船越英一郎、山村紅葉、西村まさ彦、高島礼子、名取裕子、内藤剛志と、サスペンスドラマ界のレジェンドたちが夢の競演を果たす、超豪華な刑事ドラマが誕生。
秋元康が企画・原作を手掛けるドラマプレミア23「警視庁考察一課」(毎週月曜夜11時6分)を放送中!
「テレ東プラス」では、11月21日(月)に放送された第6話「"湯けむりの山村"本領発揮!」の内容をプレイバックする。
大東京警察署・考察一課...それは、現場へ行かずに捜査する考察専門部署。ある日、考察官の名取悠(名取裕子)が"桔梗信玄餅"をきな粉が飛ばないように慎重に口に運んでいる。それを新人考察官の藤井龍(藤井流星)とともに、心配そうに見守る、考察官の西村まさ雄(西村まさ彦)、高島誠子(高島礼子)、内藤昌志(内藤剛志)。
信玄餅を食べている名取。しかし、あと少しで餅が口に入りそうな瞬間、思わず息をしてしまい、きな粉がデスクに飛び散ってしまう。悔しそうな名取に、
「でも惜しかったです! 桔梗信玄餅をきな粉を飛ばさずに、あそこまで口の近くに持ってこられる人はなかなかいないですからね」と藤井。
「お前、マジメか。桔梗信玄餅って、いちいちフルネームで言うなんて」
「そもそも、桔梗信玄餅をきな粉を飛ばさずに食べられる人間なんて、この世にいるんですかね?」
「できるとしたら、あの人だけだろうな」
「あの人?」
すると、考察官の山村楓(山村紅葉)が「遅くなりました〜♪」とやって来る。すぐに信玄餅を見つけて駆け寄る山村に、「昨日ちょっと山梨出張があったので、そのお土産です」と高島。
「一個もらっていい?」
「もちろんです」
キティちゃんグッズだらけの自分のデスクに座り、信玄餅を開封する山村。すると、名取が藤井に「よく見てなさい。きっと見られるわよ、きな粉が飛ばずに桔梗信玄餅が人の口に入る瞬間が...」と耳打ちする。
藤井が固唾を飲んで見守っていると、山村は包装のビニールをデスクに広げ、そこに信玄餅を丸ごとぶちまけた。
「どういうことですか⁉」と驚く藤井。
山村は黒蜜を回しかけ、ビニールを風呂敷のように閉じると、信玄餅を揉み始めた。再びビニール袋を開けると、きな粉にまんべんなく黒蜜が浸透している。
「なるほど、きな粉に黒蜜を浸透させたんですね。すごい...」
「これはね、桔梗信玄餅の発売元の桔梗屋さんが提示してる、公式の食べ方なの。藤井くん、いい? 世の中にすごい事なんてないの。真実を知っているか、知らないか...それだけよ」
「......」
やたらと信玄餅に詳しい山村。実は山村は、元捜査一課の敏腕刑事で、その時の異名が"湯けむりの山村"。温泉地での殺人事件にめっぽう強く、どんな難事件でも解決に導いてきた事から、そう呼ばれていた。
温泉絡みの事件が発生する度に駆り出され、全国の温泉スイーツに詳しくなったという。
「ちなみに、ほぼ同期の"崖の船越"、"おいでやす内藤"とは、捜査一課時代、ライバル関係だったみたいよ」
「3人にはそんな過去が...。っていうか、"おいでやす内藤"って何なんですか? そんな芸人いませんでしたっけ」
「捜査一課時代の内藤さんの異名よ」
「その頃から好きだったんですね、京都が...」
内藤も信玄餅にチャレンジするが、くしゃみをしてきな粉が舞い散り、顔をしかめる。
するとそこに、「ヘイヘイ! 俺の事を忘れちゃいませんか?」と捜査一課長の柳沢慎三(柳沢慎吾)が入ってきた。
「湯けむりの山村、崖の船越、おいでやす内藤、そしてもう1人...捜査一課の四天王と言われていた"土下座の柳沢"だ」
華麗に土下座を決める柳沢に、「それ異名っていうか悪口じゃ...」と藤井。
「柳沢、お前が来たって事は事件だな? とっとと概要を話せ」
内藤は真剣な面持ちで立ち上がるが、両手にはたくさんの信玄餅の空箱が。
「お前食い過ぎだよ!」
◆
柳沢がホワイトボードに写真を貼りだし、説明を始める。事件の発覚は、昨晩25時。奥多摩の温泉旅館「鬼武者温泉」の従業員・大野武(永井博章)が、旅館近くの野天風呂で、遺体が湯船に浮いているのを発見したという。
"温泉"というワードに反応し、立ち上がる山村。
「温泉に死体が浮いてるのは、もうセットなんだなぁ」
「やっぱり京都と温泉は、サスペンスしずるがすごいよな〜」
