西日本豪雨から4年「倉庫や畑が流され、水も出ない...」苦難を乗り越え”新品種”で再起...柑橘農園のいま

公開: 更新: テレ東プラス

2018年6月末~7月初旬にかけ、西日本を中心に広い範囲で発生した集中豪雨(平成30年7月豪雨 別称:西日本豪雨)。多くの地域が河川の氾濫や浸水害、土砂災害に見舞われた。
今回記者が訪れた愛媛県にも大雨特別警報が発令され、南予を中心に被害が及び、特に大洲市、西予市、宇和島市の被害は甚大なものとなった。

災害から4年の月日が流れ、今もなお復興が続く中、2022年10月21日(金)、愛媛県宇和島市で、南予初となる「えひめきずなスイーツキャンペーンキックオフイベント」が開催。
愛媛県産農産物を使った"きずなスイーツ"の紹介や食べ比べの他、愛媛県知事 中村時広氏、鎧塚俊彦氏(「Toshi Yoroizuka」オーナーシェフ)、平岩理緒氏(スイーツジャーナリスト)、「赤松農園」赤松正月氏によるトークセッションが行われた。

「テレ東プラス」は、同イベントを取材。トークセッションでは、中村知事と赤松氏が当時の被災状況を赤裸々に語り、イベント参加者一同、感極まる一幕があった。

ehime_20221102_01.jpg▲キックオフイベント(食べ比べ)に参加した商品

ehime_20221102_02.jpg▲会場風景

西日本豪雨により、愛媛県内でも特に大きな被害を受けた南予は、依然として復興途中ではあるものの、農家の人々は前を向き、さらなる発展を目指している。あれから4年...赤松氏が、当時の状況を振り返った。

ehime_20221102_03.jpg▲「赤松農園」赤松氏

「生産者の立場として、まずは愛媛県の農産物を使ったこのような会が開催されたことに、お礼を申し上げます。本当にありがたい、ありがとうございます。
当時は、テレビのニュースや情報番組でも、よく被災現場の映像が流れておりましたので、ご存じの方も多いと思いますが、土砂崩れや川の氾濫により、倉庫や畑が流される、水道からは水が出ない、掃除もままならず、料理やお風呂など、一瞬にしていろいろなことができなくなったという状況でした。
ボランティアや自衛隊の方の力を借りながらなんとか家の修復を済ませ、1ヵ月くらいして水が流れるようになり、やっと園地にかかれるようになったという感じです」

園地は免れたものの、住宅そのものが被災してしまったため、まずは生活を立て直すことが第一だったと話す赤松氏。さらに8月は温州みかん摘果作業の時期でもあり、「赤松農園」にも、大きな困難が降りかかった。

「まずは暮らしを立て直し、それからやっと畑に上がるという状況。7月は、みかんがまだ緑の状態なのですが、通常は大きさを揃えるためにみかんを間引く作業(=摘果作業)を行うわけです。被災後は、7月にその作業ができなかったため、より木に負担がかかってしまい、小玉が多くなってしまった。単価のいいみかんを配給できなくなってしまったので、大きな不安を感じていました。
そんな中、農業の同志会の集まりが行われ、南予と西宇和が手を取り合って、プロの農家の方がボランティアで手伝いに来てくれたのです。人手が足りないお年寄りの農家さんを回ってくれたこともあり、南予の農家はだいぶ助けられました」

地域で協力し、助け合ってここまで乗り越えてきた。現在はほぼ復旧しているというが、中村知事いわく、ここまで来るには大変な努力が必要だったという。

ehime_20221102_04.jpg▲左から、中村知事、鎧塚氏

「当時一番困ったのは水の供給です。飲み水はなんとかなりましたが、お風呂にも入れない、トイレにも不自由する、家屋が倒壊しているのに消毒すらできない...被災後は、本当に何もできない状況でした。

さらに問題なのは、柑橘園地がかなりやられてしまったこと。特に赤松さんの地元でもある、宇和島市吉田町は愛媛みかん発祥の地で、『愛媛県農林水産研究所 果樹研究センター みかん研究所』もあります。
当時は、山が削り取られた状況でどうにもならない、農園の皆さんが『もうやめる』という話になっている中、私はとことん話し合いました。農園の皆さん30人と討論を交わし、『とにかく信じてほしい! 絶対に何とかしたるけん!』と。その結果、全員諦めずに戦ってくれて、今は9割以上が復旧しています。

