車内限定クラフトビールも!新型エコ特急「スペーシアX」で行く”日光“の新たな魅力:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

7月14日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「エコリゾート大作戦~鉄道が運ぶ!新たな日光~」。
今や日本のシンボルとなった「東京スカイツリー」。所有・運営するのが、大手私鉄の「東武鉄道」だ。変革期を迎えた「東武鉄道」の戦略に独占密着する。

33年ぶりに投入!新型エコ特急「スペーシアX」の実力とは?


去年10月、山口・下松市にある「日立製作所 笠戸事業所」で、「東武鉄道」の新型特急「スペーシアX」が作られていた。
車体の素材はアルミ合金で軽量化し、省エネを目指している。この日、設置していたのは自慢のシートで、「日立製作所」の田中勝也さんは「見た目の美しさにこだわり、1ミリの段付きや1ミリの隙間にもこだわった」と話す。
3月5日、こうして「スペーシアX」車両が完成。山口県から、関東にある東武の車両施設を目指して、JRの線路約1000キロを走って運ばれた。

東京スカイツリーのお膝元、浅草に「東武鉄道」のターミナル駅、浅草駅(1931年開業)がある。そこにやってきたのは、「スペーシアX」。通常ダイヤの裏で試運転が始まっていた。

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浅草駅を出発すると、まず目に飛び込んでくるのが東京スカイツリー。「とうきょうスカイツリー駅」(東京・墨田区)からも乗車できる。
「東武鉄道」は、最初の電車を浅草~西新井間で走らせ、今や路線の長さは1都4県にまたがる約460キロ。関東の私鉄では最大で、売上高は6147億円(2023年3月期)を誇る。
そんな東武が狙うのは、延べ3億人以上が訪れた人気の東京スカイツリーエリアから、日光に客を呼び込むことだった。

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こちらがコックピットスイート(個室料金1万2180円 ※特急料金と運賃は別)で、「東武鉄道」都築豊社長は「飛行機のプライベートジェットの部屋というイメージ」とアピール。私鉄では最大の広さを誇るぜいたくな空間だ。

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「スペーシアX」の座席は全部で6種類。座席数が最も多いスタンダードシート(浅草~東武日光間 3340円 ※特急料金+運賃)の間隔は新幹線の普通車より広く、足元にはかなりの余裕がある。

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プレミアムシート(浅草~東武日光間3920円 ※特急料金+運賃)のリクライニングは、東武初の電動式。

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コックピットラウンジのカフェカウンターは、東照宮のサルをモチーフにしたデザインに。照明も東照宮の柱の模様をイメージしている。

5月中旬の浅草駅。真新しい車両で、カフェを担当するコンシェルジュの初めての訓練が行われた。何度も練習するのは「スペーシアX限定ビール」で、揺れる車内では注ぐだけでも一苦労。
コンシュルジュを束ねる入社5年目、営業統括部の鈴木綾乃さんは、訓練の合間を縫って、日光にあるクラフトビールの醸造所「ニッコーブルーイング」へ。ビールは栃木の食材にこだわって開発し、地域の活性化にも一役買う。中でも期待を寄せるのが、栃木産の採れたて苺を使った「いちごエール」(※車内限定・季節限定800円)だ。

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他にもコックピットラウンジでは、日光由来の食材を使った前菜やスイーツなどが楽しめる。

「スペーシアX」は快適なだけではなく、一世代前のスペーシアに比べてCO2を40%削減。電力自体も沿線に設置した太陽光パネルなどから賄い、CO2排出量“実質ゼロ”を実現した。都筑社長は、「日光を国際エコリゾートのような地域にしたい。浅草エリアからスペーシアXに乗って日光エリアに行ってもらう。“ゴールデンルート”を構築していきたい」と話す。

新型特急で客を呼べ!日光エコリゾート大作戦


6月上旬。台湾の中心都市・台北では、人気のイベント、第8回「鉄道弁当フェスティバル」が開催されていた。その会場で、ひときわ長い列ができていたのが「東武鉄道」のブース。「東武鉄道」の現地事務所で所長を務める山内朋彦さんは、「日光鬼怒川に興味を持っていただいて、東武の新しい特急で行くことができると伝えたい」と意気込む。

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東武鬼怒川線でほぼ毎日運行している「SL大樹」は、台湾でも大人気。SLの容器でアピールする特製駅弁「SL弁当」が飛ぶように売れていく。制服姿の山内さんは、自ら「スペーシアX」のグッズを販売し、新型特急を売り込んでいた。

山内さんが休む間もなく向かったのは、現地の旅行会社。去年、日本にやって来た外国人は台湾が第2位で、「台湾の旅行客は、東京近郊の観光地を探している」と通訳。さらに今は、滞在日数も増えているという。まさに今、新型特急で行く日光をアピールするチャンスなのだ。山中さんは、そのインバウンドを日光に呼び込もうとしていた――。

創業150年の老舗ホテルで始まるエコ再生とは!


東京から約2時間で行ける日光。その奥の中禅寺湖の湖畔では、3年前、「ザ・リッツ・カールトン日光」がオープン。ホテルを運営しているのは「東武鉄道」で、世界中からの富裕層の集客を狙っている。
他にも東武は、中禅寺湖の遊覧船やロープウエー、テーマパークなど、このエリアに集中的に投資。日光を代表する老舗中の老舗「金谷ホテル」も傘下に収めた。

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明治6年開業の「日光金谷ホテル」には、科学者のアインシュタインやヘレン・ケラーも宿泊し、150年の歴史を刻む客室は、1人1泊3万6500円から(2食付き・2人利用時)。
レストランの人気メニューは、100年以上前のレシピから再現した「百年ライスカレー」(ドリンク付き3700円)で、緑あふれるテラスはまさに特等席。
今回、日光自慢・ニジマスの料理を取り入れた新メニュー「夏季限定 プリフィックスランチ」(5500円〜)も用意した。

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リニューアルは料理だけではなく、「スペーシアX」のデビューに合わせ、本館横の「別館」を全面改装することに。150年の歴史を未来につなぐ改装工事は、屋根の銅の葺き替えも職人の手作業。昭和天皇が2度宿泊した特別室も模様替えし、2つの部屋をつなげてスイートルームに作り変えた。そこには、別世界が広がっていた――。

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雄大な自然が広がる日光でも、天空の秘境と呼ばれているのが「奥日光」だ。その入り口に位置するのは、海抜1269メートルの中禅寺湖。
30年前、栃木県は全国に先駆け、奥日光の環境を守るため、「日光市道1002号線」への一般車の通行を禁止した。
走れるのは、東武の「低公害バス」だけで、ゲートの先は手つかずの自然を巡るルートが広がっている。そこは、まさに野生動物の楽園だ。

6月下旬、湖にほど近い大自然を舞台に、このEVバスで自動運転の実験が行われようとしていた。人手が少ないエリアでも、観光を持続可能にするための試みだ。しかし、この地域はGPSの受信信号が悪く、携帯電波がつかめないことから、想定外のピンチに見舞われる。

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救世主はこの黒い丸だというが、果たして…。GPSも携帯電波も使わずに、自動運転ができるのか――。

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