竹内涼真 難役に挑む「交代人格たちが望む目的を明確にすることで、どう展開していけばいいのか...おのずと見えた」

公開: 更新: テレ東プラス

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3月 24 日(金)夜8時から、1夜限りのドラマスペシャル「ペルソナの密告 3つの顔をもつ容疑者」を放送! 虚実が入り混じった現代社会におくる、これまで観たことのないヒューマンサスペンスドラマ。誰が〝ほんとうの顔〟で、誰が〝ニセモノの顔〟を被っているのか? 人間の根源に鋭く迫る新感覚ドラマだ。

過去にある事件で妻を殺害された元刑事・獅子舞亘役を演じるのは沢村一樹、そして沢村が連続誘拐事件の容疑者として取り調べに挑む、解離性同一性障害(DID)の青年・元村周太役を、竹内涼真が演じる。

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「テレ東プラス」は、今までにない難役に挑む、竹内涼真にインタビュー! 作品への熱い思いを語ってもらった。

それぞれの人格の奥底に眠る、愛されたい、褒められたい、認められたいという気持ちを自分の中に取り入れて演じるようにしました

――今回竹内さんは、DIDという症例を抱える元村役を演じます。天才的なIQをもつ"カブト"、乱暴な性格の"バク"という複数の交代人格に何度も入れ替わる難しい役ですが、見どころをどこに感じましたか?

「お芝居の一つの見どころとしては、やはり元村の人格がチェンジするシーンだと思います。今回、1カ月半ほど準備期間をいただき、DIDについて自分なりに勉強させていただきました。
DIDについて書かれた資料もたくさん読みましたし、別人格にチェンジするシーンは、自分でビデオを撮って見返すなどし、いろいろな芝居を試しました。
元村には、7歳のカブトと乱暴なバクという別人格が存在しますが、準備段階で、カブトと同じ年頃の子どもたちと触れ合う機会があり、彼らが"何を求めているのか"ということを確認できたことでヒントを得た部分もありました。

カブトもバクも自分が達成したいことや目的が実に明確で、それぞれが自分たちの人生を生きているんです。主人格の元村が自分の感情を押し殺して生きてきたことで生まれた別人格たちが、愛情を手に入れるために、もがき苦しみながら前進します」

――役を演じる上で、ご苦労されたことも多かったのではないでしょうか。

「そうですね。ただ今回は、元村の役作りをすることが最優先ではなかったです。交代人格たちが望む目的を明確にすることで、どう展開していったらいいかがおのずと見えてきました。複雑な内容なので、交代人格を作る準備より、台本を読み解くのに、一番時間がかかりました。

そして、台本を深く理解する中で、DIDを抱える人を演じるということではないなと思ったんです。先ほどもお話ししましたが、カブトもバクも、一生懸命もがきながら、自分に足りないもの、満たされていないものを、無意識のうちに埋めようとするんです。
従来のイメージとは違い、自分を守るため、自分の愛情を勝ち取るために生きている姿をフィーチャーしています。これは今までになかった展開かなと。
なので僕も、DIDという症例を抱える人になりきるのではなく、それぞれの人格の奥底に眠る、愛されたい、褒められたい、認められたいという気持ちを自分の中に取り入れて演じるようにしました。だからこそ、皆さんが作品を観た時に、人間ドラマとして感情移入できるのではないかと思っています」

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――主演を務める沢村一樹さんの印象は?

「僕が人格チェンジして、沢村さん演じる獅子舞にあらゆる球を投げさせていただきましたが、沢村さんが大きな懐で受け止めてくださるのでありがたかったです。その場で生まれたものもたくさんありましたし、目の前のキャッチボールを大切にしてくださる方なので、今回は僕も、現場に行くまで、あまり芝居を決めていかないようにしました。2人でキャッチボールしながら、いい距離感でお芝居させていただきました」

――「人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている」という沢村さんのセリフが印象的です。竹内さんご自身、「顔を使い分けてるな」と感じる瞬間はありますか。

「あのセリフは、みんなに当てはまるんじゃないかなと思います。意識的に変える人もいれば、その場所に行くと自然に変わる人もいると思っていて。誰もがいろいろな顔を使い分けていると思いますし、その状況に合わせて、周りとコミュニケーションを取っていると思うんです。僕の場合、家と現場では違うと思いますし、撮影チームの色によって、自然と使い分けているかもしれません」

――今回、テレビ東京の作品は初出演となります。撮影をしてみての印象は?

「すごく難しい題材を細かく紐解いて作品にしようという気合いが好きです。現場ではいろいろなアイデアが飛び交いましたし、交代人格にチェンジするシーンに関しても、リハーサルの相談をさせていただいたのですが、皆さん『やろう!』と、とことん付き合ってくださいました。
一昨年、初めて舞台を経験させていただいた時も感じましたが、僕はリハーサルや稽古が好きなんです。稽古を重ねるごとに得ることがあるので、時間が許すのであれば、ドラマや映画もリハーサルをたくさん重ねていけたらいいなと思います。"いい作品はこうして出来上がっていくんだな"と」

――4月26日には30歳を迎えます。数々の話題作に出演し、俳優としてさまざまな顔を見せてくれる竹内さんですが、30代をどのように過ごしていきたいですか?

「そうですね。実は30歳になったからといって、特別何か新しいことをするとかはあまり考えていなくて、今はまだ修行の時期だと思っているんですよ。この仕事を始めて、まだ10年しか経っていないですし、ここ2、3年で、ようやく自分にフィットするやり方を見つけられたかなと感じているくらいで。30代はまだまだ深掘りして勉強していくことが必要だと思っていますし、本当に自分がやりたいことは、40、50代になってできれば嬉しいです。そのためにも、頑張っていきたいですね」

【竹内涼真 プロフィール】
1993年4月26日生まれ。東京都出身。2013年デビュー。2014年、「仮面ライダードライブ」で主演を務める。ドラマ「陸王」、「テセウスの船」、「君と世界が終わる日に」、「六本木クラス」など多数出演。2021年には、初となるミュージカル「17 AGAIN」に主演したことも話題に。配信中の「君と世界が終わる日に」シリーズは、映画化も決定。

(撮影/uufoy 取材・文/蓮池由美子)

【あらすじ】
獅子舞亘(沢村一樹)は、派遣の仕事をしながら高校生の娘・音(畑芽育)を男手ひとつで育てていた。そんな忙しくも穏やかな日々が一変する。発端は近所で立て続けに起きた誘拐事件。警察は元村周太(竹内涼真)を逮捕したが、怯えながら「何も知らない」と否認。その直後、周太とは違う人格が次々と現れ、挙句「獅子舞亘を呼んで下さい!」と叫び出したのだ。
実は獅子舞は元刑事で署に足を運ぶのは7年ぶり。元村が呼び出した理由はわからないものの、彼が複数の人格を持つ解離性同一性障害(DID)だと知ると、なぜか「元村と一緒に捜査させてほしい」と申し出る。その背景には獅子舞の哀しき過去が――。
異例ながら捜査の許可がおり、一般人が再び刑事として、容疑者と事件を追うことに。獅子舞の刑事の目と、元村の中にいる人格(周太・カブト・バク)の証言や高い知能によって、早期解決するかに見えたが、連続誘拐事件はやがて思わぬ方向へと動き出す。