ゲームキャスター・岸大河「引きこもりがちだった中学時代…オンラインの世界はとても大切な場所でした」

公開: 更新: テレ東プラス

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過去最高、7,031人の高校生がエントリー! 高校対抗の全国eスポーツ大会「Coca-Cola STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2023」は、2023年8月5日(土)~7日(月)の3日間、全国大会を開催!
5回目となる今回は、「クラッシュ・ロワイヤル(以下 クラロワ)」「フォートナイト」「リーグ・オブ・レジェンド」「ヴァロラント」「オーバーウォッチ2」と5つのタイトルで日本一の高校生チームを決定する。

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そして、全国大会コラボレーションソングの担当がLittle Glee Monsterに決定!
「STAGE:0」のテーマソングとして書き下ろした新曲のタイトルは「CELEBRATE」。
また、東京タワーで開催される全国大会Day1(8/5)では、新曲「CELEBRATE」の初披露を含むミニライブの開催も決定! 熱いステージで、この夏の高校生の熱い戦いを盛り上げる!

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「テレ東プラス」は全国大会を前に、第1回からゲームキャスターとして参加している岸大河を直撃! 世界でさまざまな大会を見てきた岸に、「STAGE:0」の魅力はもちろん、プロゲーマーを目指す学生たちへのアドバイス、自身の学生生活まで…話を聞いた。

オンラインゲームの世界は、唯一悩みを話せる、本性をさらけ出すことができる場所だった


――今年で5回目を迎える「STAGE:0」。これまで、熱い戦いを見てきた岸さんですが、大会のどこに魅力を感じていますか?

「5年というと、最初の大会に出ていた選手が社会人になっている場合もありますよね。今回参加してくれた選手たちのアンケートを見ると、『小学生の時に初めて見ました!』『中学生の頃から出たかった』という言葉があふれていて、改めて“いい大会だな”と思いました。
プロになると“ミスなく勝たなくてはいけない”という戦い方が求められますが、高校生はプロではないので、トータルのパーフェクトさは求められない。今までやってきた蓄積を活かす場としてこの大会があると思います。デッキひとつで練習し、頑張ってきた生徒たちも参加できる。
また、例え腕に格差があったとしても、チームワークで勝ち進む学校が出てくる、努力の成果が垣間見られるのも高校生の大会ならではかなと。だからこそ、読めないし熱い。きっとここでの経験が、社会に出た時に活かされるのではないでしょうか。

個人的なことでいうと、SNSで『今年も実況してほしいです』という言葉をいただいて…。若い選手たちと交流できるのも幸せですし、そう思ってもらえることにうれしさを感じ、自分のモチベーションにもなっています」

――今回も強い選手がたくさんいます。

「『クラロワ』の全国大会に出場する早稲田高等学校の選手は、ものすごく強かったですね。“絶対に負けたくない”という闘志というより、どこか落ち着きを感じられる佇まいで、きっと感情をうまくコントロールしながら集中できるタイプなのだと思います。
実はこういうタイプが一番強い。感情豊かで勢いで戦う選手もいますが、ダメになった時にエモーショナルな部分が出てしまうと、落ち込んでしまうこともありますから。もちろんそれをチーム内でコントロールできればいいのですが、なかなか高校生では難しいものなんですよ。
特に『クラロワ』は、落ち着いてロジカルに考えることができる、職人気質な人の方が向いている。高校生だと、なかなかそういうタイプの選手は珍しいのですが、今回早稲田高等学校の選手の皆さんを見て、面白いなと思いました。プレイはみんな違って個性が出るので、見ているだけでも楽しいはずです」

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――プロゲーマーは、小学生たちの憧れの職業としても定着していますが、プロを目指す上で、岸さんが大切だと思うことは?

