6年ぶりに復活!「北海道展」何度断られても...絶品スイーツは目玉になるか:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

1月20日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「老舗の意地...百貨店復活!~三越伊勢丹の舞台裏~」。
今、デパートは"冬の時代"を迎えている。1990年代をピークに、市場規模は縮小傾向。コロナ禍が追い打ちをかけ、苦しい状況が続いているのだ。
そんな中、業界を牽引するのが「三越伊勢丹」。これまで明かされなかった舞台裏を、「ガイア」のカメラが捉えた。

ネット通販で何でも買える時代に、あえて「物産展」を催す意味

かつて栄華を誇った百貨店業界は、バブル景気の90年代をピークに売り上げが激減。2008年、「三越」は「伊勢丹」と経営統合し、「三越伊勢丹ホールディングス」として日本一の百貨店を目指したが、ネット通販や新型コロナ...逆風は強まるばかりだ。

「日本橋三越本店」(東京・中央区)は、創業350年を迎えた年明けを機に、6年控えてきた「北海道展」を復活させることに。
去年11月中旬、「三越伊勢丹」バイヤーの大堀成章さん(39)は、札幌市の市場を歩き、極上の北の幸を探していた。「三越」のお客さんは目が肥えているため、半端なものをそろえるわけにはいかない。大堀さんは、「国内物産展は北海道に限らず、お客から飽きられている。とにかく変化を」と話す。

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大堀さんがどうしても見たかったのが、この春オープンする、日本ハムファイターズのホーム球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」。実はここ、北海道のグルメも充実している。大堀さんは、ここで物産展の超目玉商品を思いつく。

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12月6日、「日本橋三越本店」(東京・中央区)。「北海道展」開催に向け、大堀さんはこれまで練ってきた構想を、初めて上司に報告した。テーマは「プレイ北海道」。
「遊ぶ、楽しむ、球技を行うなど、プレイにはさまざまな意味がある」とプレゼンするが、プロモーション商品部 鈴木健彦部長は、ネット通販で何でも買える時代に物産展を催す意味を問う。

開催まで残り1ヵ月、大堀さんは再び札幌へ。今回の目当てはラーメンだが、評判店を呼ぶだけでは他の物産展と同じだ。考えたのは、人気ラーメン店同士のコラボだった。

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「コクミンショクドウ」は、「ラーメン店主100人が選ぶおいしい札幌の店(2016年)」の第1位に輝く名店。店主の浅石勝さんがコラボの相手として選んだのは、「麺処まるはBEYOND」の長谷川凌真さん。ハマグリなど貝で採ったスープが評判で、グルメ雑誌で上位に顔を出す人気店だ。すでにベースの味は、2人で試作を繰り返していたが、一体どんなラーメンになったのか。

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かつて「日本橋三越」の物産展に出店することは、全国に名前を売るチャンスであり名誉だった。しかし、時代は変わった。「SNSの波及で、物産展に出店しなくても情報拡散しやすくなった。10社声をかけて2~3社決まればいいかな」と大堀さん。

続いて大堀さんが訪れたのは、家族3人で営む小さな洋菓子店「ププリエ」(札幌市北区)。パティシエという言葉がまだ一般的ではない時代、フランスで3年間修行した店主の大久保政弘さんが、45年前に開いた店だ。

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大堀さんが目をつけたのは、北海道産のそば粉の生地に生クリーム、自家農園などで育てたフルーツをのせたガレット。政弘さんの娘・志穂さんがアイデアを形にし、コロナ禍での窮地を救った逸品だ。SNSで発信するとたちまち人気になり、大堀さんも魅了された。

ぜひ物産展で、お客に出来立てを提供してほしい。大堀さんはそう説得するが、「ププリエ」には決断できない理由があった。航空運賃や宿泊料を含めて対応できるかどうか、小さな店のため日々のことで精一杯、物産展にまで気が回らないという。これまで出店した物産展では、苦い思い出もあった。大堀さんの思いは届くのか。

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さらに番組は、こだわりパンと高校生レストランのタッグなど、かつてない挑戦の行方を追い、「北海道展」オープン初日に密着。ファイターズの球場で大堀さんが思いついた目玉企画とは――。

「百貨店の顔」ショーウインドーに新風を!

「伊勢丹新宿店」(東京・新宿区)は、日本一の売り上げを誇る百貨店として知られている。開店前、売り場をチェックしていたのは岡本薫さん。入社30年のベテランだ。
岡本さんの部署は、バックヤードの奥の奥にある電話交換室。約40人が所属しており、岡本さんはリーダー的存在だ。

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始業のチャイムと同時に、交換手の一日が始まる。

「しゃぶしゃぶのお鍋をお探しで...」
「お年賀のタオルでございますね」
「お客様からいただいたローストビーフの値段を知りたいと問い合わせがあり...」

問い合わせ内容は実にさまざま。年末年始のこの時期、交換手は1人1日、約150件に対応、百貨店ならではのきめ細やかなサービスだ。

目まぐるしく変わる売り場の状況。会社はAI導入も考えたが、これほど細やかな対応はできないと見送りになった。

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夜のとばりが下りると、一層輝きを増すのが「伊勢丹新宿店」に大小24あるショーウインドー。そのクオリティーの高さは、業界でも折り紙付きだ。
装飾チームは総勢18人。ショーウインドーをはじめ、館内のほとんどの装飾を担当するリーダーが、「伊勢丹新宿店」装飾担当 清水督史さんだ。清水さんは「お客に期待されている店だから、業界は厳しいが、まだまだやれることはある」と話す。

正月向けの飾りつけが迫る中、清水さんが向かったのは東洋大学(東京・北区)。半年前から準備を始め、インテリアデザインを研究する学生たちと一緒にショーウインドーを造り上げようとしていた。若い世代の百貨店離れを防ぎ、少しでも興味を持ってもらおうという取り組みでもある。

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学生に任せるのは、地下鉄の駅から伊勢丹の入り口へ続く通路に並ぶ小窓8面。学生たちの中から選ばれたアイデアは、正月らしく竹と玉砂利をあしらった和風の装飾で、のぞき穴風のものもある。清水さんは学生の意見を尊重し、サポートに回る。

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学生たちがやってきたのは、横浜にある竹林。自分たちで材料の調達から始めることに。お目当ては、利用価値のない立ち枯れした竹。SDGsを意識した作品にしようというのだ。

「伊勢丹は憧れ、完成したものが並んでいる」
「自分が将来何になりたいかも、これで変わるかもしれないなと思っている」

その頃、清水さんは、学生のアイデアにちょっとした仕掛けを施していた。

いよいよ、クリスマスの装飾から正月バージョンに変わる日がやってきた。果たして、その出来栄えは......?

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