簡単な寒さ対策「内窓」の効果とは?世界最先端の”エコ住宅”...冬暖かく、夏涼しい家に:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

1月13日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「寒い冬を乗り越える!~最新版・省エネ生活術~」。
今年の冬は電気代の値上がりや政府の節電要請などで、冬ごもりも我慢を強いられている。エネルギーを使わず、暖かく過ごすにはどうしたらいいのか...。ホームセンターで見つけた最新防寒グッズや短時間で完成する「内窓」などを紹介。太陽光や雨水をフル活用し、家全体を適温に保つ家、断熱性・気密性を徹底的に高めた"世界最先端のエコ住宅"まで、寒い冬を乗り越える方法を探る。

窓からの冷気をシャットアウト? 1時間で完成する"内窓"の効果とは

去年11月。都内にある築20年のマンションに暮らす西さんは、寒い冬がやってくることを恐れていた。お母さんが使う部屋の窓は、一般的なアルミサッシにガラスが1枚のタイプ。サーモグラフィーで見ると、窓周辺は真っ青。温度は10℃くらいで、熱が逃げているのが分かる。実は家から逃げる熱の量は、天井や床、壁からよりも窓が一番多いという。

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そこで西さんが頼んだのが、窓の内側に新たな窓を取り付ける「窓リフォーム」。枠には熱を逃がしにくい樹脂製のサッシを使用。リフォーム用の窓は15分ほどで設置完了し、工事費込みで8万7000円だ。再びサーモグラフィーで見ると、窓の部分が青から5℃も暖かい黄緑色に変化していた。

12月、再び西家にお邪魔すると、お母さんは「二重窓、すごく温かく感じていいですよ」と笑顔。外は10℃だが、部屋は17.7℃、エアコンなしでも大丈夫だ。西さんは「100歳まで母に元気でいてもらうための投資」と明るく話す。この冬、「内窓リフォーム」の売り上げは、前年と比べ約3割も増えている。

冬でも暖かい秘密は...地下の水タンク? 自然のチカラで快適な暮らしに

省エネ住宅に目を向け始めた日本。千葉・鎌ケ谷市に、冬でも暖かい驚きの家がある。
家主の篠原哲哉さんは、12月だというのにシャツ1枚。この日、外は7℃だったが、室内は20℃を超えていた。
この家を造った建築家が、「エクセルギー」代表の黒岩哲彦さん。暖房なしで過ごせる家の秘密は、床下にある。

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タンクの中には雨水が1.5トン貯められており、その温度は1年中ほぼ一定の25℃前後という。次に見せてくれたのは屋根の上にある太陽熱温水器。「太陽の光でお湯をつくる仕組みです。下にたまった雨水がここでお湯になって床下に戻る」と黒岩さん。
冬は床下の雨水がポンプで屋根に送られ、温められて再び床下に戻るため、家全体が暖かくなる。暑い夏は、雨水が屋根裏に送られ、敷かれたガラス繊維を適度に湿らせて、そこに風が通ることで水が蒸発。天井の熱を奪い、温度を下げてくれるという。

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黒岩さんが独自に開発した省エネ住宅「エクセルギーハウス」のシステム設置にかかった費用は、約500万円(※篠原邸の場合)。黒岩さんは「25℃という温度は、夏は涼しくする、冬は暖めるための温度。夏も冬も別の意味の資源性がある。そういう見方をすると、エネルギーをそんなに使わなくて済むようになる」と話す。

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水をうまく活用することで、エネルギー効率が良くなるエクセルギーハウス。黒岩さんはこの方法で、数々の賞に輝いている。

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去年8月、日本海に面した兵庫・豊岡市竹野。こちらの築80年になる古民家もエクセルギーハウスだ。住んでいるのは、東京から移住した森さん夫妻。夏は快適に過ごせているが、古民家は隙間が多く、冬は熱を逃がし放題。この問題を解決するために、黒岩さんが新たに開発したものとは?

世界最先端の"エコ住宅" 冬暖かく、夏涼しい家に...まさかのトラブル!?

浅間山を望む、長野・軽井沢町。ここに、世界基準の省エネ住宅が建てられようとしている。
この日は、家主の森みわさんが、屋根に厚さ40センチの断熱材をふく工事現場を見せてくれた。天井にホースのようなものを突っ込み、何かをふき込んでいる。
実はこれ、間伐材から作ったウッドファイバーと呼ばれるもので、化学系の断熱材より燃えにくく、湿度の調整をしながら断熱できるという。

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さらに壁の断面を見てみると、3種類の断熱材を使い、その厚さは約32センチ。断熱材は普通の家でも使われているが、こんなに分厚いものはない。

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森さんは、「断熱材は一番安い暖房器具と言われていて絶対に壊れない。100年もつかもしれないし、暖房にも冷房にも効くという意味では安い。絶対に元が取れるので、これを入れないという選択肢はない」と話す。
天井や壁・床が徹底的に断熱され、空気の漏れをなくすことで、言わば魔法瓶のような家になるのだ。

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建築家の森さんは、この家を自ら設計。省エネ先進国であるドイツに留学した際、「パッシブハウス」という考え方に出合った。
「パッシブ」とは「受動的」という意味で、太陽光などの自然エネルギーを活用し、エアコンのようにアクティブな設備をできるだけ使わないというもの。ドイツの「パッシブハウス研究所」が定める厳しい省エネ基準をクリアした住宅に与えられる認証で、世界50カ国以上に普及している。建築費は15%ほど増えるが、エネルギー消費量は80%も減らすことができ、光熱費は安くなる。

「経済的なメリットをもたらさなければいけない。そういう省エネ基準として、パッシブハウスができている。日本の気候でも、この概念が使えるのではないかと思った」と森さん。

パッシブハウスは、建てる前に、専用ソフトで省エネ量を全て計算して作る。例えば、冬は太陽高度が低いので、取り込める日射量を多くする。一方、夏は高くなるので、屋根やひさしで遮る。そうした違いを細かく計算してはじき出された省エネ量は、「6畳用エアコンで40坪が丸ごと空調されてしまうくらいの性能」と、森さんは話す。

今回、森さんが軽井沢に作るのは究極のパッシブハウスで、延べ床面積40坪ほど、予算は約5500万円だ。かなり高価な家だが、自宅兼モデルルームとして最先端の素材を試し、その効果を次に生かす実験の場でもある。窓も太陽光をたっぷり取り込める特別仕様に。

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「パッシブハウスをきっかけに、省エネにはこんなに威力があるんだということ、快適性、住まい手にとってもメリットが大きいということを伝えたい」と森さん。

そして10月中旬。究極のパッシブハウスの「気密測定」をすることに。建物に余計な空気が入らないかを見る試験だが、測定を始めると、想定外の事態が...。

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