「フォーエバー21」が再上陸!日本オリジナルの服でリベンジ:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

4月14日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「お気に入りの服 いつまでも~アパレル大量廃棄からの脱却~」。
日本国内だけで、年間50万トン以上の服が捨てられるというアパレル業界。世界2位の環境汚染産業ともいわれている。
そんな中、アパレルメーカーが、“環境配慮”に大きく舵を切っている。「ユニクロ」が始めた“お直しサービス”、脱ファストファッションで再上陸する「フォーエバー21」の舞台裏に密着した。

ユニクロの新サービスは…「服のお直し」!?


2006年に古着の回収をスタートし、ダウンをリサイクルするなど、早くから環境配慮に取り組んできた「ユニクロ」。去年10月からは、洋服を長く着てもらおうと、お直し事業に乗り出した。
お客が持ち込んだパーカーの肘の部分に開いていた穴は、細かな刺しゅうが施され、ワンポイントに。生地の破れ直しの料金は2000円~だ。

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なぜ新品を買おうと思わなかったのか。話を聞くと「愛着があるから、好きなものは長く使いたい。直せるものは直したい」「ユニクロ製品でも、年が変わると形が変わる。『あの形が気に入っていたのに』というものがある」との答えが。

その他、ニットの穴直しは1カ所500円、ダウンの破れ直しは1500円から。直すだけではなく、100種類以上のイラストや文字を刺しゅうすることもできるため新品のダウンに刺しゅうを施し、オリジナルを作る人も。

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500~2000円ほどで、「ユニクロ」の服が生まれ変わる新たな取り組み。この「RE.UNIQLO STUDIO(リ・ユニクロスタジオ)」は、現在、10の国と地域で18店舗を展開し、日本では「ユニクロ 世田谷千歳台店」(東京・世田谷区)内にコーナーを構える。
事業を立ち上げた花田彩さんは、「1回買ったら終わりではなく、破れたら戻ってきてもらう。何度も店舗に戻ってきてもらうという関係性を作りたい。そうすることで、売り上げにも寄与していく」と狙いを話す。今後はお直しの技術をさらに研究し、扱える服を増やしていく予定だ。

2月下旬、お直し事業をさらに広げようと花田さんが動き出した。世田谷千歳台店に続く国内2つ目の「RE.UNIQLO STUDIO」が、新店舗「ユニクロ 前橋南インター店」(群馬・前橋市)内にオープンすることが決まったのだ。
集められたのは、普段接客をしているスタッフたち。そこに配属されたのが西山和貴さん(22)だ。早速研修が始まり、この日は、日本の伝統的な刺しゅう「刺し子」を習う。レトロな模様が若い人にも人気だが、西山さんは慣れぬ作業に苦戦していた。

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4月6日、いよいよ迎えたオープンの日。これからの「ユニクロ」を占う新店舗で、カフェなど新しい仕掛けが満載だ。売り場の天井には、天窓を設けて陽光が差し込む工夫も。

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2カ月前の研修では、初めての刺し子に苦戦していた西山さんだが、果たしてその腕前は……?

ニッポンに再上陸! ファストファッション界の黒船


アメリカ・ニューヨーク。その中心地に、話題の店「フォーエバー21」がある。かつて日本でも人気を博したファストファッションブランドで、経営破綻により日本から撤退したが、なんとアメリカで息を吹き返していた。
この店の売れ筋は、キラキラ素材の白ジャケット(約1万3000円)だ。他にも、1万円以上するパンツスーツのセットなど、かつての激安イメージとは様変わりしていた。

「フォーエバー21」が再上陸!日本オリジナルの服でリベンジ:ガイアの夜明け
「フォーエバー21」が日本へやって来たのは、2009年。当時のウリは、圧倒的な低価格と流行のデザインを短期間で投入するスピード。まさに、ファストファッションブームの火付け役となったブランドだ。原宿や銀座をはじめ店舗を拡大し、店の前には大行列ができたが、2019年、上陸からわずか10年で日本を去ることに。