そして今、『紅プリンセス』という新品種が生まれ、『"紅プリンセス"の一大産地にするんや!』と、県民が一丸となって盛り上がっています。『紅プリンセス』は、愛媛を代表する高級柑橘『紅まどんな』と『甘平』の子ども、おいしいに決まっています」

ehime_20221102_05.jpg▲新品種「紅プリンセス」

「うちの農園では、もう実がなっています」と笑顔で語る赤松さん。

「今回、『紅プリンセス』という品種を初めて聞きました。僕は、まだ『紅まどんな』が出回っていない頃、この地で出会い、『どっちの料理ショー』のバレンタインスイーツ対決で使わせていただいたことがあります。その際、非常に評価が高かったことをよく覚えています。
元々愛媛県の柑橘が大好きですし、さらに新しい品種を作り上げるという意欲がすごいなと。
さらに言うと、愛媛産のシャインマスカットも非常においしいんですよ。これからも、積極的に愛媛県の農産物を使って、東京のお店で仕掛けていこうと思っています」(鎧塚氏)

県が一丸となり、被害に負けず、すでに新しいブランドを売り出すための戦略も立てているようだ。

今回、宇和島を初めて訪れた記者が感じたのは、出会う人たちの優しさ、そして桁外れの人情だった。現在、東京や神奈川でも、愛媛の良さを身近に体感できる企画を展開中! これを機に、愛媛の食材の素晴らしさを、ぜひ味わってほしい。

(撮影・取材・文/蓮池由美子)

【えひめきずなスイーツキャンペーン2022を11月13日(日)まで開催中!】
愛媛県内の和洋菓子店など全77店舗で、柑橘や栗などの果物をはじめ、愛媛県の農産物を使った"南予地域にちなむ"オリジナルの「きずなスイーツ」を一斉に販売。
※詳しくはコチラ

◆あなたの推しスイーツはどれ?えひめきずなスイーツ総選挙!
期間:令和 4 年 10 月 22 日(土)~ ※販売開始日・販売期間については現在調整中。
内 容:キャンペーン参加商品 から自分の推しスイーツを専用ページから投票
※専用ページは「えひめスイーツプロジェクト」のHPInstagram に掲載。

◆鎧塚シェフとのコラボ商品について
期間 10 月 25 日(火)以降 ※販売開始日・販売期間については現在調整中。
内容:南予地域の農産物を使用したコラボスイーツの製作・販売( 1 商品)
販売商品について鎧塚シェフ Instagram でスイーツデモを公開。
品目: シャインマスカット(大洲)

【「愛媛×神奈川コラボフェア」第二弾を開催中!】
神奈川県にフォーカスし、良質なモノを全国の全ての人に届けるショッピングサイト「カナコレ」では、「愛媛×神奈川コラボフェア」第二弾を開催中。
今回のフェアでは、横浜、東京にて「食」を中心としたマルシェやポップアップ、レストランと連携したコラボメニューを提供する。
※詳しくはコチラ

【「愛媛×神奈川コラボコーラ」を発売中!】

ehime_20221102_06.jpg
愛媛県の「AISHISU」と神奈川県のスープカレー店「KIFUKU」がコラボして開発した愛媛県産のみかん、レモン、柚子と「KIFUKU」の大ヒット商品「クラフトコーラ」が融合し、子どもから大人まで愛されるコーラが誕生!
着色料・香料・保存料・人工甘味料・化学調味料不使用で、そのまま飲むもよし、お酒と割ってカクテルにしてもよし! 幅広い楽しみ方が味わえる。
※購入についてはコチラ

【「三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド」にて「カナコレ」ポップアップイベントを開催!】
ECサイト「カナコレ」で販売している神奈川県のブランドと人気キャラクター カナヘイの小動物やシナぷしゅなどのコラボ商品を集めたポップアップイベントを「三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド」にて開催! この機会にぜひお立ち寄りください。

開催日時2022/11/3(木)~11/6(日)

10:00~20:00
※11/3のみ:9:30~20:00開催場所Cブロック1F 30040区画(スターバックス コーヒー)前