自律神経の乱れを感じたら…休息より軽い運動が効果的なワケ

公開: 更新: テレ東プラス

月曜夜8時から放送の「主治医が見つかる診療所」は、皆さんが知りたい医療の疑問に第一線で活躍する医師たちがやさしく答える、知的エンターテインメント番組。毎回、病気の予防法や今すぐできる健康法などを、最新情報を交えて発信しています!

今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられたのは、「自律神経の乱れ」について。言葉は知っていても、どんな症状が当てはまるのかわからないという人も多いのでは? さっそく同番組のレギュラー・菅原道仁医師に教えていただきました!

不調を感じたら、まずは受診を!


記事画像
Q:30代女性です。最近、寝ても疲れがとれません。薬局に行くと「自律神経を整える」と、うたったサプリメントを見かけますが、自分がその症状に当てはまるのかわかりません。そもそも自律神経が乱れるとどうなるのでしょうか? 原因と症状、改善する方法について教えてください。

――「自律神経が乱れる」と、どのようなことが起きるのでしょうか?

自律神経とは、胃腸の動きや瞳孔の大きさ、心臓の脈拍数や血圧など、自らコントロールすることが難しい体の機能を調節する神経です。この神経が乱れると、動悸(どうき)や息切れ、頭痛や手足のしびれといった身体的な不調から、漠然とした不安感といった心の不調まで、さまざまな症状が出ます。

――乱れてしまう原因について教えてください。

主因はストレスです。ストレスの感じ方は人それぞれではありますが、たとえば、仕事が嫌で仕方がないとか、失恋してしまったとか…。自律神経には、人が活動しているときやストレスを感じているときに働く「交感神経」と、リラックスしているときなどに働く「副交感神経」があります。この2つのバランスが崩れると、本来心拍数を上げるべき場面でないのに上がってしまったり、血圧が上昇したりする。調節がうまくいかなくなって、体の不調が表れるのです。

ただ、自己判断で「いまは自律神経が乱れているのだ」と解釈するのは禁物です。もしかしたらその症状は、重大な病気が潜んでいるサインかもしれません。まずは医療機関で受診するのが先決です。そのうえで大きな問題がないとわかったら、初めて自律神経の乱れが原因と考えてもいいと思います。

すべて自分で抱え込んでしまう性格の人が乱れやすいですね。家族や友達と、他愛ない会話をする機会が少ない人は要注意です。ガス抜きができないと、どんどん悪いものをため込んでしまいます。

まずは深呼吸。ぼんやり湯船につかるのも効果的


記事画像画像素材:PIXTA

――相談者さんも寝ても疲れがとれない、とお悩みのようです。どのように改善すればいいのでしょうか。

疲れたら休息すればいいと思われがちですが、むしろ軽い運動をお勧めします。これをアクティブレスト(積極的休養)といい、血流を促して老廃物を排出することで、疲れが抜けやすくなります。体を動かしながら頭を使えばストレスが減るともいわれ、たとえばスマホ向けゲームアプリ「ポケモンGO」など、歩けばゲームが進行するといった類のアプリで、うつ症状が改善したというデータもあります。もちろん、やり過ぎは禁物ですよ。

理想的なのは、早寝早起きをして、日の光を浴びて、適度に運動する。いわゆる「人間的な生活」をどこまで実践できるかに尽きますが、そうした生活を送るのが難しい現代社会だからこそ、病む人が多いともいえます。

――睡眠も大事でしょうか。つい眠れないときに、お酒を飲んで寝たくなるときがあるのですが。

質の良い睡眠をとるのも、対策のひとつです。そのためには深酒にも気をつけましょう。アルコールの摂り過ぎは、睡眠を浅くしてしまいます。

――ほかに改善法はありますか?

自律神経が調節してくれる体の機能の中で、呼吸だけは自分の意思を反映できます。ゆっくりとした呼吸を心がけると、自律神経の乱れにより、優位だった交感神経が落ち着き、副交感神経が活発になります。動悸が激しいときなどは、肩の力を抜いて深呼吸をしてみるといいですよ。

あとは、お風呂に浸かり、目をつぶって何も考えない。ただぼんやりと体を温めて心を整えるのも有効です。

自律神経の乱れに加齢はあまり関係ありません。起因するストレスに打たれ強いか、弱いかは人それぞれです。サプリメントなどに頼るよりは、「まあ、いいか」という精神で、すべてが自分のせいだと思わずに、物事を俯瞰(ふかん)して捉えるようにするとよいでしょう。

――菅原先生、ありがとうございました!

【参考資料(菅原道仁先生・著)】
『体の不調が消える「自律神経」の整え方』(大洋図書)

【菅原道仁医師 プロフィール】
1970年埼玉県生まれ。杏林大学を卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの救急医療現場を経験。一人ひとり責任をもって診察をするために2015年、東京都の八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器を揃えた菅原脳神経外科クリニックを開業。「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。

※この記事は菅原道仁医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った菅原先生も出演する、次回の主治医が見つかる診療所は、【命を救うスーパードクターSP】!

記事画像
<断らない救急救命>
【年間1万人以上救う!絶対に断らない救急救命】
神奈川県伊勢原市にある、東海大学付属病院 高度救命救急センター。
365日24時間体制で患者を受け入れており、命を救った患者は年間1万人以上。
ドクターヘリも次々とやってくる病院でやってきたのは、突如記憶を失った女性だった。
隠れていたのは300万人に1人の病気!?…1分1秒を争う、救命救急の現場に迫る。

<難手術に挑む名医>
【アメリカ心臓医療界のゴッドハンド】
今までに救った命は、6000人以上! 単身アメリカに渡り、今年「アメリカの名誉ある医師上位1%」に選出されるなど、スーパードクターとして揺るぎない評価を受けている心臓外科医 豊田医師。世界でも数例と言われる心臓と肺の同時移植も成功させている名医の手術に密着する。

<寄り添うドクター>
手がけた脳手術は3000件以上。女性の脳神経外科医として世界一の実績を誇っている加藤医師。ミリ単位の正確さが必要とされる難手術、「脳動脈瘤開頭クリッピング手術」を40年近く行い続けている加藤医師は、実は困っている人にとことん寄り添うドクター! 患者に携帯番号入りの名刺を渡し、診療中にも手術中にもひっきりなしに電話がかかってくる。誰でも助けるその姿勢は今はウクライナの医師たちにも。その日常に迫る。

どうぞお楽しみに!