梅干しを愛するアルゼンチン女性が、南高梅の知られざる収穫方法に驚き!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

白干し梅が極上の「プレミアムダイヤモンド梅」に進化


和歌山に戻り、ここからが梅干し作りの本題。梅農家の寺谷さんの知り合いで、創業117年の「岩本食品」に向かいます。実は、寺谷農園で塩漬けが終わるのは1カ月後。クララさんのニッポン滞在は1週間しかないため、完成まで最低1年以上かかる伝統製法を少しでも多く学んでもらいたいと、バトンを繋いでくれました。

農家から仕入れた南高梅を、極上の梅干しに進化させる「岩本食品」。4代目の岩本智良さんと、3代目の妻・恵子さんを中心に作る梅干しは、全国の高級百貨店で販売されています。

岩本さんが見せてくださったのは、1カ月前に塩漬けにした南高梅。江戸時代の酒屋が使っていた木の樽で漬けられています。この樽には酵母菌が住みつき、梅にも良いそう。

水のない塩漬けの状態から2週間ほど経つと、梅からエキスが出てきます。これは、梅干しの副産物である梅酢。梅酢にはクエン酸がたっぷりと含まれ、醸造酢ができる前の時代には、塩と並び調味料として重宝されていました。味加減を指す「塩梅」は、塩と梅酢の割合がちょうどいいことが語源だといわれています。

記事画像
梅酢を飲ませていただいたクララさんは、「すごく酸っぱいですが、その後に甘味が広がります」と感想を。ちなみに梅酢には、梅ポリフェノールというインフルエンザウイルスの増殖を抑える成分が。みなべ町の小学校では昔から水飲み場に梅酢が置いてあり、児童たちは梅酢でうがいをしているそう。さらに、大阪医科薬科大学の研究で、新型コロナウイルスの感染予防につながる効果が高いことも明らかになっています。

塩漬けした南高梅は、一度洗って天日干しに。1回で6キロほどの量をすくっては、細かい汚れやゴミを落とし、洗った後に1粒1粒間隔をあけて並べます。天日干しをした時に、くっついて破れないようにするための一手間です。

3時間かけて30キロを洗ったら、干し場に並べます。日に当てることで保存性を高め、風味を出す大事な工程ですが、室内干しのため真夏には40度近くになり、過酷な作業に。

乾燥状態を見極めながら、3日干したらひっくり返し、さらに3日ほど干して、両面に塩が吹いたら出来上がり。昔は1粒1粒返していたそうですが、ここで、梅のひっくり返し名人こと、部長の川畑拓也さんが登場。回転板を被せて一度にひっくり返し、最後に回転板を引き抜く方法を見せてくださいました。

クララさんも、回転板を使ってひっくり返す方法に挑戦し、成功! こうして、全ての梅干しの元となる白干し梅が完成しました。

この後、白干し梅を調味梅干しにしていきますが、その前に、岩本さんが歓迎会を開いてくださることに。バーベキューに加え、恵子さん手作りの、梅干しを使った魚の煮付けやグラタン、炊き込みご飯なども並びます。

みなべ町のバーベキューの定番は、焼き梅を入れたタレ。このタレでお肉をいただき、「肉と一緒に食べたら甘味が増しました」とクララさん。その夜は岩本さんのご自宅に泊めていただき、親子で初めての和室も体験しました。翌日、クララさんは恵子さんにどうしても相談に乗ってほしいことが。白干し梅に赤紫蘇を入れて1週間漬けてみたものの、全く赤くならないのです。そこで梅農家直伝の、家庭でも赤く漬けられる方法を教えていただくことに。

記事画像
紫蘇を塩だけで揉んでいたというクララさんに、恵子さんは「梅酢で紫蘇を3回揉む」とアドバイス。揉み込むことで紫蘇の色素成分と梅酢の有機酸が反応し、鮮やかな色になるのです。こうして作った赤梅酢を梅干しに入れて2週間寝かせると、紫蘇の防腐効果も加わり、ますます保存がきく赤梅干しに。「私の梅干しも、もっと赤くなるんだとわかりました」とクララさん。

