“何食べ”西島秀俊×内野聖陽「西島さんと目を合わせただけでケンジになれる」

公開: 更新: テレ東プラス

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シロさんとケンジが帰ってきた! ドラマ24「きのう何食べた? season2」(毎週金曜深夜24時12分)。

よしながふみ氏の人気漫画をドラマ化。2LDKのマンションで同居する、料理上手で几帳面な弁護士・筧史朗と、その恋人で人当たりのいい美容師・矢吹賢二の、日々の食と暮らしをあたたかく描く物語。 “シロさん”を演じる西島秀俊さんと、“ケンジ”を演じる内野聖陽さんにインタビュー!

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人気爆上がりにジェラシー!?


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――season1、正月スペシャル、映画に続く、待望のseason2! “何食べ”ファンはもちろん、お2人をはじめキャスト陣も制作陣も「season2をやりたい」とおっしゃっていました。続編に前向きでいらっしゃった理由というのは?

西島「一番の理由は、見てくださった皆さんの反響が大きかったことですね。町を歩いていても、他の仕事場でも、『“何食べ”が好きです』『続編はあるんですか?』と、よく声を掛けていただきました。応援してくださっている皆さんの熱意が大きかったですね。

演じている僕たちも楽しく、やりがいがあるし、スタッフもそれを感じてくれている。作っている側の自分たちにとっても大切な作品です」

内野「僕はこの作品の魅力をすべてわかってるわけじゃないんですよね。相手を思いやりながら生きる男性のカップルに癒されるとか、料理を作って、おいしいねって言い合える幸せ感がいいとか、観る方によっていろいろあると思うんです。僕は、この作品をやることによって、どこか今の時代の雰囲気を学習させてもらっているみたいなところがあって。そんなちょっとした同時代感をもっと感じていたいというのが、理由の1つですね。

もう1つは、僕は今まで精神的にマッチョなキャラクターを演じることが多かったのですが、乙女なケンジを演じることによって、表現者として一つ自由になれたところがありました。時代が作り出した“男らしさ”とか“男子たるものこうあるべき”とか、そうした鎧を纏っていたところから解放された感覚で。面白い経験だったので、求められるのであれば、とことんやってみようかと思っています」

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記事画像「きのう何食べた? season2」第1話より

――前作は2019年放送、2021年公開の映画からも2年経っていますが、撮影が始まって、すぐにシロさんとケンジに戻れましたか?

内野「西島さんと目を合わせただけで、もうケンジになれるみたいなところがあるので(笑)、一瞬のうちに戻れました」

西島「そう、一瞬で戻るものなんですよね。また、セットも、つい昨日まで撮影していたかのようにまったく同じだったので、美術や衣装やスタッフさんの助けもあって、すぐに戻れました」

内野「スタッフさんに同じメンバーも多いせいか、ある空気感があって。ゲスト出演してくださる方も『ここの雰囲気すごくいいよね』と言ってくれるんですが、和やかな中にもテキパキとした、この世界観を愛している信頼感があるんです。それが毎回一緒なので、気負わずスッと入っていけますね」

記事画像「きのう何食べた? season2」第1話より――ドラマを拝見していても、キャスト、スタッフの皆さんがこの作品を愛していらっしゃることが伝わってきます。season2でパワーアップしたところはどんなところですか?

西島「セットはほぼ変わってないですね。もうちょっと広くなるかと思ったんですが(笑)。1つあげるとすると、賢二の優しさかな。賢二が素晴らしすぎて、こんな素敵なことをされたら、(史朗は)“この人のことを一生…”と考えるだろうな、と思いました」

内野「…と、西島さんはおっしゃっていますが、私としてはシロさんのケンジへの想いもすごくパワーアップしているなと感じました。シロさんは弁護士としての仕事を一生懸命にまっとうしてきた方だから、不器用でお金でしか愛を表現できないみたいなところがあって(笑)。でも裏では『これ買っていったら、ケンジ喜ぶだろうな』とか『こんなもの食べさせてやったら、ケンジ喜ぶだろうな』と考えていて、心の声として表現されているんです。不器用な分、心の声で見ている方のハートを掴む。今回、“シロさんの人気爆上がりじゃん!”と、ジェラシーすら感じています(笑)」

