水の再利用システムを生み出した東大発ベンチャー「WOTA」さまざまな可能性とは?

公開: 更新: テレ東プラス

企業同士が手を組み、社会課題の解決に立ち向かう姿を追う「巨大企業の日本改革3.0『生きづらいです2023』~大きな会社と大きな会社とテレ東と~」(隔週日曜深夜2時5分)が、シーズン5に突入。※3月2日(木)夜6時30分からは、『新規事業のパーパスはなんだ!?「生きづらいです 2023」LIVE PITCH』も無料生配信!

番組は、これまで、世界初の大企業の新規事業部門に特化したインキュベーションセンター「ARCH」(東京・虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー)を舞台に、大企業同士のコラボレーションを伝えてきた。
さらに本シーズンでは、大企業とスタートアップ企業が同じ目標を掲げ、理想社会の実現に向けて奔走する姿なども放送。

「テレ東プラス」は、現場の熱を伝えるべく、シーズン5の収録現場に潜入。企業のアイデアや熱量の一端に触れた。

「森」と「電力」の切っても切り離せない関係

MCの加藤浩次工藤里紗プロデューサー(テレビ東京)は、「J-POWER」(電源開発株式会社)と建築テック系スタートアップ「VUILD」の打ち合わせが行われている現場へ。

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「J-POWER(ジェイパワー)」が出資する「VUILD(ビルド)」は、デジタルテクノロジーの活用で、誰でも家具や建築物を作ることができる社会の実現を目指している。日本全国、世界各地に電力を供給する大手電力会社「J-POWER」は、なぜ「VUILD」に投資したのか。

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「J-POWER」の井手一久さん(経営企画部 イノベーションT 課長代理)によると、山奥にある水力発電所と森や木の関係性は深く、山や森がしっかり管理されていなければ、山が蓄えた雨水が円滑に流れることができず、災害や発電効率を落とす原因につながるという。

そこで「J-POWER」は、先進技術を駆使して林業の課題などにも向き合う「VUILD」に注目した。加藤も「なるほど。効率よく電力を生みながら山を守っていくため、『J-POWER』と『VUILD』が手を組んだ」とうなずく。

「J-POWER」は、木材供給の流れを知ることが山や森への理解を深めると、若手社員の"ものづくり研修"を「VUILD」で実施。若手社員は、自社の発電所がある山から切り出した木材を使って家具を作る、木を伐採する現場や製材する現場を見て学ぶという。

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井手さんは「こうした研修を他社の社員向けに展開できれば、林業はもうからないなど、課題の実態を伝えることができるのでは?」と話し、先を見据える。

この日、オンラインで会議に参加した「VUILD」の井上達哉さん(最高執行責任者)も、「森との関わりがなくなってきている現代で、『J-POWER』さんをはじめ多くの方々に伝わり、アイデアを出してもらうことで、持続可能な社会が実現する」とコメント。「先祖代々の植林を、僕らの時代で採算が合わないからと諦めるわけにはいかない。50年後の子どもたちのために、諦めず変わり続けていく仕組みを求められている」と話した。

船上でずっと水を使い続ける仕組み

水の再利用システムを生み出した東大発ベンチャー「WOTA(ウォータ)」の技術が船上で利用できれば、今後さまざまな可能性が生まれる──。そんな発想から始まった「商船三井」のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)「MOL PLUS(エムオーエル・プラス)」の取り組みが進展したという。

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加藤が大部屋を訪れると、プロジェクターを前に、「MOL PLUS」と「WOTA」の話し合いが行われ、すでに熱を帯びていた。
海外を巡る「商船三井」のクルーズ船に約50日間、「WOTA」の水循環型手洗いスタンド「WOSH(ウォッシュ)」を3台載せ、乗客約300人が実際どれだけ使ったかというデータが出たのだ。
データによると、約1800回の利用と、目標を大きく上回る結果に。また、船に積んだ2トンの水のうち98%を循環しているため、実際に消費したのは40リットル程度、大幅に水を削減することができた。

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しかし、課題もある。「MOL PLUS」代表・阪本拓也さんは、導入している規模の小ささを挙げ、「手洗いだけでなく、船内でのシャワーなどにも使えると、海上の隔離された場所で安心感がプラスされる」と話す。