「プロになりたくてなる選手もごく一部いますが、実は“やっているうちにプロになっていた”という選手が一番多いんですよ。それがフィジカルスポーツとの大きな違いで、eスポーツは、地域や年齢は関係なく、自分さえ上手くなれば明日にでも世界大会で優勝したメンバーと戦える環境が揃っています。意欲を持って楽しみながら強くなるためにプレイすることがプロへの近道です。

もちろん、天才肌の選手もいますし元々の資質も少なからずありますが、基本的には、努力をしない選手は報われないし、伸びません。努力は絶対に必要。これは、サッカーや野球といったスポーツでも同じことですが、プレイした時間は嘘をつかない。
あと、プレイにおいて“自分の強みが何なのか”を自己分析できる人は強いですね。メンタルが強いのか、リーダーシップを発揮できるタイプなのか、職人気質なのか……。そこが分かると、ゲーム内で自分の性格をどう活かすかを考えながらプレイに落とし込んでいける。自分らしいプレイができるようになっていくと思います」

――高校生の場合、学業とのバランスも大きな問題になります。

「これまで多くの選手を見てきましたが、やはり、勉強とゲームの両方にバランス良く力を傾けている選手の方が強いのかなと。何事も両立するのは難しいことではありますが、そうすることで努力できる資質が備わるというか。学生のうちにそうしたスタイルを備えておくと、最終的に片方にシフトした瞬間、さらに力が伸びると思います。
『STAGE:0』の優勝校を振り返ってみても、第1回大会の『クラロワ』で優勝した渋谷教育学園渋谷高等学校出身の宗田選手は、今、東京大学に通いながらコミュニティ大会で通訳をしています。頭がいいというよりは、現状を把握して優先順位をつけられる人が、ゲームも強くなるというイメージでしょうか。ですから高校生のうちは、片方に絞るのではなく、どちらも全力でやってみるのがいいのかなと思います」

――岸さんは、学生時代サッカーとゲームを両立していたと伺いました。どのような学生生活を送っていましたか?

「僕はプロのサッカー選手を目指していましたが、それと同時に小学校の頃からパソコンを触っていて、ゲームも好きでした。でも、中学生になって少しずつ引きこもるようになり、元々好きだったパソコンを触る時間が増えていったんです。当時はまだ“オンラインゲームって何?”という時代で、ゲーム=オタクなイメージが強くて…。
でも、僕にとってオンラインゲームの世界は、唯一悩みを話せる、本性をさらけ出すことができる場所でした。架空の世界で違う自分として生きていくことができますし、引きこもりがちだった僕にとって、気を使わずに過ごせるオンラインの世界はすごく大切な場所だった。自分は、オンラインゲームに助けられた1人だと思っています」

――岸さんは、プロゲーマーとして、さまざまな世界大会に出場。その後は実況キャスターの道に進んでいますが、きっかけは?

「ゲームが盛り上がるにつれ大会が増え、以前から行っていた実況を活かす機会が増えていったことでしょうか。プレイヤーとの両立が難しくなったタイミングで、完全に実況にシフトしました。やがてeスポーツ市場が大きくなっていき、ゲーム実況という世界がどんどん広がっていくだろうと考え、未来に投資した形です。“実況を極めた方が、今後仕事の幅が広がるかもしれない”そう思いました」

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――プレイヤーとしての経験は、実況する上で役立っていますか?

「もちろんです。実況はポイントだと思うことを抽出して伝えるのかがすごく大事で、キーポイントを伝えるために自分の言葉でマーキングしてあげるんですよ。それがすぐに分かるのは、プレイヤーを経験しているからこそ。
試合中、流れがフッと変わる瞬間があるんですけど、そういう瞬間も、プレイヤーとしての経験があるからこそ、肌感でわかるんですよね。“次はこうなるかも”という予測も立てやすい。
あと、先ほどもお話ししたとおり、引きこもっていた時代にいろんなタイトルに触れてきたので、どんなゲームでも大事な部分がわかります。新規タイトルが出てもすぐに実況できるのは、これまでたくさんのゲームに触れてきたからだと思っています」

――テレビ局のアナウンサーからゲームキャスターへ転身した方もいますが、キャスターという職業に、どのような未来を感じますか?

「需要は増えていきますが、視聴者の目が肥えてきているので、技術や知識のレベルはどんどん上がっていくでしょうね。僕が実況を始めた頃は、多少失敗が許されるコミュニティ大会が多かったんですよ。そういう大会で経験を積んで大きな大会の実況に抜擢されるという道筋がありました。でも今は、キャスターとしてある程度の技術や知識がないと回せない、失敗が許されない舞台がすごく多い。これは、経験を積んでいない方にとってはかなりハードルが高いです。今から目指す方は試す場所がないので、大変な時代になったなと思います。

また、ゲーム市場が大きくなったことで、MCとしての役割を担う機会も多くなりました。そうなると、アナウンサーを経験している方は強い。ですから今後は、アナウンサーの方や声優さんがこちらの世界に入ってくる可能性が高いと思います。
日本では、まだ女性の実況キャスターが少ないのですが、世界的に見ると、性差問わない職業になっていますので、日本もいずれはそうなるのではないでしょうか」

