「メンヘラテクノロジー」高桑蘭佳に聞く”メンヘラ”が急増する社会事情。彼氏に依存しないためにすべきこと

公開: 更新: テレ東プラス

「メンヘラ」という言葉が生まれてどれくらい経つのだろう。そもそも「メンヘラ」とは「メンタルヘルス」の略。昔は心の病気としての意味合いが強かったが、現在の定義は広く、
"かまってちゃん"や"めんどくさい人"というラフな意味でも使われ、メンヘラファッションや地雷メイクが話題になるなど、広がりを見せている。

今回「テレ東プラス」は、「メンヘラテクノロジー」 代表・高桑蘭佳さんを取材。「メンヘラテクノロジー」では、匿名チャット相談アプリ「メンヘラせんぱい」を開発、運営。高桑さんは代表を務めると共に東京工業大学の研究室に籍を置き、SNSで彼氏に絡む女性を分析するなど、日々メンヘラに関する研究に勤しんでいる。

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嫌なことがあった時や寂しい時、先輩に話を聞いてもらう感覚で気軽に相談できる「メンヘラせんぱい」。寄せられる相談の多くは恋愛に関するもので、「浮気が不安」「ネットで知り合った人を好きになっちゃったけど、どうしよう」など、悩みはさまざま。ステイホームの影響でちょっとした雑談をする場が減ったこともあり、需要は多いという。

情緒不安定なところも、"メンヘラ"なら許してもらえる

――高桑さんは自他共に認めるメンヘラとのことですが、ご自身がメンヘラであると気づいたきっかけを教えてください。

「高校生くらいの頃、周りにいる人たちに"メンヘラだよね"と言われていました。当時は学校に行けない時もあり、精神的な不調を抱えていて、付き合っている彼氏に依存したり、恋愛の悩みを友達にぶちまけたりしていたので、そう言われていたのだと思います。だけど不思議とそんなに嫌な気持ちはしなくて、自分の中ではちょっと特別感があるというか、メンヘラ=かわいいというイメージがあったんだと思います。今思い返すとあまり良いことではないのですが、『情緒不安定なところも"メンヘラ"と言えば許してもらえる』そんな気持ちで、受け入れていたような気がします」

――メンヘラと恋愛依存症は違うのでしょうか。

「恋愛に限らず、人から認められたい、受け入れられたいという気持ちをこじらせたのがメンヘラだと思っています。学校などでコミュニティーが築けていて、自分のことを認めてくれる友達が何人もいれば、メンヘラにはならないと思うんですよ。私はそもそも女友達ができなくて、恋愛で居場所を見つけていたんだと思います」

――メンヘラになりやすい人に共通点はありますか?

「私の研究では、個人の要素より社会的な要因が大きいのかなと。SNSが普及し、"いいね"の数やフォロワー数など、人からの評価が数値化され、昔より比べやすくなりましたよね。その一方で価値観が多様化され、何をすれば評価されるのかが分からない。その矛盾が苦しみを生んでいるのではないかと」

――たしかに、SNSの普及で他者と比べやすくなったというのはありますよね。寂しがり屋な女性は、恋愛相手に依存しがち(?)とも思いますが、そうならないために、何かアドバイスはありますか。

「忙しいと寂しさを感じなくなりますが、自分で忙しくするのって難しいですよね。私はどうしても彼氏に依存してしまうので、一時期、彼氏のお手伝いを積極的にするようにしていました。例えば『旅行先で行きたい場所をリストアップしておいて』とか、何かタスクを任されると、それを一生懸命やることで孤独が紛れる。彼氏からのタスクじゃなくても、好きなことを勉強するなどでもいいと思います。私は最近、精神的に暇なタイミングが結構あるなと思ってダンスを習い始めました。習い事は自分でお金を払っていることもあり、頑張ることができるので、熱中することで時間が過ぎていきます」

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高桑さんは、1月6日(金)に公開される映画「恋のいばら」(監督:城定秀夫 出演:松本穂香玉城ティナ渡邊圭祐ほか)とコラボし、アプリ「ダメ男タイプ診断」を作成。テレビ東京にて行われた試写会に登壇し、恋愛にまつわるトークイベントを開催した。

同作では、女にだらしないカメラマン・健太朗(渡邊)と、元カノで図書館勤務の地味な女性・桃(松本)、クラブで働くダンサーの今カノ・莉子(玉城)のいびつな三角関係が描かれる。別れたものの、健太朗への想いが残る桃は、インスタを探って今カノの莉子と対峙。「健太朗に撮られた裸の写真を削除して欲しい」と懇願し、物語の前半では、まさにメンヘラと言える桃の奇行の数々が露わに。ラストは誰もが想像しなかった、桃の秘めた想いが明かされる――。

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――作品をご覧になった感想は?