「おいおい、お前ら何エモい感じになってんだよ! 人が死んでるんだぞ?」
現在遺体は解剖中で、詳しい死因はまだ分かっていない。マスコミ各社には「不審死」とだけ伝えているが、「これはワイドショーがやばいぞ」と柳沢。
「ワイドショー? そんな大事件か?」
遺体で発見されたのは、39歳の上杉健二(永沼伊久也)。アプリ開発でボロ儲けしていることで有名なITセレブだ。
柳沢がホワイトボードに写真を貼りだすと「私、バラエティー番組で共演したことある」と名取。
「有名ITセレブ、温泉宿で謎の不審死...こんなミステリアスな事件、『ミヤネ屋』は絶対に放っておかねぇ。食いついてくるぞ」
内藤は上杉の写真を見ながら、「眉毛が不自然に鋭利だ」と言う。
「メンズアイブロウよ。メンズが眉毛の手入れをすること。若者の間では常識よ」
「こいつはいい年だろ? なんでそんな事するんだよ」
「無駄に鋭利な眉毛、ツーブロック、そしてシャツのボタン3つ開けは、ITセレブのデフォルトみたいなものじゃない?」
「でもそれって、ちょっと前のITセレブだろ? 久しぶりに見たぞ、このタイプは」
「これがどうしてITセレブのデフォルトなんだ?」
「金を持っているという自信の表れだろうな。自分に自信がなきゃ、いい年してこんな攻撃的な恰好はしないだろう」
「なんでそんなに自信をむき出しにする必要があるんだ?」
「ITセレブって、見た目でアピールしたいんじゃないの?」
「待てよ。鋭利な眉毛とシャツのボタン3つ開けが自信の表れだっていうのはなんとなく分かるんだが、ツーブロックっていうのは何なんだ? 自信を髪型で表すなら、オールバックだろ?」
内藤が西村の髪をオールバックにしてみせると、「分かりやすいわ、セレブ感もあるし」と名取。すると、しびれを切らした柳沢が「お前ら、さっきから何の考察してんだよ」と声を上げる。
「これ、温泉絡みの事件だろ? 早く山村に振ってやれよ! 完全に出るタイミング失ってあくびしてるよ」
キティちゃんのブランケットに包まれてあくびをしていた山村だが、ようやく立ち上がり、「今回の事件の関係者は?」と言う。
遺体で発見された上杉は、昨晩、温泉宿で仲間のITセレブたちと、ドル箱になるであろうアプリを開発した前祝いのために集まろうとしていた。
参加者は、NFTの仲介業で荒稼ぎする武田伸太郎(松川尚瑠輝)と、メタバースの運営を行う毛利元哉(川郷司駿平)。
内藤は毛利の写真を見ながら、「こいつ、どこかで見たことあるな...」とつぶやく。
「知り合いですか?」
「いや、なんだっけな...」
「それにしてもすごいわよね、この3人。見事に3人とも無駄に鋭利な眉毛、ツーブロック、シャツのボタン3つ開け。これ、3兄弟? ここまで一緒だと引いちゃうわよね。アプリにNFT、メタバースって...まさに現代の象徴みたいなITセレブじゃない?」
「...大変です! 2人とも完全にショートしてます」
聞き慣れない言葉の羅列に頭を抱える内藤と山村。名取に促され、藤井がNFTについて詳しく説明するが、2人はさらに魂が抜けた状態に。
「分かるわけないじゃない! 例えば、内藤さんがパソコンでイラストを書いたとするでしょ?」
「パソコンで絵が描けるのか...」
「そこからですか...。NFTは諦めて、メタバースいきましょう」
続いて藤井がメタバースについて説明するが、変わらず2人は魂が抜けたまま。
「あなた、この顔見るためにわざとやってるでしょう?」
「もういい! 要は今どきの金持ち3人って事だよ。難しく考えるな」
捜査一課が調べた情報によると、3人は開発したアプリの権利配分で相当揉めていたらしい。その権利配分は、上杉3、武田2、毛利5。アプリの根幹となるアイデアは武田が出し、それを上杉のアプリ会社で作成。開発費を一番負担したのが毛利という事で、この理不尽な配分になったという。
「当然、上杉と武田は納得しないわね」
「普通だったら毛利が一番恨まれるんじゃないか?」
「それなのに、殺されたのは上杉なんだよ。そして現場に凶器はなし。しかもその日、毛利は急遽仕事が入って、リモートで途中参加だったらしい」
「となると、怪しいのは武田ってことか」
「もちろん事情聴取をしている」
何かを考え込んでいる内藤に、柳沢が「どうした?」と聞く。