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記事画像「きのう何食べた? season2」第1話より

――(笑)今回、2人はアラフィフになり、現実社会と同じく物価高騰の波にあえぐ姿なども描かれています。視聴者も、シロさんとケンジとともに今を生き、一緒に歳を重ねていきたいと思えるような作品だと思いますが、お2人にとってはいかがでしょうか?

内野「引退が見えない恐怖はあります(笑)。おじいちゃんのシロさんとケンジをいつか観ることになるのだろうか…とか(笑)」

西島「(笑)」

内野「歳を取らず同じイメージのままのキャラクターもいますが、やはり人間ですから時の流れの中で劣化していくところもあり、あるいは成長していくところもあり…。そういうものを取り込んでいるドラマなので、自分自身も見栄を張ることなく、“シワが増えたな”“シミが増えたな”と認めていいんだなと、ホッとします。『皆さんも年とるでしょ?我々も年とるんです』みたいに(笑)、一緒に年を重ねていけるドラマって不思議ですよね」

西島「こうした日常を描く漫画で、年を重ねていくものはあまりないですよね。史朗も賢二もアラフィフになって、少し前に自分が経験して今も実感していることに、まさに2人が直面していて、共感するし胸に迫るものがあります。

原作の漫画は、“人生、大変なことが起きたり壁にぶつかったりすることもあるけど、それを日常のささやかな幸せで何とか乗り越えていこう”という話で。厳しい現実や、他人事とは思えないことも描かれているので、やりがいがあります。それを繊細に感じて、表現できることが、この作品の特別なところだと思います」

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――こうしてお話をうかがっていても、お2人のいい関係性が伝わってきますが、こうして作品を重ねていく相手がお互いでよかったなと改めて感じるところはどんなところでしょうか?

内野「時の流れを共有しているという意味で安心感があります。一緒に年を重ねているので、ちょっとハードだなと感じた時に隣を見ると、西島さんも同じように感じているな、とホッとしたり。そうは言っても、西島さんは美しい方なのでジェラシーを感じる瞬間もたくさんありますが(笑)」

西島「(笑) 内野さんは全身全霊で役に向かう方なので、こういう方が相手役でよかったとつくづく思います。僕自身も引っ張ってもらっていますし、現場の俳優全体が『こういう風に役に向かうものなんだ』と教えられています」

内野「そうなんですか?」

西島「普段は将来のお金の問題とか健康のこととか、日常の会話をしているんですけどね(笑)。でも、どれだけ役に入っていくかということは、誰よりも内野さんが体現されていて、それが現場にとって大きなことで。内野さんなしに、このドラマは考えられないと思います」

内野「またそんなカッコいいこと言って。ズルいなぁ(笑)」

西島「いや、本当にそうだからね(笑)」

後編】では、西島さん、内野さんがお互いのいいところを褒め合う!?

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【プロフィール】
西島秀俊(にしじま・ひでとし)
1971年3月29日生まれ。東京都出身。近年の出演作は、ドラマ「シェフは名探偵」(テレビ東京系)、 「ユニコーンに乗って」(TBS系)、「警視庁アウトサイダー」(テレビ朝日系)、映画「ドライブ・マイ・カー」(2021年公開)など。2023年11月23日(木・祝)公開の北野武監督最新作、映画「首」では明智光秀を演じる。

内野聖陽(うちの・せいよう)
1968年9月16日生まれ。神奈川県出身。近年の出演作は、ドラマ「鉄の骨」(WOWOW)、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK)、映画「初恋」(2020年公開)、「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成」(2022年公開)、舞台「笑の大学」(2023年公演)など。主演映画「春画先生」が、2023年10月13日(金)公開。

(撮影:uufoy/取材・文:高瀬純)