――実況も楽しめる「STAGE:0」。最後に読者にメッセージをお願いします。

「タイトルによって面白さは違いますが、ゲームを知らなくても盛り上がれる要素はたくさんあります。音楽ライブのようなグルーヴを感じてください。配信中のコメントも楽しんでほしいですね。『すごいプレーだったね』『あぁミスった、惜しい!』とか、ぜひつぶやいてみてください。
そして、ゲーム関係の職業を目指している学生の方は、プレイヤーだけでなく、大会を作っている人たちに目を向けてみると、また違った世界が広がると思います。大会の世界を知るいい機会でもあるので、ぜひ『STAGE:0』を楽しんでください」

(取材・文/玉置晴子)

【岸大河 プロフィール】
1989年6月21日生まれ。東京都出身。2014年からゲームキャスターとして活動。中学時代にはサッカーでプロ選手を目指していたが、その後オンラインゲームと出会う。
FPSを中心に複数のタイトルで国内大会を制覇し、アジア大会でも優勝経験がある。
2011年に初めて大会の実況をしたことを機に、ゲームキャスターの道を歩み始める。
元トッププレイヤーという経歴を活かした、選手の目線を分かりやすく伝える実況が評価され、東京ゲームショウやニコニコ超会議では毎年多数の企業ブースに登壇。プロリーグの「クラロワリーグ アジア」や「CoD: WWII プロ対抗戦」、大規模大会「RAGE」などでもMCや実況・解説を務め、ネットやテレビ、esports大会とバラエティー番組の枠を超えた挑戦を続けている。
また、Logicool GのブランドアンバサダーやOMEN by HPのエグゼクティブアドバイザーとして、企業とユーザーを繋ぐ取り組みにも参画。SNSや生放送でファンと深くコミュニケーションすることを大切にしている。

【開催概要】
日程: 8月5日(土)〜8月7日(月)にて開催
〈DAY1〉 - 8月5日(土)11:00開演
〈タイムテーブル〉11:00〜17:00 フォートナイト部門 / 13:30〜14:00 Little Glee Monster Live
〈出演者〉アルコ&ピース、大原優乃、渡邉美穂、平岩康佑(実況)、ポルス(解説)
アーティストライブ Little Glee Monster

〈DAY2〉 - 8月6日(日)10:00開演
〈タイムテーブル〉10:00〜14:00 クラッシュ・ロワイヤル部門 / 14:30〜20:30 オーバーウォッチ 2部門
〈出演者〉アンガールズ 田中 卓志、アルコ&ピース(オーバーウォッチ 2部門のみ)、えなこ、渡邉美穂
クラロワ部門 岸大河(実況)、ライキジョーンズ(解説)、RAD、けんつめし
オーバーウォッチ 2部門 平岩康佑(実況)、gappo3(解説)、ta1yo

〈DAY3〉 - 8月7日(月)10:00開演
〈タイムテーブル〉10:00〜14:50 リーグ・オブ・レジェンド部門 / 15:20〜20:40 ヴァロラント部門
〈出演者〉アンガールズ 田中 卓志、アルコ&ピース(ヴァロラント部門のみ)、ケイン・コスギ(リーグ・オブ・レジェンド部門のみ)、大原優乃、えなこ
リーグ・オブ・レジェンド部門 eyes(実況)、Revol(解説)
ヴァロラント部門 岸大河(キャスター)、yue(キャスター)

※当日RED°TOKYO TOWERへの来場者が多数の場合、STAGE:0開催エリア(5F ULTIMATE ZONE ) への入場制限を行う可能性がございます。

会場:RED°TOKYO TOWER 5階「ULTIMATE ZONE」
〒105-0011東京都港区芝公園4-2-8
TOKYO TOWERフットタウン内 チケットカウンター3F

■全国大会 出場校/出場チーム

DAY1 - 8月5日(土)フォートナイト部門 ※選手はオンライン参加

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DAY2 - 8月6日(日)クラッシュ・ロワイヤル部門

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DAY2 - 8月6日(日)オーバーウォッチ 2部門

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DAY3 - 8月7日(月)リーグ・オブ・レジェンド部門

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DAY3 - 8月7日(月)ヴァロラント部門

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