仕込みに17時間!ブルガリア女性が銀座の名店で“究極のかんぴょう巻き”を学ぶ:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンで魚拓の製法を学びたいアメリカ男性


続いて紹介するのは、アメリカに住む、「魚拓」を愛するネイトさん。

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釣った魚に墨を塗り、ありのままの魚体を紙に写す、ニッポンの「魚拓」。江戸時代、庄内藩(現在の山形県)では釣りが武士の鍛錬として奨励され、大物を釣った証拠に型を取って殿様に献上したのが始まりとされています。

その後、魚の大きさを記録するだけでなく、目や尾ヒレも鮮明に描く美術的要素が加わり、ニッポン独自のアートとして発展。近年、海外でも芸術作品として注目されています。

ネイトさんが魚拓に出会ったのは9年前。もともと釣りが趣味だったところ、妹から魚拓の存在を聞かされ、その虜に。本やインターネットを頼りに、独学で自分の釣った魚を写すことに挑戦。ニッポンにはまだ一度も行ったことはありませんが、これまで取った魚拓は1000点以上!

最近は、墨一色ではなく色を使ったカラー魚拓にも熱中。「魚の豊かな色彩も表現できるカラー魚拓も、ニッポンの伝統芸術として評価が高いんです」と話します。

ここで、見せたいものがあると外のガレージへ。そこには、魚拓専用の巨大な冷凍庫が3台も! 身から皮が剥がれないよう、釣ったその日に真空にして、ヒレにも傷がつかないように丁寧に並べて保存しています。

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冷凍庫の中には、全長80センチを超える鯉から、小さなコダラなど170匹以上。ネイトさんが住むメイン州の冬は寒く、川や湖が凍って釣りができないそうで、冬でも魚拓を楽しめるよう、夏に釣った魚を保存しています。

さらに、自分で釣った魚だけでは飽き足らず、本マグロの尾ビレや希少なハンマーヘッドシャークなど、あらゆる魚を魚拓の材料にしているネイトさん。1種類でも多く魚拓に挑戦し、腕を磨きたいと、地元の魚市場に週5回通っています。
この日も、一般のお客さんは入れないバックヤードへ案内してもらい、切り身になってしまう前の真鯛を購入。自宅に戻ると、魚拓作りに取り掛かります。まずは、買ったばかりの真鯛を浴室へ。奥さんの邪魔にならないよう、台所ではなく浴槽で下処理をします。

塩でぬめりを落とし、ウロコやヒレに傷がつかないよう慎重に洗ったら、口や鼻に綿を詰めていきます。魚は時間が経つと、身体中の穴から水分が。水分をそのままにして墨を塗ると、滲んだり、紙が汚れてしまったりと台無しに。「水気を極力無くすのが、魚拓をきれいに取る重要なポイントなんです」とネイトさん。

さらに、魚の向きにもこだわりが。ニッポンでは左上位の考え方から、魚も左向きにするのが基本。尾頭つきの魚料理の盛り付けも、頭を左にするのが古くからの作法です。
そこで、写し取った際に左向きになるように置き、形を整えてから墨入れを。墨は筆で塗ることが多いそうですが、今回の真鯛は墨がつきすぎて滲みそうなため、布を使って塗ることに。

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墨が乾かないうちに、ニッポンから取り寄せた手漉きの雲龍和紙をのせます。ウロコからヒレの先までしっかりと写せたように見えますが、鼻が滲んでしまいました。ところどころ墨が濃くなってしまい、バラつきも。納得がいかず、墨入れからやり直し。一匹の魚で2、3回は取れるそう。

1時間乾燥させたら「目入れ」を。ここだけは筆を使って描き、仕上げに特注で作ったイニシャル入りの落款を押せば、ネイトさんお手製の真鯛の魚拓が完成。

さらに、カラー魚拓の作り方も見せてもらいます。カラー魚拓の技法は、魚に直接墨を塗って型を取る直接法ではなく、魚の上に和紙などをのせ、上から絵の具をこすりつけて姿を写す間接法。今回は、カラー魚拓が映えそうなカラフルな魚・シマチビキを使います。

魚の下処理をして水気を切ったら、墨ではなくのりを全体に塗ります。塗り残しがないよう柔らかい筆で塗ったら、魚にシルクをぴったりと密着するように被せ、4時間ほど自然乾燥。本当は和紙を使いたいところですが、上手くできず、シルクで代用しています。

乾かしている間に、版画用のカラーインクを油で伸ばし、魚の色味を再現。絵の具の作り方は我流だそうで、「ニッポンでは、どのような絵の具で魚のリアルな色を再現しているか知りたいです」とネイトさん。

綿を布で包んだタンポという道具で優しく叩き、色付けしていきます。シルクがしっかり魚に密着することで、魚の細かな凹凸に合わせて濃淡がつき、ウロコもきれいに浮き出て立体感が生まれるそう。

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魚の模様に合わせて色を変え、タンポで叩くこと3時間。シルクをゆっくり剥がして目入れをすれば、ネイトさん渾身のカラー魚拓の出来上がり。しかし納得がいかないようで「色が濃すぎたり、別の色と混ざったり、全体のバランスが悪く、私のカラー魚拓はまだまだ作品とは呼べません」と話します。

「ニッポンの魚拓作家さんのもとで、本場の製法を学びたい」と願うネイトさん。果たして、ご招待は実現するのでしょうか!?

月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」【“漬物”を愛す外国人大集合】を放送!

▼「ニッポンの“漬物”作りを学びたい!」
かつてイチローが在籍したマリナーズの本拠地シアトルに暮らすアメリカのジョシュアさん。独学で30種類以上を作っている。
そんなジョシュアさんが、念願の初来日! “漬物”の消費量全国1位の京都へ! 浅漬け作りが上手くいかないジョシュアさんは、「京つけもの富川」で野菜の旨みと食感を活かした絶品の“浅漬け”作りを教わる。

▼「日本最古の“奈良漬”を学ぶ!」
徳川家康が気に入ったことがきっかけで全国的に広まった“奈良漬”。東大寺の参道にお店を構える「森奈良漬店」へ。酒粕を使った日本最古の漬物作りを学ぶ!

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大谷翔平&菊池雄星など大スターを輩出した岩手県花巻市で漬物の芸術品とも称される“金婚漬”。瓜の中にゴボウやニンジンが入った昆布巻きを詰めた独特な漬物作りとは…?

▼「“ぬか漬け”作りを学びたい!」
リトアニア出身でドイツ在住のルテーネさん。自宅で作り続けるほど愛してやまない“ぬか漬け”作りを学ぶため福岡県にある「千束」へ!200年以上受け継がれてきた“ぬか床”には「千束菌」と呼ばれる独自の乳酸菌が誕生!天地返しという技や極上の“ぬか漬け”の作り方を教わり、かけがえのない絆が!あれから5年半…めでたく結婚したルテーネさん、ぬか漬け作りはいま!?

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