からあげを愛するアルゼンチン男性が中津の名店で修業!愛知で伝説の手羽先も!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜夜8時)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

今回は、アルゼンチン男性の初来日の様子をお届け。さらに、ニッポンに行きたいスペイン女性を紹介します。

中津のからあげと、愛知のご当地グルメ・手羽先からあげを学ぶ


紹介するのは、アルゼンチンに住む「からあげ」を愛してやまないカミーロさん。

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今回ニッポンに行きたい人を探しに行ったのは、アルゼンチン。南米最大のラプラタ盆踊り祭りです。60年前、移民した日系人の交流のために始まり、2008年にはラプラタ郡の文化遺産に認定。コロナ禍で中止されていましたが、今年2月に再開されると1万人もの来場者が!

番組ではこれまで2度訪れており、ニッポンのレスキュー隊に憧れるマリアさんや琉球舞踊が大好きなデニッセちゃんなど、ここでの出会いがニッポンご招待に繋がりました。
そこで今回も、会場に番組のブースを設置。体操を愛する少年や北海道のマリモを愛する女性が登場する中、ニッポンのからあげを愛する男性として登場したのがカミーロさんです。

子どものお弁当からお酒のおつまみまで、老若男女に愛される「からあげ」。2020年には国内での年間消費量が400億個を突破。好きなおかずランキングで1位に輝く、ニッポンの国民食です。

鶏肉のからあげが食卓に登場したのは約90年前。東京・銀座の洋食店「三笠会館」でメニューとしてニッポンで初めて採用。銀座の名物と呼ばれるほどの大人気メニューになり、瞬く間に全国に広まったそう。

カミーロさんの自宅には、からあげに関するものを集めた“からあげブース”があり、毎年大分県の中津市で開かれる「からあげフェスティバル」のポスターが。「(中津市は)からあげの聖地と呼ばれています」とカミーロさん。

そんなカミーロさんがからあげと出会ったのは25年前。友人宅で目にしたニッポンの漫画にからあげが描かれていたのです。中でも一番のお気に入りが「美味しんぼ」。「私にとってのからあげの教科書です」と話します。

すぐに見よう見まねで作ってみたもののうまくいかず、「どうしても食べたい」とからあげ愛に火がついたカミーロさん。作り方を本気で学ぶには日本語を理解する必要があると、日本語学校に入学して猛勉強!

さらに料理も基礎から覚えたいとレストランで修業。ニッポンにはまだ一度も行ったことがありませんが、将来はからあげのお店を開きたいと日々腕を磨いています。

ここで、からあげを作るところを見せてもらうことに。まず取り掛かったのは、肉を浸けるタレ作り。旨味を引き出すため、ニンニクと生姜を加えます。醤油とみりんは日本製。日本製は「揚げた時の香ばしさが抜群なんです」。

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使うのは鶏のもも肉。余分な脂や筋を丁寧に取り除いたら、火の通りや味付けにムラが出ないよう大きさを揃えて、特製ダレに30分ほど浸けます。試行錯誤の結果、鶏肉がパサつかず、味がよく染み込む時間を割り出したとか。

続いて、肉にでんぷん粉をまぶします。アルゼンチンではとろみをつける時くらいしか使わないそうで、油で揚げることで旨味を閉じ込めてカリッとした食感を生み出すことに驚いたとか。

揚げ方にもこだわりが。カリッとジューシーに仕上げるため、二度揚げに。まずは165度で1分ほど揚げて中まで火を通し、今度は180度まで上げてカリッとした食感にすれば出来上がりです。その味は、番組スタッフにも好評!

自宅のアパートで料理教室を開くほど腕を上げたカミーロさん。今は生計を立てるのが精一杯ですが、からあげの本場・大分県で本物のからあげ作りを学び、アルゼンチンでも広めたいと夢見ています。

そんなカミーロさんをニッポンにご招待! 念願の初来日を果たしました。

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到着して真っ先に向かったのは、コンビニエンスストアの「ローソン」。お目当ては、YouTubeで見て食べたかったという「からあげクン」です。今年で37周年を迎え、売り上げは約40億食! 約1万4600店舗を誇る「ローソン」のどの地域でも人気の商品です。

早速、ニッポンで初めてのからあげをいただいたカミーロさん。辛めのレッドは「柔らかくて味が濃い。匂いも良く料理としてすごくまとまってバランスがいいですね」、大人になったチーズ味は「癖になる味ですね。この味は、アルゼンチン人も虜にする味だと思います」と絶賛。ここから、からあげを愛するカミーロさんのからあげ旅が始まります。

翌日向かったのは、大分県中津市。からあげの消費量日本一を誇る大分県の中でも、中津市はからあげ専門店が50店以上あり、コンビニよりも多いほど。中津市の方はからあげを家では作らず、まとめ買いして夕飯のおかずにするそう。

からあげの聖地で作り方を教えていただくにあたって、10年生やし続けていたヒゲをそり落としたカミーロさん。今回お世話になるのは、精肉店として半世紀、からあげを作って45年の老舗「ぶんごや」。「からあげグランプリ」で8年連続金賞を受賞し、全国のファンに愛されています。

