“ダークヒーロー”福士蒼汰、プロットからアイデアを出した作品で新境地開眼

公開: 更新: テレ東プラス

 
新境地開眼! ドラマ8「弁護士ソドム」(毎週金曜夜8時放送 ※初回2時間スペシャル/テレビ東京系)で、主演を務める福士蒼汰が“詐欺加害者に手を貸す”と悪評のやり手弁護士・小田切渉を演じる。「ソドム」とは旧約聖書に登場する街の名前で、「退廃」や「悪徳」の象徴とされる言葉だ。

(仮)「弁護士ソドム」福士蒼汰×祖父江P 前編
自身初の弁護士役。これまでにないダークヒーロー。節目の年齢を前に何を思うのか? 本作を担当する祖父江里奈プロデューサー同席のもと、クランクイン間もない福士さんに聞いた。

プロットからアイデアを出した作品


(仮)「弁護士ソドム」福士蒼汰×祖父江P 前編
――テレ東の金曜夜8時のドラマ枠が「ドラマ8」としてリニューアル。その幕開けとなる本作は完全オリジナル作品ですが、まずは企画の成り立ちからお聞かせください。

祖父江「テレビ東京ドラマ室で議論を重ねた結果、“弁護士の復讐もの”という企画を、“ドラマ8”の一発目でいこうということになりました。まだ内容が詰めきれていませんでしたが、主演を福士さんにオファーしたところ受けていただいて。福士さんからいただいたアイデアも取り入れながら脚本を作っていきました」

――福士さんは、どういったアイデアを出されたのですか?

福士「最初に、自分が今やりたいこととして、アクションを取り入れた作品を提案させていただいて。そこに“弁護士の復讐もの”の企画があるとうかがい、僕の案と合体させて“詐欺専門の弁護士の話”に決定しました。“恋愛”や“家族”の要素も入れられるように擦り合わせて、一緒に練っていきました」

――そもそも“アクション”が福士さんの念頭にあったんですね。

福士「そうです。詐欺にまつわる作品はアクション作品にもなると思っていて。騙し騙され、ハラハラドキドキする、スリルのようなものを含めてアクションだと、僕は思います。だから詐欺を題材にした作品に挑戦してみたいなと。弁護士×詐欺というテーマの中で、自分のアイデアを書き出してプロットを作ってみました」

――ええ!? すごい。普段からプロットを書かれるんですか?

福士「いいえ、初めてです。今回は“どんなドラマにするか?”という段階から参加させていただいたので、せっかくならやってみようと思って。ドラマのベースになるところを提案したからには、いつも以上に責任を負わないといけないな、と。ちょうど詐欺を題材にした映画やドラマをたくさん見ていたので、自分の中でやりたいアイデアもいくつかありました」

祖父江「プロットが文書の形でくるとは思っていなかったので驚きました。俳優さん側からアイデアをいただくこともありますが、大概は口頭での打ち合わせなので。いたく感激しましたし、士気が上がりました」

(仮)「弁護士ソドム」福士蒼汰×祖父江P 前編
――そこから脚本の泉澤陽子さんが入られて。

祖父江「そうですね。脚本にも、物語の軸の部分で福士さんのプロットが生きていますよね?」

福士「ありがたいことに、泉澤さんが取り入れてくださいました」

祖父江「他にも主人公のキャラクター造形やストーリーラインも、福士さんが具体化してくださったんですけど、それもちゃんと生きています」

福士「僕が演じる小田切渉という人物に視聴者のみなさんが感情移入できるようお見せしたいですし、同時にエンターテイメントとしての魅力も伝えていきたいので、そこは一番大切にしました。“人間を描く”ことだけを意識するのではなく、ドラマとしての面白さを見せられるように、エンタメとのバランスについては何度もお話させてもらいました」

祖父江「主演俳優さんにここまでやっていただくと、現場も盛り上がります。スタッフもみんな“やるぞー!”みたいな(笑)」

(仮)「弁護士ソドム」福士蒼汰×祖父江P 前編弁護士ソドム」公式Twitter@tx_dorama8
)より

――公式Twitterに公開されていた台本も、各話色が違う凝ったデザインで。こういうところからも現場の盛り上がり、士気の高さを感じられます。

祖父江「あれはまだタイトルのロゴができていなかったからああなったんですけど(笑)、ありがとうございます。全部で8パターンほど作って。及川(拓郎)監督に選んでいただいて。すごくデザインとかビジュアルにこだわる方なので気合いも入りました」

福士「衣装などもそうですが、ものすごくこだわる方です」

祖父江「“こういうものが撮りたい”というものがしっかりある監督さんなので、ロケ地選びにも相当時間をかけていますね」

(仮)「弁護士ソドム」福士蒼汰×祖父江P 前編「弁護士ソドム」第1話より

――同じく随所にこだわりが光ったドラマ「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(テレビ東京系)の監督さんなので期待も高まります。指殺人対策室のセットなど作り込んでいましたからね。

祖父江「今回のセットも、秘密基地…じゃないですけど、渉たちのアジトが出てきます。ご期待ください」

――ご自身で企画から携わられた作品だと、実際に現場でお芝居をしてみて、さらなるアイデアが浮かぶ…など、役を演じる上でいつもと違ったりしますか?

