木村昴「大人になった今、子どもの頃に悩んでいたことが武器に変わった」「おはスタ」への思い、近況も語る

公開: 更新: テレ東プラス

――声優としてはもちろんですが、映画「尾かしら付き。」では、日焼けサロンの店員・葛城楓太役を演じ、俳優として大きな存在感を放っています。

「声優になって18年になりますが、自分の声でどれだけ感情や状況を表現するかがテーマで、そればかり勉強してきました。元々劇団の活動はしていましたが、映像の仕事で感じたのは、“声優として培ってきたものとは違った何かが必要”ということ。劇団の活動で、全身を使って演じることは経験していますが、映像となるとまた違うんですよね。
舞台の場合、遠くの席の人にも楽しんでもらうことが一つのポイントになるので、声が大切だし、自然とお芝居も大きくなる。でも映像の場合、舞台のお芝居をすると、しぐさや表情が大げさに見えちゃうんですよ。お芝居といっても、声や舞台、映像によって表現方法がさまざまなので、改めて面白いなと思いました」

――「尾かしら付き。」は、尻尾が生えている快成(小西詠斗)が、みんなと違う自分に思い悩み、傷つき、葛藤する中、同級生の那智(大平采佳)に支えられ、心を通わせていく物語。木村さんは、そんな2人を見守る葛城を演じています。以前“快成の気持ちがとても分かる”と話していましたが…。

「そうですね。僕は父がドイツ人なので、特に幼少期は、みんなと違うと思われることが多かったんです。避けられたりということはありませんでしたが、イジられることはあって。そのときに感じた気持ちが、この映画とどこか通じていました。
ちなみに子どもの頃、大河ドラマのオーディションを受けに行ったんですけど、見た目の問題で落ちまして…。でも大人になった今、2作連続で大河ドラマに出演することができたので、かなり感慨深いものがありました。子どもの頃に悩んでいたことが武器に変わったというか…。これは大人にならないと分からないことでした。

どんな人にも、多かれ少なかれ人とは違うところがあると思います。みんなが個性を認め合える世の中になることが理想だと思います。この作品では、那智が快成のすべてを受け入れ、快成もそんな那智の存在が救いになっていく…。共感する部分もあると思うので、ぜひ多くの人に観てもらいたいです」

――先ほども大河ドラマのお話がありましたが、木村さんは壁にぶつかった時、どうやって乗り越えてきたのでしょう。

「反骨精神が原動力になっていたような気がします。いろいろ言われても“いつか見てろよ!”みたいな感じで、これが割と大きなパワーになるというか。まぁ何と言っても負けず嫌いでしたから(笑)。悔しさをバネにして、なにくそ魂で頑張る! 逆境に立たされるほど、ピンチに追い込まれるほど燃えるタイプなんですよ。
“これを乗り越えたら、俺、めっちゃ強くなる!”という感覚で未来の自分の姿を想像し、どんな出来事にぶつかっても、ワクワクしていたような気がします」

――そんな経験が生かされて、最近は、バラエティー番組に出演することも多いですよね。

「バラエティーの仕事は面白いですね。声優とも俳優とも違い、生身一つで勝負するので、芝居とはまた違った楽しみがあります。ちなみに僕は、“どんなこともやってみなければわからない”と思っているので、最初から自分の可能性を決めつけるのは好きじゃないんですよ。とにかく何でもやってみる! その一つにバラエティー番組の出演もあります。
昔から“多芸は無芸”という言葉がありますが、僕は“多芸はすげぇ”と考えるようにしています。何でもできた方が絶対に面白いし、魅力の幅が広がると思うんですよ。なので僕は、やったことがないことやできないことがあるのは悔しい! チャンスがあれば絶対にトライしたいし、興味があることは自らチャンスを作って挑戦したい。その気持ちは、子どもの頃から変わらないですね」

――今後、挑戦したいと思っていることはありますか?

「自分の名前が“昴”で、星と縁があるので、いつか宇宙に行ってみたいです。宇宙に行って、どんな言葉を発するのか…それを今から楽しみにしています。
毛利衛さんの『宇宙から国境線は見えなかった』や、アームストロング船長の『人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ』のように、かっこいい名言を言いたくて。
行くことが最大の目標ではなく、その場で自分がどう感じて何を伝えたいと思うのか、それが知りたい。実際に行ってみたら、『すげぇ~』しか出ないかもしれないけど(笑)、そんな未来を楽しみにしています!」

【木村昴 プロフィール】
声優、タレント、ラッパー、俳優、司会者、ナレーター。声優として、「ドラえもん」「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」「呪術廻戦」「ハイキュー」など出演作多数。俳優として、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、「どうする家康」他に出演。現在公開中の映画「尾かしら付き。」にも出演している。
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(取材/文・玉置晴子)

記事画像
Music From The Original Motion Picture 尾かしら付き。
2023年11月1日(水)OnSale

【商品概要】
Hilcrhyme、音楽監修を務めた映画「尾かしら付き。」のCDを映画本編BD付きのスペシャルパッケージで発売。Hilcrhymeが書き下ろして提供した「UNIQUE」(映画『尾かしら付き。』主題歌)、「秘密 feat.Yue」、「走れ」のほか、「UNIQUE」のRemixを収録。
スペシャルパッケージは映画本編と特典映像(約75分)を収録したBlu-ray付き2枚組。ジャケットビジュアルは、佐原ミズ先生描き下ろしイラストジャケットを使用(2形態共通)

【映画概要】
佐原ミズの人気コミック「尾かしら付き。」の実写映画として、2023年夏に劇場公開。
W主演を務めたのは、「映画刀剣乱舞-黎明-」や「『進撃の巨人』-the Musical-」に出演するなど、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍する人気若手俳優・小西詠斗と、ユニバーサルミュージック初の女優&モデルオーディション「ニュー・ヒロインオーディション」にて最優秀賞を受賞した、期待の新人・大平采佳。
小西がお尻に豚のような尻尾が生えている少年・宇津見快成を演じ、そんな宇津見が抱える重大な秘密を知ってしまう同級生・樋山那智を大平が演じる。
快成と那智が、「みんなと違う」ことに迷い、戸惑い傷つきながらも、心を通わせ合う物語。

監督は、蜷川幸雄氏の元で多くの舞台経験を積んだ後、数々のショートムービーを撮り、2014年ちちぶ映画祭では「オオカミによろしく」でグランプリを受賞した真田幹也。

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