藤原季節「『ギルガメ』が伝説的番組になっていく裏側で何があったのか...人間ドラマとしても楽しめる作品です」

公開: 更新: テレ東プラス

裸エプロンにTバック、下着姿での歌謡祭まで......。現在のコンプライアンス事情からは信じがたい企画の数々で、世間を熱狂させた伝説のお色気情報番組「ギルガメッシュないと」(1991~1998年テレビ東京)。

girugame_20230122_01.jpg▲「ギルガメッシュFIGHT」より

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天才的な発想力と分析力を誇る加藤竜也ディレクターを演じるのは、映画「his」「佐々木、イン、マイマイン」など、数々の話題作に出演している藤原季節だ。果たして藤原は、「エロへのあくなき探究心」をどう熱演したのか。話を聞いた。

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細川ふみえの「ギルガメッシュ!」に納得

――あの「ギルガメ」をドラマ化するとは...。驚きました。

「主演として出演させていただくことが決まってから、伝説の『ギルガメ』の過去の映像をチェックしたり、僕なりにいろいろと調べましたが、とにかくすごい! の一言。攻めているので、これは確かに、今の時代では難しいなと(笑)」

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

「楽しかったです。撮影期間は1ヵ月ほどでしたが、現場の雰囲気は素晴らしく、プロデューサーの栗田役を演じる大東駿介さんを中心に、みんな白熱していました。劇中では、低視聴率だった番組をどう盛り返すか、スタッフがあの手この手を打ちながら奔走します。まさに現場もそんな雰囲気でした。
もう1回やりたい、それが率直な感想ですね。『ギルガメ』の躍進から番組終了までを描いた作品なので、続編としては難しいかもしれませんが、例えば2〜4話、時間軸でのスピンオフドラマをやるとか...。今回描ききれなかった『ギルガメ』の個性豊かな企画はまだまだあると思うので、またドラマ化してもらえたらうれしいです」

――藤原さんが演じるのは、従来のテレビマンとは異なる、独創的な発想を持つディレクター。エロチシズムへのあくなき探究力が印象的です。

「脚本を読んでまず思ったのは、加藤という男は"普通の人ではない"ということ。突き抜けたカリスマ性がありますが、一方で他人とは慣れ合えない。例えば、『本日の収録、以上です!』とスタッフが声を張り上げ、みんなで肩をたたき合って盛り上がっているところに入っていけない。でもその寂しさや孤独が、ありきたりな世界と戦う原動力になっている気がします。孤立しなければ企画が尖らず、野心ゆえに一人ぼっちになっていく。ある意味、悲しい人ですよね」

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――演じる上で、苦労した点は?

「動きが増えると軽薄な人物に見えてしまうので、身振り手振りといったリアクションを、やり過ぎないように気をつけました。あくまで人間的な部分は大切に演じてほしいという監督からの演出もあり、仕草の出しどころを含め、いい塩梅を見つけるのはなかなか大変でした」

――12月には「ギルガメッシュFIGHT」の記者会見があり、出演者や監督に加えて「ギルガメッシュないと」の顔でもある、イジリー岡田さん、細川ふみえさんが登壇しました。お2人とは何か話をしましたか?

「イジリーさんは撮影現場にも来てくださったんです。加藤のモデルとなった方の人物像を教えていただきました。『声が小さくてね、ボソボソしゃべるんだけど、聞き取ろうとして耳を近づけるとすごく的確な発言をピシリと言っている』とか。何を考えているかわからない、ミステリアスな方だったそうです。

細川さんは『ギルガメッシュ!』と言う前口上を記者会見で実際にしてくださいましたね。あれはテンションが上がりました(笑)。劇中でも『彼女の顔と声で世の中の人々が癒される』という加藤のセリフが出てきますが、まさにその通り。癒しの女性とエロチシズムの融合が、『ギルガメ』の中で見事なギャップを生んだんだなぁと」

混乱の現場で大東駿介が頭を下げた?


――最も印象に残ったシーンは?