福士「お芝居すること自体は変わらないですが、監督とは現場でいつも以上に密にコミュニケーションを取っていて、渉の心の流れだけは崩さないよう、考えを共有しています。やはり現場は生ものなので、そこ(心の流れ)が崩れそうになったときは、臨機応変にセリフが変更になることも。『このシーンはこういう演出にするのはどうか』という相談もできていますし、それに対して監督もフレキシブルに対応してくださるので、より面白いものになっていると思います」

――及川監督の演出はどんな印象ですか?

福士「監督が思い描く映像が分かりやすくて、お芝居はギミックに頼らずそのままを撮ってくださるので、役者としてやりがいを感じます。そして、お芝居はシンプルに撮る一方で、台本のト書き(※状況説明)はすごく時間をかける。第1話のあるシーンでは、台本上では『歩く』というト書きのみだったんですが、ひと晩まるまる使って撮影して、それでも撮りきれませんでした(笑)」

祖父江「これが、すごく美しいんですよ。渉がびしょ濡れになって叫ぶシーンは、台本では細かく指示されていなくて監督の演出なんですが、めちゃくちゃいい画で」

――衣装もこがわりがある監督さんだとおっしゃっていましたね。

福士「普段の渉は、全身真っ黒で“ソドム感”があるんですが、アジトのシーンではパーカーにフライトジャケットというようなカジュアルな感じで。髪型の違いも含めて『そこはガラッと変えたいんだ』とおっしゃっていました。そのギャップも見ていただきたいです」

初回からスピーディーな展開


(仮)「弁護士ソドム」福士蒼汰×祖父江P 前編「弁護士ソドム」第1話より

――初回2時間SPは非常にスピーディーな展開です。みなさんで意見を出し合った脚本のご感想は?

福士「お話し合いをさせてもらった段階で、“1話で渉の目的を明かした上で物語が進む。視聴者のみなさんもそこが分かったうえで見ていただく”ということを決めていましたので、初回の2時間には情報が詰まっていると思います。自分で言うのも何ですが、セリフの掛け合いも含めてすごく面白い。ハラハラドキドキ、そして最後はスカッとしてもらえると思います」

――だからこそ、2話以降どうなるのか、展開が気になります。

福士「そのぶんプレッシャーもありますが、それもさらに超えていくべく、スタッフさんともども日々格闘しています」

――1話目にして単なるリーガルサスペンスでは終わらない、そんな予感が。でんでんさん、光石研さんら脇を固める俳優陣も気になる存在です。

福士「まだまだ登場していないキャラクターもいますし、展開に乞うご期待です」

――主題歌はBLUE ENCOUNTの「有罪布告」。テレ東のドラマ主題歌はいつも唸らされるので、こちらも楽しみです。

祖父江「すごくカッコいいです。アニメや他のドラマ主題歌として聴いて、その作品の魅力を上げてくれるバンドだなと常々思っていたのですが、今回もこちらの期待以上でした。脚本を読み込んで、世界観に寄り添って書き下ろしていただいた楽曲なので、劇中でかかると“おおっ”となるはずです」


(取材・文/橋本達典)

(仮)「弁護士ソドム」福士蒼汰×祖父江P 前編
ドラマ8「弁護士ソドム」初回2時間スペシャルは?

第1話
人情に厚い篠崎誠(でんでん)の法律事務所に所属する若手弁護士・若松まどか(玄理)のもとに、友人の水元沙耶(秋元才加)が結婚詐欺にあったと駆け込んでくる。マッチングアプリで知り合った男性に300万円を騙し取られたという。結婚資金として貯めたお金だと涙ぐむ沙耶を救うため、まどかは弁護を引き受けることに。ところが相手側の弁護士は、SOGA法律事務所所属、周囲からは“法曹界のソドム”と呼ばれ恐れられている小田切渉(福士蒼汰)だった…!「ソドム」とは旧約聖書に登場する街の名前で、「退廃」や「悪徳」の象徴とされる言葉。その名の通り、詐欺師専門の悪徳弁護士として名を馳せている彼に、篠崎は気をつけるよう忠告するが…。

【プロフィール】
福士蒼汰(ふくし・そうた)
1993年5月30日生まれ。東京都出身。2011年ドラマ「美咲ナンバーワン!!」(日本テレビ系)で俳優デビューし、同年「仮面ライダーフォーゼ」(テレビ朝日系)でドラマ初主演。「神様のカルテ」(テレビ東京系)、「大奥」3代・徳川家光×万里小路有功 編(NHK)など出演作多数。その名を全国区にしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」がNHK BSプレミアムで再放送中。主演オリジナルドラマ「NoMAD Workout -FUKUトレin NY-」(U-NEXT)が5月6日(土)より配信、初の海外ドラマ「THE HEAD」Season2(Hulu)が、6月17日(土)より配信。
Twitter:@fukushi_staff
Instagram:@ fukushi_sota_official

祖父江里奈(そぶえ・りな)
1984年7月14日生まれ。岐阜県出身。2008年、テレビ東京入社。「YOUは何しに日本へ?」などのバラエティ番組を担当し、2018年より制作局ドラマ室に。「来世ではちゃんとします」シリーズ、「生きるとか死ぬとか父親とか」「運命警察」などを担当。
Twitter:@RSobby