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まずは、揚げたてのからあげを試食させていただきます。熱々を頬張ったカミーロさんは「うまい! 今まで味わったからあげの中でダントツNo.1です」と感動!
創業者の会長・西郡義照さんも「何回も褒められたことはありますけど、これくらい褒められたのは初めてです」と笑顔がこぼれます。

早速お店の白衣を着て、からあげの作り方を教えていただくことに。鶏肉は、朝〆の新鮮な若鶏。一羽を部位ごとに切り分け、すべての部位をからあげにします。この道50年の西郡さんにかかれば、ものの1分で一羽が部位ごとに。

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カミーロさんも挑戦します。器用に包丁を入れ、からあげのサイズにカットすると、西郡さんから「うちの従業員で雇いたいくらいですね」とうれしい言葉も。

いよいよ、からあげで最も大切な味付け。まず、小さじ4杯の塩を揉み込みます。鶏肉を塩で揉むと、浸透圧により鶏肉の水分が外に出て、タレが鶏肉の中に隅々まで浸み込むそう。塩で揉み込むと肉が硬くなると思っていたカミーロさんはびっくり。

次は、大切なつけダレ。リンゴ、ニンニク、生姜をミキサーにかけてペースト状にします。リンゴに含まれるリンゴ酸という成分には、肉の繊維を柔らかくしてジューシーな質感にする効果が。さらに、企業秘密の甘い野菜もすりおろして合わせます。「このタレを作るのは社員以外全然ダメです」と西郡さん。門外不出のレシピなのです。

最後に大分県産の薄口醤油を加え、約1カ月寝かせます。すると、発酵が進み焦茶色に。こうすることで、甘辛く、深いコクのあるタレに仕上げています。

このタレを塩揉みした鶏肉と合わせ、最後に隅から隅まで揉み込むと、鶏肉に満遍なくタレの味がつくそう。揉み込んだ後は1日冷蔵庫に寝かせ、しっかりとタレの味を鶏肉に浸み込ませます。

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朝まで置いても硬くなることはないそうで、30分しか寝かせていなかったカミーロさんはまたまた驚き。30分だと完全には味がつかないと知り、「私は間違っていました。今日覚えたことで、私のからあげも進化しますね」と話します。続いて、1日寝かせた鶏肉にでんぷん粉をつけます。衣が厚くならないよう肉をはたき、均一に薄くつけるのがコツです。

仕込みができたところで、いよいよ油へ。衣がサクサクになる菜種油を使います。170度の油に鶏肉を入れたら6分。1回だけじっくり揚げることによって、衣はサクサク、中はジューシーなからあげに。二度揚げは、上手くやらないと衣が硬くなり、タレの味が強くなりすぎてしまうそう。

さらに家庭でもできる、衣がサクサクになる方法が。油に入れてから3分ほどで全てひっくり返し、空気に触れさせることで衣がよりカラッと揚がるとか。

揚げたてを試食したカミーロさんは熱さに悶絶! 実は、揚がってから10分ほど置いた方が食べやすく、一番美味しいそう。「私はてっきり揚げたてが一番美味しいんだと思っていました」。

その夜は、西郡さんのご自宅でカミーロさんの歓迎会。食卓には、「ぶんごや」をはじめ、いろいろなお店のからあげが並びます。中津市界隈の人たちは、宴会があるとお気に入りのお店のからあげを持ち寄るのが当たり前。中津にからあげが根付いたのは、戦後の食糧難対策として市内にたくさんの養鶏場ができたからだそう。

今回は特別に、中津市の一般家庭と同じようにカミーロさんをおもてなししたかったそうで……まずは、「総本家もり山」のからあげから。中津からあげの発祥の味を守っているお店で、塩とニンニクをベースに醤油を一切使わない味付けです。

続いては「むら上食堂」。あえて骨を残した昔ながらのスタイルで、醤油をベースに一味唐辛子やニンニク、胡椒などを加えたスパイシーな味付け。こちらも170度の菜種油で一度揚げだそう。

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その他、「彩鶏々(イロトリドリ)」は首肉など珍しい部位がいただけるお店。「川部精肉店」は、果物が入った甘めのタレが子どもに大人気です。
さらに西郡さんの奥さんが、からあげを使ったひつまぶしや酢鶏を作ってくださり、中津のからあげ文化を満喫しました。

別れの時。お土産にアルゼンチンワインとお菓子、マテ茶を渡すと、西郡さんから「ぶんごや」の白衣とエプロンをいただきました。

「ニッポンに来ることは人生の夢でした。日本料理は私の人生を変えました。ぶんごやで習ったことは一生忘れません。今日皆さんとお別れですが、中津は私の故郷です」と日本語で別れの挨拶をしたカミーロさん。お店の皆さんと握手を交わしました。

「ぶんごや」の皆さん、本当にありがとうございました!

