愛娘のため匠に学んでDIY!木工オタクYOUが渾身のプレゼンに込めた思い:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを空港で勝手に出迎え、アポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(月曜夜6時25分~)。今回のテーマは「パパの愛は勝つ♪SP」。略して、"パパ勝つ!"な95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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街角でYOUの夢を突撃インタビューし、1組だけ全力で夢を叶えるサポートをする「YOUが日本で叶えたい夢は?」

声をかけたのは、アメリカ合衆国出身のトミーさん(36歳)。臨月の妻・さちさん(37歳)と、3年前から都内に住んでいる。しかもさちさんは当番組の大ファンだそうで、あざーす! そんなトミーさんは、日本の木工に興味があるという。夢は、これから生まれる娘に手作りの木工家具をプレゼントすることだ。

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ご時世的な事情があって、ご自宅にお邪魔するのが1年後に...。あのとき、さちさんのお腹にいた子(ゆづきちゃん)も、今やすっかり10カ月に成長していた! 1年半前に新築したというマイホームは、トミーさんの好きな木材に囲まれた3階建ての3LDK。細部にこだわったデザインは、おもに夫婦で相談。システムキッチンやリビングのテレビ台はニュージーランド産のパイン(松)、床材やテーブルはオークという具合で、筋金入りの木工オタクだ。

ハウスメーカーの工場に行ったときは、梁や柱にいろんな形の"ほぞ"と"ほぞ穴"を作る手法が興味深かったと振り返る。ほぞ(ほぞつぎ)とは、それぞれの木材に凹凸を作り、ハメ合わせる接合方法のこと。ネジやクギを使わないので、見た目が美しく、緩み・サビが出ないので長持ちする。「日本の組み立てはスゴいキレイだなと。習いたいなと思った」という。

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トミーさんの仕事部屋に入ると、檜の木材やカンナが。棚を一から作ろうと、専門書や動画などを参考に、この2~3週間はカンナの使い方を練習中だそう。トミーさんの本職は某有名企業のソフトウェアエンジニアだが、現在は1年間の育休中。「かわいすぎて食いたい」(!?)というゆづきちゃんのためにも日本の木工技術を学び、道具を作るのが夢なのだ。「僕も色々勉強したい」と、この企画に賛同してくれたので、密着決定!

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さて、数カ月をかけ、夢の実現に協力してくれる木工家具製作会社も見つかった! さっそくトミーさんと向かったのは、愛知県豊橋市に社を構える『老津(おいつ)木工』さん。到着したトミーさんを、3代目社長の松井さんと妻のあきなさん、長女のここみちゃんが歓迎してくれた。こちらはオーダーメイドやオリジナル家具を作る創業48年の木工会社で、ハイクオリティな家具作りを行う。今回は、材料費以外は無償で全面協力していただけるそうで、本当にありがたい。

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今回トミーさんが作りたいのは、ゆづきちゃんのための"成長しても使えるイス"。グイグイとイメージをプレゼンするトミーさんの熱意に、社長もタジタジに。

さっそく材料調達に2人で向かったのは、愛知県豊根村の「とよね木サイクルセンター」。こちらは地元産で、根曲がりが少なく色ツヤが良い高品質な「三河材」を扱う。材料にしたいのは、やっぱり檜。杉より耐久性が高く、リラックス効果のある香りが特徴だ。

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木材を調達したら、いよいよ工場に戻って念願のイス作りをスタート。いろんな機械に興味津々になりつつ、職人の藤原さんに教わりながら、まずは檜を切り分ける。そしてイスのフレームを作り、機械でほぞを作り、凸の先の角をカンナで削って凹にハメやすくする。さらにアクリル板をハメて、ほぞつぎで接合。って、アクリル板はイスなの? そこは謎のまま最後にくさびを打ち込み、ほぞを抜けにくくしたら、この日の作業は終了。トミーさんは勉強になったと大満足だ。

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イスができるまで泊めていただけるということで、日が暮れると社長のご自宅へ。3食とお酒までついて、至れり尽くせり。だが、作業でクタクタの様子。寝室に入ると、家族にテレビ電話をして、疲れを癒やすトミーさんだった。

それにしても、なぜ娘に木工家具を作りたいのか? 実は3歳の時に離婚で母に引き取られたトミーさんは、父に会えない寂しさを抱えていた。そんなとき、近所に住む木工好きの祖父が、木で木馬や車のおもちゃを作ってくれた。そのぬくもりが、長く心の支えになったそうだ。こうして2年前にパパになったトミーさんは、「がんばって手作りして、僕の存在を近くに感じてくれるような、想いのこもったものを贈りたい」と、願うようになったのだ。

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翌日は作業の続きから。イスの側面部分を作るにあたり、娘の名前にちなんで月の形をくり抜くなど、デザインにもこだわっている。電動工具で丁寧にくり抜き、ヤスリで形を整え...手際もなかなかこなれてきた。イスの側面をカンナで削るときも、「ゆづきは好奇心が旺盛でいろんなところを触っちゃうから、ケガをしないようにやっているんだ」と、たっぷり愛情を込める。

さあ、次はいよいよ組み立てだ。しかし電動工具使っていたトミーさんが手を滑らせ、数カ所に傷をつけてしまった。そこで職人歴52年の工場長・佐藤さんが水滴をたらし、アイロンをあててみると...。細かい傷がすっかり目立たなくなってしまった! 水分とアイロンの熱で木材の凹みを膨張させるという、匠の秘儀だ。こうして全作業に4日(約30時間)を費やし、『成長しても使えるイス』が完成だ! 工場のみなさん、本当にお世話になりました!

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ゆづきちゃんの1歳の誕生日パーティーの日。この日はさちさんの姉一家も集まり、パパからは大きな箱に入ったプレゼントが! 開けてみると...、トミーさんが手作りしたベンチタイプのイスに、謎のアクリルボードも登場。イスに合体させてみると、専用ペンで落書きできるお絵描きボードに大変身だ、なるほど! ゆづきちゃんの名前にちなんだ三日月デザインや、ケガ防止のための角の加工、ほぞつぎ...トミーさんのアイデアが詰まった渾身のイスに、みんな大感激。ゆづきちゃんの幸せいっぱいの笑顔も見られたところで、密着は終了。トミーさん、夢が叶って良かったね♪ 末永くお幸せに!