超円安でニッポンの不動産が激変!?<意外な場所の意外な物件>が外国人に人気の理由とは?:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

8月25日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「超円安 ニッポンの不動産が激変!?」。
今、海外の投資家が日本の不動産を買う動きが活発化している。昨年から続く超円安で、以前より3~4割安く買えるのが大きな理由だ。一方、不動産の買収を加速させている背景には、日本が抱えている社会問題もあるという。それは、少子高齢化や人口減少。不動産オーナーの多くが、事業承継の問題を抱え、資産の売却を考えているのだ。
激動の円安時代に次々に買われていく都内の不動産。そして、北海道の観光地で起きているドラマを追った。

郊外の築50年超マンション 外国人になぜ人気!?


都内に次々と建てられるマンションの価格高騰が止まらない。東京23区の新築マンションの販売平均価格が一気に1億円を突破(2023年7月)、バブル期を彷彿とさせる勢いだ。

そんな中、東京・上野の雑居ビルで始まったのは、オンラインチャットによる中国人向けの不動産投資セミナーだ。参加者は北京や上海在住の投資家約6000人で、「港区は他の区に比べて、どんな利点がありますか?」「なぜ、新宿周辺で中野は安いのか?」などの質問が飛び交う。

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中国人による日本の不動産への投資が加熱している理由について、セミナーの担当者は、「日本は近いし、日本の資産価値を認めている。アジアナンバーワンです」と話すが、実は中国の富裕層たちが狙っているのは、都心だけではなく、意外な場所の意外な物件だった。

セミナーを仕掛けた不動産会社「YAK」は8年前に設立され、社員約100人のうち9割が中国出身者だ。取締役の孔 良さんは、「契約の9.5割は中国のお客さん。三ノ輪とか小岩、郊外の物件も結構人気。(営業部全体)合わせて、月に約30~40件ぐらいは契約している」と話す。

去年12月。大幅な円安が進行する中、上海でアパレル店を3店舗経営している投資家・朱中臨さんがやって来た。「今、上海の不動産価格は上がり過ぎ。日本のバブル経済の時と同じような状況なので、リスクを避けたい。だから、中国の投資の一部を日本に持ってこようとしている」と話す。そう、朱さんが日本に投資するのには、中国の不動産事情が関係していたのだ。

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朱さんを担当するのは、「YAK」の肖子毅さん。案内するのは、中央線・中野駅から徒歩3分ほどの路地裏にある築55年のビルの一角にあるテナント物件。月額賃料は約23万円。価格は4500万円なので、年間の賃貸収入を販売価格で割った表面利回りは、6.1%になる計算だ。「二つ案があって、一つはテナントとして貸して家賃収入を得ること。もう一つは、いつか日本で自分のお店を開きたいと考えている」。朱さんは投資だけではなく、日本で自分の店を持つことを夢見ていた。

中国人投資家は、なぜ今、日本の不動産を買っているのか。一つは(中国と比べた)日本の不動産の割安感で、東京の一等地のマンションでも、北京や上海と比べると、約2~3割安く、香港はなんと半額以下。現在の超円安も手伝って、日本の不動産は“お買い得”になっているという。
もう一つは、中国の国内事情だ。中国経済が弱くなってきたことで不動産市場が冷え込み、不動産で儲けることが難しくなっているという。

今年1月。物件を見に来たのは、香港在住の洪さん。不動産事業で財を成した実業家で、日本を訪れるのは3年ぶり。その洪さんは「香港の人は『日本はもう一つの故郷だ』と言いうの。だから、日本には多くの香港人が来ている」と話す。

「YAK」の越水亮さんは、早速、洪さんを埼玉・川口市に案内する。物件は、埼玉高速鉄道の川口元郷駅から徒歩1分という好立地。築50年の中古マンションを一棟丸ごと売り出していた。

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1階が店舗で2階から上が住居の中古マンションだが、外壁は塗り替えているため、古さは目立たない。さらに、「YAK」が約4000万円かけて全室リフォーム。2~5階までの4フロアは2LDKが16世帯入る共同住宅で、家賃は約9万円だ。その物件を見た洪さんは「とても理想的な物件です。投資の利回りが見込めて、店舗を経営して日本の永住許可を取得できればと思っているので、一石二鳥」と話す。