続いてやってきたのは、愛知県名古屋市。愛知のご当地グルメといえば、手羽先のからあげです。カミーロさんは、この地で開かれる「手羽先サミット」にどうしても行きたかったそう。全国に手羽先からあげを広めることを目的に始まったイベントで、今年で9回目を迎え、16店舗が参戦しました。

そもそも手羽先からあげは、名古屋の居酒屋メニューとして発展。「風来坊」という居酒屋が、当時スープの材料として使っていた手羽先をからあげにし、甘辛いタレをつけて出したのが発祥です。

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一番美味しいと思ったお店の方に作り方を教えていただくため、このイベントにやってきたカミーロさん。有名店「からあげ大吉」や、2021年グランプリの「天下一手羽先」、手羽先サミットで金賞を3回、からあげグランプリの手羽先部門で最高金賞を受賞した知多半島の「あうん屋」など、全店舗の手羽先を購入します。

全て試食したカミーロさんが選んだのは、知多手羽先の「あうん屋」。作り方をぜひ教えていただきたいと、カミーロさんが直接交渉したところ、熱意が通じたのか、手羽先からあげの極意を教えていただけることに。

翌日、知多半島の常滑市にある「あうん屋」へ。人気の秘密は、何といってもお酒に合う甘辛い味付けにあるといいます。

早速、社長の古川貴大さんに、地元の人たちを病みつきにする手羽先からあげの作り方を教えていただきます。下味はつけず、生の手羽先にでんぷん粉をつけ、175度の大豆油で一度揚げ。骨の周りの肉にしっかり火が通るまで、じっくり9分かけて揚げていきます。

続いて、手羽先にタレをつけます。古川さんが持ってきたタレの壺には伝説の文字が。古川さんによると、全国的に有名な手羽先の名店「世界の山ちゃん」の手羽先の名前は「幻の手羽先」ですが、「あうん屋」では、「いつか伝説になりたい」という気持ちを込めて、「伝説の知多手羽先」という名前をつけました。

今回、“伝説のタレ”の作り方を、特別に教えていただけることに。「あうん屋」のタレの基本となる名古屋タレは、醤油2に対してみりん、酒、お酢は1。そこへ砂糖を大さじ10杯入れ、弱火でゆっくりアルコールを飛ばせば完成です。

この名古屋タレをベースに、辛口の赤ワインを少し足して、コクと深みを出します。赤ワインは洋食のソースにも使われ、ドライな辛口は酸味が少なくキレもあり、肉料理に合うそう。

さらに胡椒と辛味スパイスを加え、最大の決め手となるのが武豊のたまり醤油。知多半島の武豊町にはたまり醤油の蔵元が6軒あり、その上質な醤油がタレに深みとコクを与えているのです。

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「あうん屋」が使っているのは泉万醸造の甘露溜。味見させていただいたカミーロさんは「こんなにコクがあって甘い醤油は体験したことがありません」と感動! 「この醤油は絶対に持って帰ります」と話すと、「ぜひアルゼンチンでこの醤油を広めてほしい」と古川さん。

この甘露溜を醤油と同量入れ、弱火でじっくりアルコールを飛ばします。出来立てを味わったカミーロさんの口から「伝説!」の言葉が。ここから約1カ月寝かせて熟成させ、ようやくタレとして使えるように。

そんな手間暇かけた特製のタレを、いよいよ手羽先に。他の名古屋風の手羽先はハケで1個1個塗りますが、「あうん屋」では、丸ごとタレに浸ける「どぶ浸け」。タレでコーティングすることで、どの部分を食べても同じ味になるようにしています。最後に特製スパイスと白ゴマをかければ、「伝説の手羽先からあげ」が完成!

発祥の地に伝わる、手羽先からあげを一口で美味しく食べるコツも教えていただきます。先っぽを折ってから、一気に口の中へ。そのまま引き抜くと、きれいに骨だけが残るのです。「手品みたいですね」とびっくりしたカミーロさんも、早速この方法でいただき「タレが癖になる味で、手羽先の肉の味と合っていると思います」と伝説の味を堪能しました。

伝説と命名したのにはもう一つ理由が。古川さんが好きなロックバンド「Queen」の曲「We Are the Champions」の邦題「伝説のチャンピオン」からきているとか。そこで、二人で有名なフレーズを歌う一幕も。

別れの時。「先生、伝説のタレを教えてくださりありがとうございます。アルゼンチンに帰ったら僕もタレを研究して手羽先のからあげを作りたいです」と感謝を伝えるカミーロさん。お土産のワインとお菓子を古川さんに渡すと、「あうん屋」の前掛けと、伝説のタレの決め手となるたまり醤油のプレゼントが!

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「えー! たまり! 買って帰ろうと思っていたので嬉しいです」と大喜びのカミーロさん。最後にハグを交わし、「頑張ってね」と励ましの言葉をかけてくださった古川さんに、「We Are the Champions 先生!」と手を振りました。

「あうん屋」の古川さん、本当にありがとうございました!

帰国を前にカミーロさんは、「日本料理を学んでいて、繊細なことはわかっているつもりでした。でもそれは間違いでした。もっときめ細やかで奥が深いことがわかりました。さらに勉強します」と語ってくれました。

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