「商船三井」が所有するのは旅客船だけではない。「MOL PLUS」は、この水循環システムを貨物船で利用することも想定していた。阪本さんは「例えば、貨物船に石炭を積んだ後に穀物を積む時、汚れを防ぐために真水で洗浄する。それには手洗いとは桁違いの水量が必要。これを循環した水で全て賄えれば、新しいマーケットになる」と期待を寄せる。

「出力の大きい『WOTA BOX』を使えば十分可能」と話すのは、「WOTA」の清水宏帥さん(営業渉外 Div)。さらに水循環システムを搭載することで、水の積載量もぐっと減らせるため船の低燃費化を促進できる可能性があるという。

その後は、加藤が水循環システムにおいて、水道代と電気代のバランスをどう両立するのか疑問を投げかけるなどし、さらに議論は白熱した。

(撮影・取材・文/森田浩明)


【『新規事業のパーパスはなんだ!?「生きづらいです 2023」LIVE PITCH』3月2日(木)生配信!】
3月2日(木)よる6時30分から、『新規事業のパーパスはなんだ!?「生きづらいです 2023」LIVE PITCH』Vol.5を無料で生配信いたします。

イベントのテーマは「大企業×スタートアップ」。大企業の担当者が、スタートアップと進めるオープンイノベーションと、その可能性についてピッチします。
これまで大企業同士の新規事業を中心に追いかけてきましたが、このシーズンではテーマを広げて、「大企業×スタートアップ」にフォーカスしています。
さらにはピッチもスタートアップの間で繰り広げられるような、さらに熱量のあるものにバージョンアップしてお伝えします!!

これまでの放送では、加藤浩次と伊藤隆行(テレビ東京エグゼクティブプロデューサー)が、いろいろな企業へ突撃、新規事業を取材してきました。その成果を発表するためのピッチを見届けるべく、2人はイベントにも登壇します。
さらには、数々の新規事業を成し遂げ、見守ってきたプロフェッショナル達がゲストとして登場。大企業とスタートアップの取り組みに、惜しみなくアドバイスします。今後の展開に向けて最強タッグが生まれるかもしれません。

会場は引き続き、虎ノ門ヒルズ近くの「CORE KITCHEN/SPACE」。新虎通り沿いはガラス張りですので、通りがかりの際はぜひ会場の熱気を感じてください!
大企業とスタートアップ、規模は違えど、そこに携わる人たちの熱量に優劣はありません。志を同じくして新しい景色を見るために、どういった共創が生まれるのか、ぜひ生配信で直接目撃してください!

今回の配信では、Venture Café Tokyoのフラッグシップイベントであり、森ビル、CIC TOKYOが共催する、創業・成長期スタートアップや企業家による世界最大級のピッチイベント「ROCKET PITCH NIGHT 2023」と中継をつなぎます。イノベーション×エコシステムの最前線の現場が見られるかもしれません。どうぞお楽しみに!

<加藤浩次 ピッチイベントへ向けてのコメント>
大企業だからといって気を遣うことがない、忖度や忌憚のない意見がどんどん飛び交うピッチイベントにしたいと思っています。発表する各社の担当者は、会社の上司の顔が見えても一旦頭から消してもらい、言いたいことがあればぜひ言ってもらいたいです。5回目となるピッチイベント、忖度のない現場に期待しています。頑張ります!

<イベント概要>
【イベント名】『新規事業のパーパスはなんだ!?「生きづらいです 2023」LIVE PITCH』Vol.5
【開催日時】2023年3月2日(木) 夜6時30分~8時00分
*アーカイブは、テレビ東京の経済動画サービス「テレ東BIZ」でも配信予定
【MC】加藤浩次【出演】伊藤隆行(テレビ東京エグゼクティブプロデューサー)
【進行】相内優香(テレビ東京アナウンサー)
【ゲスト】渡瀬ひろみ(ARCH CIO,新規事業コンサル アーレア代表)、角勝 (フィラメント CEO、元大阪市役所職員)ほか
【ピッチ企業】株式会社みずほフィナンシャルグループ、電源開発株式会社、株式会社 MOL PLUS
【エグゼクティブプロデューサー】伊藤隆行
【プロデューサー】工藤里紗 吉原正浩 林克征 新井若菜
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【配信URL】YouTube
【主催】テレビ東京
【協賛】森ビル株式会社 株式会社みずほフィナンシャルグループ、電源開発株式会社 株式会社 MOL PLUS、日本たばこ産業株式会社