その「フォーエバー21」が、日本に再上陸する。商品企画や販売は「グローバルワーク」など30以上のブランドを展開するアパレル大手「アダストリア」が手掛けることに。日本市場を知り尽くし、売り上げは、「ファーストリテイリング」「しまむら」に次ぐ業界3位だ。

去年9月、「アダストリア」本社(東京・渋谷)で、「フォーエバー21」日本再上陸の記者会見が開かれた。プロジェクト責任者の野田源太郎さんは、「クオリティーが価格よりも大事。使い捨てできない、しないということ。適切な価格で適切な商品を作って、商品価値が上がっているものをしっかりとお客様に提供する」と話す。

「フォーエバー21」が再上陸!日本オリジナルの服でリベンジ:ガイアの夜明け
去年10月、新商品のサンプルが本社に届いていた。野田さんが次々と修正の指示を飛ばす。以前の「フォーエバー21」は、本国主導でサイズやデザインを決めていたが、今回は主力となる商品を日本人に合わせ、一から企画しているためだ。
野田さんは全ての服に目を通し、ミリ単位で修正。オープンまでに250種類を仕上げるため、果てしない作業が続く。

2月下旬。東京・渋谷で、4月の再上陸を前に期間限定ショップを開くことに。実際に初披露のオリジナル商品を手にしてもらい、生まれ変わった「フォーエバー21」をアピール。
このショップ、お客が試着した姿をプロのカメラマンが撮影し、SNSなどで発信してもらう仕掛けや、ネットで先行発売し、売れ筋を探る狙いもあった。
「前はぺらぺらで使い捨てに近い感じだったけど、生地がしっかりしていて長年着られそう」と、お客の反応も上々だ。

「フォーエバー21」が再上陸!日本オリジナルの服でリベンジ:ガイアの夜明け
しかし、1カ月後の3月下旬。ネットでの先行販売の売れ行きは、思うほど伸びていなかった。再上陸本番まで1カ月を切ったが、新生「フォーエバー21」、巻き返しの秘策とは――。

能登が生んだ劣化しにくい新素材「フォーエバー21」の目玉商品に


3月、商品企画の山村彩花さんたちは、80年以上の歴史を誇る国内有数の織物メーカー「丸井織物」(石川・中能登町)へ。1937年の創業以来、今も技を磨き続ける「丸井織物」は、他にはない驚きの生地を開発していた。それは、再生ポリエステルの糸で織った生地。
再生ポリエステルは衣服などから作られ、新たに石油由来の原料を使わない。何度も循環させることができる、エコな原料といわれているのだ。

「フォーエバー21」が再上陸!日本オリジナルの服でリベンジ:ガイアの夜明け
その再生ポリエステルを使い「丸井織物」が独自に開発した生地が「ノトクオリティ」。
10年間毎日履いてもほとんど劣化しない長持ち素材で、塩素系の漂白剤を垂らしてもほとんど色が変わらないという強みも持つ。

山村さんたちは、この超寿命素材を「フォーエバー21」で使いたいと持ちかけていた。
当初、「丸井織物」宮本米藏副会長は、ブランドの大量消費のイメージから「ちょっと違うんじゃないか」と感じていたが、「何回も着られることにこだわったアイテムを作りたい」という山村さんの熱意に心が動いた。「超寿命素材は、長く服を使う人のために作っている。今回、そのコンセプトと合った形なので、何か生まれれば面白い」と賛同した。

「フォーエバー21」が再上陸!日本オリジナルの服でリベンジ:ガイアの夜明け
新生「フォーエバー21」がオープンする2週間前の4月4日。本社の会議室で商品企画の山村さんがブランド責任者の野田さんに見せたのは、「丸井織物」の超寿命素材を使った新作のワンピース。柔らかくて張りがあり、シワにも色落ちにも強い…長く着られるサステナブルな目玉商品だ。

脱ファストファッションの準備は整った。いよいよ再上陸の本番が迫る……。

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