近所で評判の仲良し家族が失踪...犬の服に残された血痕と謎のメッセージ

公開: 更新: テレ東プラス

徳永がノートパソコンで家族写真を見せ、山村、西村、名取、藤井が考察に入る。写真は犬を連れてアウトドアを楽しんでいる家族写真が多く、いかにも仲睦まじく理想的な家族だ。

「家族全員を拉致するって相当な労力よ。犯人がそこまでする動機って…」

「夫婦両方か、あるいはどちらかへの恨みによる犯行。全員を連れ去ったのは、事件発覚を遅らせるため」

「いずれにせよ、わざわざ連れ去る必要があったってことですよね?」

「殺害するなら、まとめてやった方が早いもんな」

「いやいや、そういう言い方やめてくださいよ…」

「この家から、全員が拉致されたのかしらねぇ…」

「そうだな。じゃあこの家から、拉致されたのは誰か?」

「女性や子どもを拉致するんだったら、ここまで暴れなくてもいいでしょう?」

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名取は荒らされた部屋の写真に注目し、「やはりここは、ご主人の直也さんが抵抗したって考えるべきじゃないかしら」と考察。すると山村も、「涼くんが口紅を使ったってことは、母親も近くにいたってことになるわね」と考察した。

「涼くんは、なぜ口紅を使ったのかしら…」

「突然襲われた恐怖の中、とっさに手に取ったのが口紅だったんじゃないですかね? 怖かっただろうな…」

現場検証の報告書によると、立花家にはベージュ系の口紅しかなく、赤い口紅は見つかっていない。

「そのまま涼くんが持っていったってことか…」

「涼くんが赤い口紅を持っているとすれば、またどこかにメッセージを残す可能性があるな」

名取は家族写真を見ながら、香織里のメイクはナチュラル系で、真っ赤な口紅を塗るようなタイプではないと指摘。すると藤井が「赤い口紅は犯人の物なんじゃ!?」とひらめく。
しかし西村に「その根拠は?」と問われると口ごもり、「思いつきでものを言うから、捜査一課に舐められるんだ」と叱られる。

「まぁでも藤井くん、怯むな。考察は"思いつき"から始まる」

「どうすればいいんですか?」

「一応、言ってみろってことだ」

「……」

名取はさらに家族写真に注目し、「なんかぎこちないわね」と言う。一見楽し気なレジャー写真だが、温度差を感じる写真の数々。ある時から、香織里の顔に笑顔がなくなっている。

「これなんか、完全に作り笑いじゃない?」

山村の指摘にまたもや藤井が思いつき、西村を気にしながら考察する。

「旦那さんが浮気してるとか…。奥さんにバレてるとは知らずに、マイホームパパを演じているパターン…となると、犯人は直也さんの不倫相手!」

「で、直也にフラれて逆上し、犯行に及んだって?…ないな、単純すぎる。世の中は、もっと複雑だ」

肩を落とす藤井。名取は立ち上がって

「不倫と決めつけるのは安易ね。普通に真面目に生きていても、人間誰しも思いもかけぬ理由で恨みを買う可能性はあるわ。怖いのは、恨まれることじゃなく、恨まれていることに気がつかないこと…」

「そういう経験があるんですか?」

西村は名取に代わって「刑事なんて、恨まれてなんぼだ」と言う。

「でも、涼くんはいつ、口紅で"たすけて"と書いたのかしら」

「犯人がお父さんかお母さんを拉致しようとしている間…?」

「争っている時に、お母さんのバッグから口紅が落ちたのかもしれませんね。そこに、この犬が…」

「涼くんは、この子をずっと抱きしめていたかもしれないわ。きっと怖かっただろうから…。いずれにせよ、涼くんは誰かに助けを求めた」

「襲った犯人は何人だ?」

「1人か2人。それ以上いたら、涼くんが口紅でドッグウェアに何かを書いていたことに気づくでしょう?」

「でも、何か引っ掛かりますね。普通こういう時って、犯人はまず子どもを捕まえて、ナイフか何かで脅しながら、『言うことを聞け!』って言いませんか?」

「却下。実際の事件に"普通"なんてものはない。100件の事件があれば100件、動機も方法も結果も違う。定石通りに考えるな」

「そうかもしれませんが、僕が言いたいのは、犯人、あるいは犯人たちは、初めは拉致しようというつもりはなかったんじゃないかってことです。初めはただ話し合っていたんじゃないか、そのうちに犯人が興奮して暴力を振るったんじゃないか、って」

「なるほど! だから犯人は、涼くんの存在に注意を払わなかったってことね?」

「だとすると、顔見知りの犯行か…。すぐに捜査一課に周辺の人間関係を洗わせろ!」

どや顔で指示を出す西村に、名取がボソッと「捜査一課だって、周辺の人間関係くらいとっくに洗ってるわよね…」と言う。しかしそれが聞こえていない西村は、船越のようにブラインドを少し開けて外を見る。

「藤井くん! 僕たち刑事が、なぜブラインドの羽根を少しだけ開けて、外を見るか分かるか?」

「確かに、外を見たいんだったら、ブラインドを全部開けた方が早いですもんね。それを、なぜ一枚だけ開けるのか…」

「メッセージだよ、犯人への。『お前からこっちは見えていないだろうが、僕からはお前が見えているぞ』ってな…」

決めゼリフを言い、眩しい目で遠くを見つめる西村だった。

山村、西村、名取、徳永が捜査資料やパソコンの家族写真を見ていると、柳沢が入って来た。やはり、犬の服と立花家から採取された血痕が香織里のものと判明し、またも涼のものと思われる赤い口紅のメッセージが、高速のサービスエリアのトイレの壁で発見されたらしい。

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さらに、立花家の裏の川で男性の遺体が発見され…。一体何が!? 仲良し家族の裏の顔とは…。


【第4話】

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新進気鋭の華道家・東柊一(齋藤雪弥)が殺害された!死因はトリカブトによる毒殺。そして未来が嘱望された彼に手をかけたのは、実の母だった―。しかし、柳沢は別に犯人がいると睨む。根拠は刑事の勘、タイムリミットも送検までの3時間とかなりの難題だが、船越慶一郎(船越英一郎)らは考察を引き受けることに。由緒正しき華道家一族の裏には、誰も知らない愛憎うごめく跡継ぎ問題が!?