「オイシックス」人気食材キットを生む女性チームの挑戦に密着:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

4月28日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「オイシックスが挑む 新・食卓革命!」。
会員45万人! 人気の食材宅配サービス「Oisix(オイシックス)」。特に、食材が下ごしらえされた状態で届けられるキットは大人気で、時短になるだけでなく、家庭でひと手間を加えることで手作り感も出ると好評だ。
絶品の夕食からおやつまで、捨てられる食材をもおいしく大変身させる驚きの現場に密着した。

精鋭の女性チーム 捨てられる食材で“絶品”食材キットを開発!


全国の契約農家は約4000軒、年商1134億円を誇る食品宅配サービス「オイシックス・ラ・大地」(東京・大崎)。
10年前から始めたミールキット「Kit Oisix(キット オイシックス)」は、累計販売1億4000万食と好評で、「ライフ」や「クイーンズ伊勢丹」などのスーパーでも販売している。

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人気の料理研究家やシェフとコラボしたメニューも多数あり、季節ごとに特別メニューも開発。最大の特徴はメインと副菜を20分以内で作れることで、詳しいレシピが入っているので、誰でも簡単に作ることができる。

日本で、食べられるにも関わらず捨てられるフードロスの総量、年間約522万トン。
社を挙げてサステナブルに取り組む「オイシックス」は、味は変わらないのに捨てられる各地の食材を「Kit Oisix」に取り入れようと動いていた。

「オイシックス」青果バイヤーの佐藤由梨さんは、豪雪に見舞われた新潟・津南町で、市場に出せない見た目が悪いニンジンを、「大平きのこ研究所」(埼玉・飯能市)では、舞茸をカットする工程で捨てられる軸の部分を買い取る交渉を進めていた。

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「大平きのこ研究所」大平洋一社長は、「(軸は)食べる分には味が変わらないが、見た目で販売できないため、廃棄してしまう。もったいない」と話す。毎日約1トン廃棄するのにも費用がかかるという。
佐藤さんが「1週間、1万5000ピースぐらい」と買い取る量を提示すると、大平社長は「本当ですか? 非常に助かります」と喜んだ。

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佐藤さんが舞茸の軸を託したのは、「Kit Oisix」を立ち上げ当初から担当する、レシピプロデューサーの森田佐和子さん。2013年にオイシックスに入社し、年間1000以上のレシピを作り続けている。

軸を手にした森田さんの第一印象は「一瞬何かわからない。消しゴムみたい」。
見た目に課題を感じる一方で「香ばしい感じが良い」と可能性を感じていた。
舞茸の軸をメインの食材にした「Kit Oisix」のメニューを作ろうと、森田さんは、早速テストキッチンへ向かい、アイデアを試す。
まずは、軸に豚ロースを巻きつけるが、20分以内に料理ができないため却下。
お次は、薄い生地の上に軸とパプリカをのせ、さっと包んで春巻きに。
20分以内に収まったものの、野菜と混ざることで舞茸の風味が弱くなってしまった。

しかし、「きっとおいしくなるはず」と森田さんはめげない。今度は軸と豚ロースを別々にして溶き卵を絡め、パン粉をまぶしてフライに。見事、パン粉で舞茸の風味を閉じ込めることに成功した。「きのこメーカーさんが悲しい気持ちをするのを少し減らしたいですよね。救えるようにしたいです」と森田さん。

1月、商品化に向けていよいよ価格を決める。目標は、2食分で2000円を超えないことだが、1年前と比べ、豚肉やパン粉の原料となる小麦粉が値上がりしていた。
また、「オイシックス」の会員からは、「サステナブルだからと言って、無理しておいしくないものを食べようという方向だと厳しい」との声も。

サステナブルとおいしさ、さらに価格を成立させなければ売れる商品にはならない。果たして、理想のメニューはできるのか。

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フードロスに悩む企業さんいらっしゃい! 捨てられるものがおいしく大変身


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大根の皮やリンゴの芯をチップスに、大根の葉を蒸しパンに変えるなど、捨てられる食材に「オイシックス」が付加価値をつけた商品「アップサイクル by オイシックス」は、現在66種類がラインアップされている。このアップサイクル商品を開発しているのが、グリーン戦略室だ。

チームリーダーの東海林園子さんは、「今まで、表に立って『サステナブルだよ』と発言してこなかったが、これからの時代、自分たちが課題に向き合っていることをお客様に伝えていくことは大事」と話す。
そんな「オイシックス」に、食品ロスに悩む企業の注目も集まっていた。
「チョーヤ梅酒」は国産梅100%で梅酒を造っているが、漬け終わった梅の実は使い道がなく、その多くを捨てている。今回「オイシックス」は、この梅の実を受け入れ、商品化することに。

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梅酒の漬け梅は年間2000〜3000トンほど出るそうで、「チョーヤ梅酒」の森田英幸さんは、「オイシックスさんはフードロスの観点から、本来ならば捨てられるような食材をアップサイクルしているので、梅酒の梅を利用してもらうのは非常にありがたい」と話す。

東海林さんは日本一の梅の産地和歌山の農協と組み、半年かけて梅の実を使った商品開発に挑んできた。長期間にわたって酒に漬けられた梅の実は、アルコール分が強い。機械で一つひとつ種を取り、圧力釜に入れ、時間や温度を微妙に調整しながらアルコールだけを飛ばしていく。
数時間後に取り出し、甘みを加えるために、糖液にひたす。東海林さんのこだわりで、梅本来の風味を活かすために、砂糖以外に余計な添加物は極力加えない。
最後に一昼夜かけて乾燥させ、「梅酒から生まれたしっとりドライフルーツ」が完成した。

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カフェチェーン「プロント」(全国180店舗)も、「オイシックス」を頼る企業の一つだ。
「プロント」は、全店で年間約750トン出るコーヒー豆のかすを食品化できないかと相談を持ちかけた。

コーヒー豆のかすをアップサイクルするために、東海林さんが組んだのは、食品製造会社「ありがとう」(千葉・柏市)。あられやおかきを作る老舗の食品工場だ。
工場では、「プロント」から回収したコーヒー豆のかすをもち米に練り込み、じっくりと焼き上げる。生地に均等に混ぜ込むことができるのは、この工場の独自技術によるもの。
コーヒーの苦味を際立たせるため、チョコレートをコーティングする最後の仕上げは、東海林さんのアイデアだ。

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こうしてできた「コーヒーから生まれたチョコあられ」は、食物繊維も豊富。東海林さんは「おいしくて、お客様が新しい喜びとして評価してくれる。その商品がサステナブルだったというのを目指している」と話す。

番組ではこの他、去年10月、「シダックス」へのTOB(株式公開買い付け)を成立させ、「シダックス」との協業に向け、動き出した「オイシックス」の奮闘を追う。

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