ゲーム反対派の小籔千豊が語る、子育てそして心境の変化「将来のことを考えたら、ゲームより勉強だと…最初はものすごく否定的でした」

公開: 更新: テレ東プラス

―― 一方で、素性がわらかない不特定多数の人と出会えてしまうことに、マイナス面を感じる親御さんも多いですよね。

「もちろん、不安はあると思います。オンラインで偽名を使って連絡を取り合ったり、ニュースに匿名でコメントを書いたりするという風潮に、僕ら親世代は、分別がつく年齢や大人になってから触れていますけど、それが子どもの頃からとなると、いったいどうなってしまうのか…。
ただ、執拗に誹謗中傷するなど、迷惑がかかる行為は、今現在大人もやっていることなので、意外と年齢は関係ないのかなと。大人も乗りこなせていないネットの波の中に子どもがいる、でも親には知見がなく、子どもたちだけがネットに触れている…僕はそんな状態の方が怖い気がします。
この先、子どもたちはきっと、僕らが経験したことがないネットの世界で生きていくようになる。だからこそ、怖いからという理由で与えないのではなく、“ネットは便利だけど怖い武器でもある”ということを教えていくことが大事なのかなと。
そんなネットリテラシーを伝えるためにも、共通の趣味を持つというのはすごく便利だと気づきました。一緒にゲームしながら、『こういうことはやったらあかん』というのを教えるきっかけにもなるので」

小籔千豊
――なるほど! 親としては、コミュニケーションの大切さなど、いろいろ教えることができる。

「それは大いにあると思います。ゲームって人格が出るんですよ。“どうしたら人が嫌だと思うか”を知ることができる。あと、コツコツ学ぶことの素晴らしさも伝わりやすくなったような気がします。
これまでは、いくら『予習した方がテストの結果が良くなる』とアドバイスしても、子どもたちは右から左な感じだったんですよ(笑)。でも、『あの選手はクリエイティブモード(1人で練習できるマップ)で練習したから上手くなったんや!』と言うと、すぐに理解できる。バトルを通して、基礎練習の大切さを学んでいると思いますし、親が伝えたいことが、具体的に浸透しやすくなったような気がします」

――小籔さんはとても教育熱心なイメージですが、子育てを通して感じていることは?

「今、振り返ってみても、僕の子育ては、無計画だったな~とは思います。子どもが生まれた時は、子育ての本を読みあさり、“とにかく褒めろ”という本を読んだこともありましたが、結局子どもは親の背中を見て育つし、親のマネしかしないんやなと思います。
僕は、東京で何週間か仕事をして大阪に帰るという暮らしをしていますが、しばらく会わないと、娘と息子のしゃべり方や笑い方が嫁はんによう似てくるんですよ(笑)」

――親の背中を見て育つ…たしかにそうかもしれません。子どもたちに大切にしてほしいことはありますか?

「『お店の人に偉そうにするな』とは言っています。お客だからという考えではなく、料理を作ってもらい、食べさせてもらっていると思うことが大事。あとは“挨拶をする”“パパが早く死んだらママに山ほど金を渡すように(笑)”とは伝えていますね。

なるべく、自分が正しいと思うことは曲げないようにしていますが、最近は“それもどうなん?”と思うような出来事があって…。ある時、テーマパークに行ったら、優先チケットがあり、普通の人たちより早めにパークに入れたんですよ。そしたら優先的に入った人たちが一斉にお目当てのアトラクションに向かって走り出して…。どうしようと悩んでいた矢先に、キャストの方たちが“走らないで”というプラカードを持っているのが見えたんです。嫁はんも“走るんか?”と僕を見てくるので、そこは悩んだんですけど、僕は“走らない”と決めて歩きました。そしたら今度は、後から優先じゃない人たちが走ってきて僕らを軽々と追い抜いていって…(笑)。嫁はんと子どもは“パパが言っていることは正しいけど、走らないの?”という顔で見てくる。あの時の『優先チケット、全く意味がなかった』という空気はいたたまれなかったです。そしてこれをいい方で受け取ってくれているのか、バカ正直にならず走った方がお得という反面教師になっているのか…いずれ、子どもたちが大きくなった時に聞きたいことのひとつです(笑)」

――それは悩ましいところですね。親としてブレずにいるということも、子育てにおいてはなかなか難しいことなのかもしれません。
書籍も出版し、ゲームを通じて親子の交流が深くなった小籔さんですが、今年も、「フォートナイト」の親子大会を開催します。

「今回で3回目を迎えましたが、レベルがどんどん上がっていて、予選も何日もやっているんですよ。参加者がみんな優秀で、ハイレベルな戦いをお見せできると思います。
僕のように子どもが好きで始めた人から、一緒にハマっている親子などさまざまで、以前、上位に入ったお母さんにインタビューしたら、『息子が立派になって感動しています』と泣いて喜んでくれて…。シングルファザーで週1日しか会えない親子から『毎夜、違う場所でフォートナイトをしながら会話しています』みたいな話を聞くと、ご家族それぞれの付き合い方があり、ゲームを通して絆を深めているんやなと気づかされます」

小籔千豊

「子どもがハマっているなら、寄り添って一緒にやってみると会話が増えると思いますし、ただゲームをしている姿だけじゃなく、そのコミュニティーでどのような行動を取っているのかなど、子どもの振る舞いを垣間見ることができるのもうれしいところ。“子どものことを知りたい”と思っている親御さんにはぜひゲームに挑戦してもらい、大会に参加していただけたらと思います」

――今回の大会を親子で観戦したら、ゲームに対して、また違った見え方が生まれるかもしれないですね。

「ゲームに対して、懐疑的に思っている大人はたくさんいると思います。その気持ちも、僕は十分理解できますし、きっと正論だと思います。でも、皆さんが思っている以外の部分で、得られる良い面はきっとある。この大会には、それが詰まっていると思います。観戦しながら、改めてゲームとは、親子とはみたいなことを考えてもらえたらいいなと思います」

小籔千豊
ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由」(辰巳出版)

小籔千豊 プロフィール】
1973年9月11日生まれ。大阪府出身。吉本新喜劇の座長を15年以上にわたり務めただけでなく、俳優やバンド活動など多方面で活躍する。4月23日(日)、渋谷ヨシモト∞ホールにて、全世界での競技人口3.5億人以上を誇る超人気バトルロイヤルゲーム「FORTNITE」イベント「第3回 親子大会 featuring Fortnite」の決勝大会の開催。大会の模様を、YouTube「フォートナイト下手くそおじさん」にて配信する。

画像ギャラリー