この物件の表面利回りは7.03%。家賃などで、年間約2520万円の収入が見込める計算だ。
気になるお値段は3億5800万円で、築年数にしては割高かと思いきや、洪さんは、「投資家にとって高いか安いかではなく、投資の価値があるかどうか。そこが一番重要。最近はインフレ気味で、お金自体にはもう価値がない。必要なのは資産」と話す。

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そして、川口の物件の視察を終えると、「YAK」の本社ですぐさま契約。そうした中、「YAK」の孔さんは、「日本のお客さんが買わないと、所有者は高齢化が進んでいるので管理もできなくなり、空き家になるリスクが非常に高い。中国のお客さんが買って、しっかりと管理をし、リフォームした物件に住んでもらうことで、経済を回せる」と話す。

北海道のラベンダー畑 存続のカギとなるのは?


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今年7月、北海道・上富良野町。「フラワーランドかみふらの」の花畑は、富良野エリアで最大規模を誇り、20品種45万株もの花々が作り出す圧巻の風景が売り。花畑のバックには、雄大な十勝岳連峰の大パノラマが広がる。さらに地元特産・ふらのメロンの直売所もあり、東京のデパートなら一玉5000円は下らない高級品の食べ放題は、おひとり様、20分で1700円だ。

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この「フラワーランド」を経営しているのが、伊藤仁敏さん(58)。本業は農家で、自分の畑で作った農産物を卸の他、通販で全国に発送している。

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伊藤さんは、地元の農業高校を卒業した後、家業を手伝い始め、転機が訪れたのは27歳の時。1992年に伊藤さんの父親が決断し、農地の一部を利用して観光農園を作った。

華々しくオープンした「フラワーランド」に観光バスが立ち寄るようになると、観光客の数も右肩上がりに。最盛期の1999年には年間44万人が訪れる人気の観光地に成長したが、ここ数年は、観光地の多様化や団体客が減ったことで収入が激減。さらに、コロナが追い打ちをかけ、借金が膨らんでいった。
開園から31年…守り続けてきた「フラワーランド」だが、実はこの時すでに、伊藤さんの手から離れていた。

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時は遡り、去年12月。伊藤さんの元に、北海道で不動産事業を展開している石井秀幸さん(50)がやって来た。観光農園の経営不振、事業を継ぐ後継者がいないことから、伊藤さんは「フラワーランド」の売却を考え、5年ほど前から石井さんに相談していた。しかし、なかなか買い手が見つからなかった。
「コロナ禍で、観光施設に対してお金を出す会社が日本では見当たらない。その会社をより一層、集客、利益の高いお客さんを呼び込むには外資は外せない」と石井さんは語る。

北海道・小樽市にある石井さんの会社「日本信達」は、不動産仲介の他、コンサルタント業や旅行代理店業なども展開。お客さんの約8割が外国人だ。
12月中旬。石井さんは社員に、「フラワーランド」を買収し、経営の再建に乗り出すと伝える。

石井さんは新体制で「フラワーランド」を再スタートさせるが、伊藤さんには社長として残ってもらい、花畑を管理してもらうことに。さらに、外国人の投資家に出資を募り、ホテルやレストランを新たに建設、集客アップにつなげて経営再建を図ろうとしていた。

12月27日、北海道・富良野市。地元のワイナリーに、石井さんとシンガポール人のリム・キアホンさんがやって来た。リムさんは、シンガポールを拠点にITや不動産事業などを展開している実業家で、2012年には、大阪の「りんくうゲートタワービル」を買収するなど、日本への不動産投資を積極的に進めてきた。

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「日本には隠れた宝物がたくさんあると思う。私だけではなく、世界中の人々にとって、 日本はとても魅力的な場所」とリムさん。

一方、石井さんはリムさんに、「フラワーランド」に投資してもらいたいと考えていた。果たして、「フラワーランド」の未来はどうなるのかーー。

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