカルな商品を販売する「Good Ethical Company produced by SEMBA」を出店。多様な森の可能性を探求する「株式会社飛騨の森でクマは踊る(Hidakuma)」は、“枝を使ったわたあめ”の販売を行い、子どもたちに盛況だった。

エスコット株式会社

船場
物流業界では、年間 4,400 万枚もの木製パレットが廃棄されている…。
「エスコット株式会社」は、規格の違いによって日本で廃棄処分されてしまうユーロパレットを買い取り、再生して、什器としてレンタル・販売。さらに、イベントや展示会、店舗ディスプレイ、パレットベッドなどの DIY 素材として使用している。
イベントでは、通常であれば廃棄処分されてしまうパレットを展示台として活用した。

株式会社博展

船場
「株式会社博展」は、廃棄物を新たな資源と捉え、さまざまなアウトプットに変えていく活動を展開。2030年までにゼロエミッション型イベントを実現することを目指している。
今回のイベントでは、エシカルマテリアルの空間を体感できる立体カタログを、「船場」と「博展」が共同制作。多種多様なマテリアルのコントラストや、それぞれの表情を体感できる、高さ約 3.6m の迫力のあるオブジェだ。イベント終了後はパネルを組み替えることにより、テーブルや椅子、パーテーションなど、素材を楽しめるファニチャーへとカタチを変えていく。

Material Bank® Japan

船場
今年10月に正式公開された新サービス「Material BankⓇ Japan」。200以上のメーカーが参画しているWEBサイトからさまざまな建材サンプルをオーダーすると、最短で翌朝、1箱にまとめてお届け。梱包資材や配送回数の削減につながる。米国では11万人以上が利用中の建築・インテリアデザイナー向けサービスで、全て無料で利用できる。
同サイトでは、多数のメーカーのマテリアルを一気に比較、取り寄せすることができ、不要になったサンプルは返却OK。煩雑なサンプル業務から解放される夢のサービスで、“サステナブルなサンプル循環”を目指す。

展示を見てもわかるように、エシカルデザインを考える余地、循環する領域は、どんどん広がっている…。あらゆる業界が“エシカルデザイン”に目を向ける時代がやって来たのかもしれない。

【エシカル、循環型ビジネスのヒントがいっぱい! 貴重なカンファレンスを、「ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2023」公式サイトで配信中!

エシカルデザインに関連したテーマについて、各業界で活躍する方々を招き、トークセッションを実施。カンファレンス終了後は、登壇者や共創パートナー企業、来場者の交流会も。
さらなる共創プロジェクトは、ここからスタートする!

・『サーキュラーエコノミーとエシカルデザイン』
ゲスト:「Circular Initiatives&Partners」代表 安居昭博氏

・『資源循環の仕組みをつくる』
ゲスト:「株式会社ごみの学校」代表取締役 寺井正幸氏

・『循環するエシカルな素材』
エシカルな建材や製品のつくり方、空間づくりへの活かし方、素材の循環について様々な視点で対談。