沢村一樹、竹内涼真との共演語る「一つの作品でいくつもの人格を演じるのは、きっと勇気がいる」

公開: 更新: テレ東プラス

3月24日(金)夜8時から、1夜限りのドラマスペシャル「ペルソナの密告 3つの顔をもつ容疑者」を放送! 虚実が入り混じった現代社会におくる、これまで観たことのないヒューマンサスペンスドラマ。誰が〝ほんとうの顔〟で、誰が〝ニセモノの顔〟を被っているのか? 人間の根源に鋭く迫る新感覚ドラマだ。

過去にある事件で妻を殺害された元刑事・獅子舞亘役を演じるのは沢村一樹、そして沢村が連続誘拐事件の容疑者として取り調べに挑む、解離性同一性障害(DID)の青年・元村周太役を、竹内涼真が演じる。

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「テレ東プラス」は、主演の沢村一樹にインタビュー! 作品への熱い思いとプライベートでの"別の顔"について語ってもらった。

DIDに関心を持つようになったきっかけは、あのベストセラー

――この作品を通して、かつては多重人格と呼ばれていた症例が、今はDIDと呼ばれていることを初めて知りました。沢村さんが最初に脚本を読んだ感想からお聞かせください。

「実は今回、企画の段階から少し関わらせていただきました。脚本を作る段階ではDIDの表現が難しかったんですけど、最終的には面白い脚本ができました。DIDを抱える元村役を誰がやってくれるのか...非常に気になりました」

――DIDに関心があったとのことですが、きっかけは?

「30年以上前、DIDをテーマにした小説『24人のビリー・ミリガン』を読み、とても興味深かったんです。ドキュメンタリーでも取り上げられているテーマですが、いまだに理解が進んでいなくて、以前からドラマで問題提起ができないかと考えていました」

――今回、DIDの青年・元村を竹内涼真さんが演じます。

「正直、驚きました。すごく難しい役で、今までの竹内くんのイメージとはまったく違うキャラクターも演じることになるので、(イメージ的に)大丈夫かなとも思いました。でも、そんな心配とは裏腹に、初日から竹内くんのお芝居にものすごいパワーを感じたので、良い作品になると確信しました。
竹内くんの演技は圧巻でしたね。思い出すだけで鳥肌が立つぐらい。彼の目つきやしぐさが人格交代してパッと変わる場面は、このドラマの一番の見どころでしょう。
竹内くんとは、同じ作品に参加したことはありましたが、直接共演するのは初めてでした。彼は今回高い熱量で臨んでいて、いろんなアイデアを現場に持ってきてくれました。生の感じを大切にする役者でもあり、彼との芝居はとても楽しかったです」

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――沢村さんが演じる獅子舞はシングルファザーの元刑事ですが、演じる上で心がけたことはありますか?

「妻を亡くして娘と2人暮らしの刑事の役は今までも演じてきたことがあるので、獅子舞として新しい引き出しを用意する必要があると思いました。ただ、細かいことはあまり考えず、元村と対峙した時の自然な感覚を大切にして演じようと心がけました。
今回は、元村との関係が一番のポイントになるので、竹内くんに反応した芝居ができるように、撮影前から作り過ぎず、ニュートラルな状態でクランクインしました」

――沢村さんにとっての新しい引き出し、獅子舞らしさをどのように意識して演じましたか?

「獅子舞が、『人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている』と語るシーンがあって、そのセリフがカギになると思いました。獅子舞も、父親としての一面、刑事としての一面、その時々でいろんな顔があります。獅子舞が相手によって違う表情を見せることは、演じる上で意識しました」

――獅子舞の娘・音を演じる畑芽育さんの印象を教えてください。

「透明感がありますね。先日、韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で主演したパク・ウンビンさんのファンミーティングに行きましたが、ものすごく透明感のある女優さんで、畑さんの雰囲気が少し似ていたので、そのことを伝えたところ、彼女も『ウ・ヨンウ~』は観ていたようで、喜んでいましたね。あれだけの透明感を持つ女優さんは、貴重だと思います」

沢村一樹が欲しい"別の顔"とは?

――先ほど、"人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている"というお話がありましたが、沢村さんは、いくつの顔を持っていますか?

「たくさん持っていますよ(笑)。例えば、バラエティーで共演した方には、『煙に巻かれる感じがする』とよく言われます。押しても引いても手応えがない相手と思われるみたいで...。そういう時は自分でも無意識に、ふわっとしたキャラクターでいようとしているんでしょうね。あとは役者の顔、父親の顔と夫の顔もあって、それぞれ違うと思います」

――"自分にこんな顔があればいいな"と思うことはありますか?

「生真面目すぎると言われるので、細かいことを気にせず、『それぐらいいいじゃん!』って楽しく生きている人を見ると、うらやましくて...(笑)。自分にも、そういう面があったらいいですね」

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――獅子舞は家事が得意ですが、沢村さんが好きな家事は?

「掃除ですかね。きれい好きというのとはちょっと違っていて、部屋が散らかっていると心がかさついてしまうような気がするので、片付けておきたいんですよ。きれいにできていない時は、"自分の内側が雑になっている"というサインだと思っています」

――昨年、Instagramを開設しました。手応えはいかがですか?

「楽しいですよ。どんなことをインスタに載せようか考えていると、自然と日常生活の中で自分のアンテナが伸びるというか。やりたいと思ったきっかけはいろいろありますが、一つはコロナ禍でYouTubeを観るようになり、テレビほど大きいメディアではないけど、自分のことをちゃんと発信できるSNSってすごいなと思ったんです。インスタなら手軽に発信できそうだし、ちょっとやってみたいなと思って始めました。
昔は、役者がプライベートを出すのはどうなのかなと思っていたんですけど(笑)。やってみると、皆さんのリアクションもうれしいし、あれこれ考えるのが面白いです」

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

「一つの作品でいくつもの人格を演じるのはきっと勇気がいることで、そこに思い切ってチャレンジした竹内くんと畑さんの演技に注目していただきたいですね。謎解きのストーリーも面白く、どんでん返しが何回もあるので、最後まで推理を楽しんでいただけたらと思います」

【沢村一樹 プロフィール】
1967年7月10日生まれ、鹿児島県出身。モデル活動を経て、1996年、俳優デビュー。「浅見光彦シリーズ」、「DOCTORS~最強の名医~」シリーズ、「サラリーマンNEO」など、多数出演。「突然ですが占ってもいいですか?」のMCも担当している。

(取材・文/伊沢晶子)

【あらすじ】
獅子舞亘(沢村一樹)は、派遣の仕事をしながら高校生の娘・音(畑芽育)を男手ひとつで育てていた。そんな忙しくも穏やかな日々が一変する。発端は近所で立て続けに起きた誘拐事件。警察は元村周太(竹内涼真)を逮捕したが、怯えながら「何も知らない」と否認。その直後、周太とは違う人格が次々と現れ、挙句「獅子舞亘を呼んで下さい!」と叫び出したのだ。
実は獅子舞は元刑事で署に足を運ぶのは7年ぶり。元村が呼び出した理由はわからないものの、彼が複数の人格を持つ解離性同一性障害(DID)だと知ると、なぜか「元村と一緒に捜査させてほしい」と申し出る。その背景には獅子舞の哀しき過去が――。
異例ながら捜査の許可がおり、一般人が再び刑事として、容疑者と事件を追うことに。獅子舞の刑事の目と、元村の中にいる人格(周太・カブト・バク)の証言や高い知能によって、早期解決するかに見えたが、連続誘拐事件はやがて思わぬ方向へと動き出す。