ドラマプレミア23「警視庁考察一課」(企画・原作:秋元康 毎週月曜夜11時6分)を放送中!
「テレ東プラス」では、11月28日(月)に放送された第7話「杉並の死神!?未解決事件が動き出す」の内容をプレイバックする。
大東京警察署・考察一課...それは、現場へ行かずに捜査する考察専門部署。
考察一課の面々は夕方から金沢に慰安旅行に出かけようとしていた。幹事は考察官の西村まさ雄(西村まさ彦)で、西村が作った旅のしおりが配られる。考察一課長の船越慶一郎(船越英一郎)は、「♪カニ食べ行こう〜さあ、たらふくカニ食べるぞ!」とハイテンションだ。
「朝から晩までカニだけ食べるからな」
「朝にカニですか?」
「当たり前だ。カニトーストとかあるんだよ、北陸だから」
「カニばっか食べて、通風大丈夫?」
「私、お寿司がいいな。のどぐろに白海老...」
考察官の山村楓(山村紅葉)、高島誠子(高島礼子)、新人考察官の藤井龍(藤井流星)が盛り上がっていると、「寿司はパス〜」と言いながら考察官の名取悠(名取裕子)が入ってくる。
「今、テレビのプロデューサーとランチでお寿司食べてきちゃった。ハンバーグの気分! おいしいとろがあるのよ」
「ハンバーグだけは絶対に却下だからな! わざわざ金沢まで行くのに」
「あれ、内藤さんと西村さんは?」
ふと、西村と内藤昌志(内藤剛志)がいないことに気づく藤井。出欠ボードを見ると、内藤の欄には「京都」、西村の欄には「能登前のり」と書かれていた。
「内藤さんは、北陸より京都がいいって一人慰安旅行。西村さんは幹事だから前のりして能登で待ってるって」
考察一課管理官の徳永りえ(徳永えり)が、ぼそっと「ホント自分勝手な人たち」とつぶやく。
時刻表を掲げながら、「皆さーん、16時24分東京駅発の新幹線かがやき511号に乗りまーす!」とうきうきの山村。しかしそこに、焦った様子で捜査一課長の柳沢慎三(柳沢慎吾)が入ってきた。
「聞いてくれ! 至急考察してほしい事件がある。未解決の連続殺人鬼"杉並の死神"が10年ぶりに事件を起こした」
「詳しく聞かせて!」
名取の顔色が変わる。
◆
柳沢はホワイトボードに10年前の資料を貼る。事件が起きたのは10年前、杉並区内で3人の男性が首を絞められて殺された。遺体の額と手にはナイフで十字の傷が刻まれ、犯人は『杉並の死神』と呼ばれ、世間を賑わせた。
「残虐っすね。だから死神と呼ばれてるのか...」
「そうじゃないんだ。高島、鑑識の専門家から説明してやってくれ」
元鑑識の高島が遺体の写真を指差しながら説明を始める。
「この首の痕を見て。これはロープで首を絞めると残る"索状痕"っていうの。この索状痕が斜めを向いてるでしょ? それがポイント」
高島はスカーフを自分の首に巻きつけ、実演して見せる。
「もし他殺なら、ロープで首を絞めると水平に痕が残ることが多い。索状痕が斜めを向くのは、紐が上を向いて首を吊った状態になる時」
「じゃあ、自殺の時とかってことですか?」
「そのケースが多い」
「あたかも自殺に誘うような殺し方だから、当時の刑事たちが『死神みたいだ』と言い出して、"杉並の死神"という呼び方になった」
「悪趣味な猟奇殺人犯にふさわしい呼び方ね」
「で、その杉並の死神が、10年ぶりにまた事件を?」
杉並で同じように首を絞められ殺され、十字の傷が切り刻まれた遺体が発見された。被害者は大手興信所の探偵である鶴見早紀(51歳)。船越は、被害者が女性だということに違和感を抱く。鶴見は浮気調査専門で、メディアにも出るなど、業界では有名な探偵だった。
「よし、だいたい概要は把握した。週末にでも考察しておく。実は俺たちこれから慰安旅行で、金沢にカニ食いに行くんだ」
「ハンバーグでしょ!」
「お寿司でしょ!」
「カレーだろ、金沢は!...って、そんなことどうでもいいんだよ! 今すぐ考察してくれよ、死神の正体を暴いてくれ!」
徳永が「10年間も未解決だった事件ですよね、そんな簡単には...」と渋るが、引かない柳沢。
「こっちは急いでるんだよ。もうすぐ人事の季節だろ? 刑事部長が出世するために、手柄を積み上げたいって俺にハッパかけてくるんだよ。だから杉並の死神事件をいち早く解決すれば、それで大満足なんだよ」
高島は「くだらない。上の出世のために考察しろというの?」と柳沢を睨むが、「私はこの事件の真相を突き止めたい」と名取。
「10年ぶりに犯人が尻尾を出したのよ? 絶好のチャンスじゃない。絶対に犯人を捕まえたい」
いつになく真剣な名取を、意外そうに見る一同。
「何か因縁があるの?」
「10年前、応援で捜査に参加したの。でもその時は、尻尾もつかめなくて悔しい思いをしたわ。それから...被害者の一人の母親が息子の死を苦にして自殺した。あれからずっと犯人が許せなかった」
「じゃあしょうがねぇな。サクッと考察するか」
「でも、たったこれだけの情報で解明できますかね」
「できるわよ。主婦はね、冷蔵庫の余り物だけでフルコースだって作れるのよ。考察は冷蔵庫と一緒よ」
◆