「3話で登場する『ランジェリー歌謡祭』のシーンです。あの時のみんなの盛り上がりといったら......。実は面白いエピソードがあるんです。歌謡祭のシーンでは3曲撮る予定でしたが、そのうちの1曲を歌う予定だった方が体調不良で現場に来られなくなってしまったんですよ。みんなで頭を抱えていたら、大東さんが『あのエキストラの女性にお願いしてみては?』と言い始めて...。その女性は、ランウェイをただ歩くだけじゃなく、アドリブでお尻を叩いたり、ものすごく印象的なパフォーマンスをされていたんです。
それで大東さんは『あの子、めちゃくちゃ面白くない?』と目をつけて、直接女性の楽屋を訪ねて、『ラヴ・イズ・オーヴァー歌える!?』と聞いたんですよ(笑)。スタッフさんにも『お願いします』と頭を下げて回っていて、その姿は、まるで大東さんが演じているプロデューサーの栗田が乗り移ったようでした。実際に撮ってみたらものすごくいいシーンになったので、みんなのモチベーションも一気に上がったんです」

――まるで劇中の1シーンのようです。大東さん、熱いですね!

「本当に。大東さんとの会話があまりに面白すぎて、僕、ずっとそばを離れませんでしたから。富士山に登った時の話や、京都での心霊体験など、とにかく話題が尽きません。人間的にも素敵ですし、お芝居でも役に対して体当たりで、狂気の境界線を軽々と超えてしまうのがすごい!」

――加藤はエロチシズムを徹底的に追求しましたが、藤原さん自身はどういったところに「エロ」や神秘を感じますか。

「加藤は、"ギャップこそエロスを引き出す"と言いますが、僕も全面的に同意します。エロスってその人の人間性で決まるのではないかなと。加藤を演じながら勉強させていただきました!(笑)」

――ところで、テレビ東京の番組はご覧になりますか?

「やはり、テレ東といえばドラマじゃないですかね。すごく攻めているイメージがある。ドラマ24『GIVER 復讐の贈与者』(2018年 主演:吉沢亮)では、新進気鋭の映画監督である小路紘史さんや小林勇貴さんにメガホンを取らせるとか、すごいなぁと。あと、濱谷さん(濱谷晃一プロデューサー)が手掛けるドラマはチェックするようにしています」

――では最後に、これから「ギルガメッシュFIGHT」をご覧になる皆様にメッセージを!

「エロにフォーカスがいきがちですが、職業ドラマとしても人間ドラマとしても楽しんでいただける作品です。僕は、大東さん演じるプロデューサー栗田の『俺たちはエロ番組を作っているんじゃない。エロをテーマにしたバラエティーを作っているんだ』というセリフが大好きです。『ギルガメ』が伝説的番組になっていく裏側で何があったのか、どんな志を持ってスタッフたちが臨んだのか、ぜひご覧いただきたいと思います」

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【藤原季節 プロフィール】
1993年1月18日生まれ、北海道出身。主に出演作に、映画「his」、「佐々木、イン、マイマイン」、「わたし達はおとな」、大河ドラマ「青天を衝け」、ドラマ「プリズム」など。待機作に、映画「少女は卒業しない」(2月23日(木)公開)、ドラマ「ウツボラ」(3月23日(木)より、WOWOWで放送予定)などがある。

(撮影・取材・文/森田浩明)

伝説の深夜番組「ギルガメッシュないと」とは...

1991年10月5日から1998年3月28日に放送された深夜の大人向け教養番組。
深夜バラエティー番組としてスタートするも内容、視聴率ともに低調。
1992年1月にリニューアル。オリジナリティーにこだわり、最初に企画したのが素肌にエプロン一枚という真夜中の正装で挑む料理コーナー「夜食バンザイ」。記念すべきリニューアル第1回目の視聴率は前回の1%台から5%超えとなった!

<番組概要>
【番組名】Paraviオリジナルドラマ「ギルガメッシュFIGHT」
【配信】動画配信サービス「Paravi」で2話まで独占配信中!
3話:1月14日(土)深夜1時15分配信
4話:1月21日(土)深夜1時15分配信
5話:1月28日(土)深夜1時15分配信