「自分もメンヘラなので、桃と似た部分がありました。あと、とにかく健太朗がヤバかった...! だってカッコよすぎるじゃないですか(笑)。強気なのにおばあちゃんには優しかったり、困っている女性を助けてあげたりする。ダメな部分といい部分が混在しているので、現実にいたらハマっちゃいそうですよね。
彼のちょっとダメなところが沼感につながっていくんだと思いました。こんな自分でも必要としてくれる、この人は自分がいなきゃダメなんだと思わせてくれる。浮気ももっと頑張ってカモフラージュしてほしいと思いつつ、『私に甘えているから脇が甘いのかな』とか妄想しちゃいそう(笑)。
モテる彼氏と付き合うのは、自分にとってステータス。女にだらしないという部分も『私だから許容できる』という優越感に浸れるし、基本的に自分に自信がないので、ダメなところがある人の方が深く入り込んでしまいやすいんですよね」

――桃は健太朗のインスタから、今カノ・莉子のアカウントを特定します。高桑さんも元カレのSNSはチェックする派ですか?

「チェックしちゃいますね。やっぱりどんな子と付き合っているのか気になるじゃないですか。なので私だとバレないように、サブアカウントを使ってフォロー申請を送ります。彼氏が鍵垢(非公開アカウント)でも、意外といけるんですよ。
大学生の時は、同じ大学に通っているというプロフィールを作り、それっぽい写真を載せてリクエストを送っていました。フェイスブックだったら、まず元カレの友達にたくさん友達申請を送ります。共通の友達がたくさんいる状態なら、結構許可してもらえるので(笑)」

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――今回高桑さんが作成したアプリ「ダメ男タイプ診断」も面白かったです。ちなみに私の診断は「倫理観がおかしい...? 不倫男」でした(笑)。
最後に、高桑さんが代表を務める「メンヘラテクノロジー」の今後の展望を教えてください。

「ネットも含め、自分の気持ちを安心して出せる場所がどんどんなくなっていますよね。気持ちを素直に吐き出せないと、自分のことを客観視できなくなり、ネットで嫌なことを言ったり、現実世界で人間関係を壊してしまったりと、悪循環に陥ってしまいます。なので今後も、誰でも安心して気持ちを吐き出すことができる場所を作っていきたいです。
私たちが善悪の判断をするわけではなく、広い意味での懺悔室というか、どんなことでも一旦私たちが受け止めてあげられるような場所になれば、みんながもっと幸せになれるのかなと。
"メンヘラせんぱい"を利用しているのは10〜20代の方が多いのですが、企業向けのサービスでは、30代〜50代の方にもたくさんご利用いただいています。男女問わず、幅広い層に利用していただきたいですね」

【高桑蘭佳 プロフィール】
1994年生まれ、石川県出身。東京工業大学 環境・社会理工学院修士課程1年生の時に「株式会社メンヘラテクノロジー」を設立。2年の休学を経て、2022年3月に同修士課程を修了。修士論文のテーマは「『メンヘラ』と自己愛傾向・セルフモニタリングの関連」。現在は研究生として研究室に在籍し、研究と事業の両方に取り組んでいる。

【1月6日(金)公開! 映画「恋のいばら」】

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出演:松本穂香 玉城ティナ
渡邊圭祐
中島 歩 北向珠夕 吉田ウーロン太 吉岡睦雄
不破万作 阪田マサノブ 片岡礼子
白川和子
監督:城定秀夫 脚本:澤井香織 城定秀夫
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌:chilldspot 「get high」(ポニーキャニオン)
"Based upon the film "Beyond Our Ken"-Presented by Mei Ah Film Production Company Limited."
企画・製作プロダクション:アンリコ 製作幹事・配給:パルコ 宣伝:FINOR
©2023「恋のいばら」製作委員会

【STORY】
図書館に勤務する桃(松本穂香)は、カメラマンの健太朗(渡邊圭祐)にフラれたものの、健太朗のことが気になってインスタをのぞき見。そこから今カノでダンサーの莉子(玉城ティナ)の存在を知り、直接会いに行ってしまう。莉子と対峙した桃は、秘密の共犯を持ちかける。
「健太朗のパソコンに保存されている自分の写真を消して欲しい」
莉子が桃に協力し、健太朗の部屋で写真を探していると、なんとそこには自分の写真が。徐々に明らかになる健太郎の正体...。2人は写真データを消すため、健太朗の家の鍵を盗んでコピーし、忍び込む作戦を企てる。
出会うはずのなかった元カノと今カノ、いびつな三角関係に待ち受ける"恋のいばら"の道とは――。ラストは、誰も想像しなかった桃の秘めた想いが明かされる。

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