なぜ犯人が10年ぶりに犯行に及んだのか、そして10年前の被害者3人は全員男性だったのに対し、なぜ今回の被害者は女性なのか考察することに。
「犯人は自らの犯行にこだわりを持っていた。10年前の手口は全部同じじゃない? シリアルキラーってそういうものよね。今回被害者が女性なのも、何か理由があるはずよ」
「被害者に自分の正体がバレそうになったからとか? 被害者、探偵ですもんね」と藤井。
被害者の鶴見は、浮気調査専門に命を燃やしていた。鶴見のインタビューが載っている雑誌の見出しには、『浮気する男は敵。妻を傷つけた罪を一生背負ってほしい』と書かれている。
インタビュー記事を指さしながら「怖えなぁ。浮気ぐらいでこんなこと言われちゃたまんねぇよ」と柳沢。
「柳沢さん、浮気したことあるんですか?」
「ないに決まってるだろ」
「ですよね〜」
「おい、俺だって昔は中井貴一に負けちゃいなかったんだよ。周りからキャキャー言われて」
「うちのお母さん好きなんですよ! 中井貴一さんって、ふぞろいの...プルーン?」
「『ふぞろいの林檎たち』だよ! 脚本家はあの山田太一先生だ」
「......」
一同考察に戻り、索状痕の形状に注目する。10年前の索状痕は斜めで、今回の事件は水平。なぜ犯人は、今回に限って殺し方を変えたのか。
「索状痕が斜めだと、どういう殺し方になるんですか?」
「地蔵背負い」
聞き慣れない言葉にぽかんとする藤井。柳沢はその知識があるようで、「地蔵を背負うみたいにして殺したってことだ」と説明する。
「分かるだろ? そのくらい」
「お地蔵さん背負ったことないので...。柳沢さん、背負ったことあるんですか?」
「『おばあちゃん、そのお地蔵さん重そうですね。僕が駅まで、ヨイショ、ヨイショ...』って、そんなもんあるわけねぇだろ!」
高島の指導で、藤井が地蔵背負いを実演してみることに。柳沢の首に後ろから縄をかけ、背中合わせの体勢で背負うように柳沢を持ち上げる藤井。
「なるほど、これが地蔵背負いですか」
「これなら手より強い力でロープを締められますね」
「そう! 地蔵背負いだと、ロープの痕が引っ張った方向に斜めにつく」
柳沢の首には斜めにインクの痕が残っている。
「だけど今回は違う」
「じゃあ今回は、地蔵背負いで首を絞めたんじゃないってことですね」
「そういうこと。でも、これって変じゃない?」
「変だよ。殺害対象が男性から女性に変わり、犯行手口まで変わったわけだからな」
「ピンときた!」
名取がひらめく。
「今回の犯行は杉並の死神じゃないわ。模倣犯の犯行よ!」
「模倣犯!?」
「杉並の死神のファンで、自分もやってみたくなったから...とか?」
「人は殺してみたかったけど、捕まりたくないから10年前の犯人のせいにしたかったとか」
「2人ともだいぶ成長してきたわね〜。捜査一課からお呼びがかかるかもしれないわよ」
名取の言葉に藤井は照れ笑いするが、
「捜査一課よりもこっちの方がいいです!」
「え?」
「ここにいた方が勉強になるかなって思えてきました」
「そっか...。でもね、現場もいいものよ。犯人の息づかいを感じながら追い詰めていく。そこがたまらないのよ」
◆
船越は、一人で10年前の新聞記事を眺めて考え込んでいた。そこに柳沢がやって来る。
「模倣犯なんて言ったら、管理官がお冠だったよ。当時マークしてた容疑者の犯行に決まってるって、邪魔するなってさ...」
「管理官だったらお前の部下だろ? なにビクビクしてるんだ」
「警察庁のやり手のキャリアなんだよ。わざと上のミスをかぶって、今は管理官に甘んじてる。それを恩に着せて、一気に刑事部長に昇格するんじゃないかって、もっぱらの噂だよ」
「......」
「もしそんなことになったら、あっという間に雲の上の存在だ。逆らえねぇんだよ」
「大変だな、お前も。考察一課に来るか? うちは気楽なもんだぞ~。気をつかうやつもいないし」
「それも悪くねぇな。でも、俺は頑張ってキャリアのご機嫌を取るよ。出世しなきゃいけねぇからよ! お前らを元の居場所に戻すために」
「じゃあ俺たちは一生戻れねぇな。お前の出世はありえねぇからな!」
「おい! 久しぶりにカチンときちゃったよ」
軽くチョップをする柳沢。すると船越が倍返しでチョップをし、今度はビンタしようとした柳沢の手をガシッとつかむ。ここで何かひらめいた船越。
「これだよ!」
船越は柳沢に新聞記事を見せ、「このイラスト、何か違和感がないか? 手の部分をよく見ろ」。果たして、船越が見つけた10年前の事件との違いとは? そして考察一課に、強敵が立ちはだかる!
【第8話】
考察一課に「考察ゲームのご案内」という題名のメールが届く。URLをクリックすると「犯人はだーれだ?」と題した動画がスタート。説明によれば、密室殺人のトリックを暴き犯人を捜し出すゲームで、制限時間は30分だという。ところが...「もし考察できなかった場合、仲間が死にます」――脅迫めいた言葉と共に流れた映像には、なんと部屋に閉じ込められた山村楓(山村紅葉)、藤井龍(藤井流星)、柳沢慎三(柳沢慎吾)の姿が...!