そしていよいよ、白干し梅に極上の味わいを与える工程へ。ここで、岩本さんが持ってきてくださったのは「プレミアムダイヤモンド梅」。A級という、最も見た目が美しい白干し梅を厳選し、極上の味わいに仕上げた梅干しです。今回は、その製法を見せていただきます。

記事画像
白干し梅が完成すると、大きく4つに分けて厳しく選別。直径2ミリ以下の斑点が1つでもあった場合はB級となり、プレミアムダイヤモンド梅には使用できません。熟練の目と手で、傷がなく薄皮で果肉が詰まっているA級を選び抜く膨大な作業です。

こうして選び抜かれた極上の白干し梅を1度洗い、塩味をまろやかにして、ハチミツを使った秘伝のタレを染み込ませること2週間。1粒1粒に金粉を乗せれば、プレミアムダイヤモンド梅の完成です。

試食させていただいたクララさんは、「とんでもなく美味しいです! これはもう高級なデザートです」と感動! 「憧れの南高梅を教えてくれた上に、こんな貴重なものをいただき感謝します」と伝えました。

別れの時。収穫でお世話になった寺谷さんもお見送りに来てくださいました。「とてもよくしてくださって、本当に感謝しています」と話すクララさんに、「梅干しに対する愛情の深さに感動しました」と寺谷さん。岩本さんも「僕も負けんと頑張らなあかんなって」と話します。

皆さんに、手紙を書いてきたクララさん。まずは寺谷さんへ「梅は愛情を注ぐほど応えてくれるということをあなたから学びました」と読み上げます。そして岩本家の皆さんに「従業員の皆さんと家族のような絆があるから、素晴らしい南高梅ができるのだと強く感じました」と伝えると、恵子さんの目に涙が……。

記事画像
ここで、皆さんからお土産が。恵子さんからは、梅柄の作務衣の上着を。寺谷さんからは自家製の梅シロップと、梅の収穫用にと穴あき中華鍋をいただきました。「来年の梅の収穫で、絶対にこれを使います」。最後に寺谷さん、恵子さんとハグを交わし「また絶対会いましょうね」と再会を約束しました。

別れを惜しむかのように、突然雨が降り出します。寝ていたバレンティーナちゃんも起き、雨の中、皆さんと外へ。すると、クララさんの名前の札がかかった梅の木が! なんと、岩本さんが、自分の農園の南高梅の木をプレゼントしてくださったのです。思わぬサプライズに、クララさんはびっくり!

「大事に育てるので、また収穫に来てね」と岩本さん。大感激のクララさんは「絶対、来年来ます! 親切にしてくださったこと、決して忘れません」と伝えました。

寺谷さん、岩本さん、本当にありがとうございました!

梅干しを通じて様々な出会いがあった、初めてのニッポン滞在。クララさんは帰国を前に、「とても感動しました。泣きたくはないんですけど……。出会えた全ての方に感謝しています。また絶対にニッポンに帰ってきて、私の成長した姿を必ず見せたいと思います。本当はまだ帰りたくないです」と語ってくれました。

クララさん、またの来日をお待ちしています!

月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!

▼まだ知らない“絞り”の技術を学びたい!
ニッポン伝統の布の染色技法“絞り染め”を3年ほど前から始めたフランスのコルネリアさん。1000年以上の歴史を誇る「京鹿の子絞」を学ぶため京都に初来日昔から分業で制作されているため、デザインの元となる「下絵」、糸で縛って模様を作る「括り」、仕上げの色を決める「染色」など…4人の匠からそれぞれ超繊細な技を教えてもらい、かけがえのない絆が!

▼“青花紙”を見たい!
友禅染や絞り染めの下絵を描く絵具として古くから利用されてきた“青花紙”。ツユクサの一種アオバナの色素を染みこませた和紙は、滋賀県草津市で江戸時代から続く伝統の技!
午前中には萎んでしまう青花の花弁だけを摘み、揉むだけで青い色素が!

▼京鹿の子絞り“手ぬぐい”出来栄えは?
匠の技を教えてもらい、完成したコルネリアさんの“手ぬぐい”。一体どんなものに…?

画像ギャラリー