事故物件メリットとは?賃貸や投資で積極活用する人が増加する背景

公開: 更新: テレ東プラス

事故物件のメリットとは?

――経過年数で抵抗感が薄れるのはわかります。そもそも狭い日本で、「過去に人が死んでいない土地が存在するのか?」ということも。宅地になるような人が集まる場所では考えにくいですよね。マンション建設で遺跡が出てくるケース、歴史をさかのぼると「古戦場だった」、「首塚だった」という土地もあります。

「事故物件と呼ばれる状況が過去に起きたかどうかは不明でも、実際問題として、『誰も亡くなった方がいない土地』というのは、相当難しいでしょうね。

病気や不慮の事故によってご自宅で亡くなられた際、看取った方がいる、すぐに発見された場合は、事故物件にはなりません。そうした線引きが曖昧になる要素もありますから、普通の物件と同様に事故物件も選択肢の一つとして考えていただけるようになればと思っています」

jikobukken_20230227_03.jpg▲特殊清掃や片づけが完了した状態(左)。リノベーションを終え、おしゃれな空間に(右) 画像提供:成仏不動産

――複数回答で一部重複する人も含まれると思いますが、「住める」と回答した人が3.9%で、「内容や条件による」が46.0%。合計するとほぼ半数の人が、“事故物件を選択肢の一つとして、考えられる”ことになります。これは意外と多い印象ですよね。

「元々、『気にしない』方は一定数いて、価格の安さから積極的に事故物件を探される人もいます。以前ですと20~30代の若い方か、年齢が高めの方が多かったのですが、最近は年齢や性別に関係なく、通常の物件と横並びに、事故物件を選択肢の一つとして検討する方が増えています」

――やはり、価格のメリットが大きいのでしょうか。

「同じ条件の場合、一般的には2~3割ほど安い。しっかり対応して、完全に生まれ変わった物件でも、多少は相場より安い価格になりますね。当社は元々、内装や物件に合ったリノベーションにこだわりがあり、『成仏不動産』でもそのノウハウは活かされています。そのため、価格が通常の相場に近くても、選ばれることが少なくありません。

投資目的で不動産を取得される方の場合、調査でもわかる通り経過年数によって、抵抗感が薄れることから、確実に価値が上がる物件として、事故物件を購入される方もいます」

――経過年数で生じる築年数分を差し引いても、「底値買い」できるメリットは大きそうです。逆に、“事故物件を選ばない方がいい人の条件”はありますか?

「購入者ご本人は気にしなくても、一緒に住まれるご家族に一人でも気にされる方がいたら、選ばない方がいいです。普通の物音を心霊現象と想像してしまうなど、精神的な負担が生じる可能性が少しでもあれば、おやめになるべきかと思います。

『周囲にどう思われるか?』など、人目を気にする方も避けられた方がいいかと。マンションですと、事故物件が発生したことで『物件価値が下がった』と感じる住人の方もいますし、近隣に『よく住めるね』などと言う方がいる場合もあります。

もちろん、これまでの物件で心霊現象が起きたことはないですし、トラブルもありません。しかし、売主としては、無理や我慢をして買っていただくのは、メリットがないと考えます。通常の物件同様、安心して住めることを条件に選んでいただくことが大切ですね」

【取材協力 マークス不動産】
2016年創業の総合不動産会社。「世のために。人のために。」「不動産の可能性を追求し 世の中の困りごとを解決する」の理念を掲げ、事故物件の売買を専門に取り扱う「成仏不動産」以外にも、再建築不可物件の相談ができる「再建築不可救急隊」、離婚後の不動産売却を中立な立場で査定する「中立不動産」ほか、個性的な事業を展開している。

(取材・撮影・文/鍬田美穂)