「さっきからずっと気になっていたんだが、この旅館の名前..."鬼武者温泉"って、ミステリー風情がすごいな」
上杉が遺体で浮いていた野天風呂は、戦国時代に武将が療養中などに使う隠し湯で、武将が家臣に裏切られ、撲殺される事件があった場所。以来、その野天風呂では、鬼の形相でさまよう武将の霊が現れる事から、"鬼武者温泉"と呼ばれるようになったらしい。
その由来を聞き、「期待通りだな」と内藤。
と、柳沢のスマホに解剖の結果を知らせる着信が。上杉の死因は、なんらかの凶器による撲殺だそう。考察一課に緊張が走る。
「これ、ホントに鬼武者の呪いなんじゃ...⁉」
「殺人、鬼武者伝説、そして温泉...。久しぶりのサスペンス確変で高ぶってるんじゃないか? 山村」
「そうね! "がしゃドクロ村の地獄温泉人食い天狗男女7人殺人事件~"に比べたら大した事ないけど...少しは楽しめそうな事件なんじゃない?」
「ドクロ村...あったな〜そんな事件」
「そっちの方が気になるんですけど...」
「ちなみに、捜査一課はどう動くの?」
「俺たちは、もう1度現場から洗い直す」
「それじゃ遅いのよ、捜査一課!」
不敵に笑い、颯爽とキティちゃんのブランケットを羽織る山村。
「現場を洗い直す暇があったら、温泉で体を洗い直しなさい! 深雪に埋もれたトリックは、湯けむりが溶かし出す!」
山村の決めゼリフに、なぜか一同拍手する。
◆
まずは殺害の動機から考察し始める山村だが、ふと内藤がいなくなっていることに気づく。藤井によると、捜査一課に確認したい事があると出て行ったらしい。
「あいつは、すぐに捜査一課に頼る癖がある。あまちゃんなんだよ!」と言うのは、今までいなかった考察一課長・船越慶一郎(船越英一郎)だ。
「どこ行ってたの?」
「ちょっと山梨に気になる現場があったもんでな、視察に行ってきた。ほら、土産だ」
そう言って信玄餅を取り出す船越に、「また桔梗信玄餅?」と藤井。
「なんで皆さん、山梨ばっか行くんですか?」
「山梨って事は、特急あずさだからな。デカとあずさはセットなんだよ」
「......ってか、また現場行ったんですか? 上層部から止められますよ」
「馬鹿野郎! 俺はな、現場が命なんだよ。俺から現場を取ったら、ただの...ただの...」
「思いつかないんだったら、無理しなくていいのよ」と名取。船越は悔しそうに事件の概要を聞くのだった。
◆
「普通に考えたら、殺害したのは1番権利が少なく、しかも現場にもいた武田っていうことになるわな」
「そうよね。しかも武田はアプリのアイデアも出していたのに、権利配分は1番少なかったわけでしょ? そりゃ殺意抱くわよね」
「でも本来、武田が殺すなら毛利だよな? おそらく1番何もしてないのに、開発費だけ出して、1番権利を持っていってるわけだろ?」
「...そもそも武田ってまともなの?」
捜査一課の調書によると、武田はニューチューブチャンネルをやっている。チャンネル名は"武田伸太郎のガッポリちゃんねる"で、登録者数30万人突破記念として"100万円を東京湾に捨ててみた"というハイテンションな動画を配信していた。
「まともじゃないわね...」
「つーか、シンプルなバカだろう」
「よくこんなヤツがNFTの仲介で成功できたな」
あきれながら動画を見る考察一課の面々。藤井は、山村が目をつぶっていることに気づく。
「名取さん、山村さん寝てません?」
「あれは脳内温泉に浸かってるのよ。脳内の湯けむりと対話して、真実を導き出すの」
「脳内の湯けむり...」
「そう。あれが"湯けむりの山村"って呼ばれる所以よ」
すると山村がカッと目を見開き、突然立ち上がった。
「今、脳内温泉から上がった! 何かひらめいたはずよ」
いよいよ"湯けむりの山村"本領発揮となるか! 気になる山村劇場は、ぜひ「ネットもテレ東」で確認を!
【第7話】
慰安旅行を控えた考察一課に新たな依頼が。浮かれ気味な船越慶一郎(船越英一郎)らだったが、犯行内容を聞き、表情を一変させる。かつて杉並区で男性3人が絞殺される連続殺人が起きた。しかもどの遺体にも額と手に十字の傷が。未解決のまま10年が過ぎたが、同じ手口の事件が杉並区で発生。『杉並の死神』と呼ばれた猟奇的犯人が再び動き出したと見ている。実は当時捜査にあたった名取には、この事件に並々ならぬ思いがあって――。