「箸も持てない...俺の体はバイオハザード」原因不明の難病と闘うテレンス・リーのいま

公開: 更新: テレ東プラス

「危機管理」という言葉を世の中に浸透させ、コメンテーター兼タレントとして、情報バラエティー番組などで一世風靡した元傭兵のテレンス・リー。一時期は「やりすぎ都市伝説」にも出演。マッチョな体にタンクトップ...謎めいたサングラス姿が印象に残っている人も多いはずだ。

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今回の「テレ東プラス 人生劇場」は、そんなテレンス・リーに会いに、神奈川・相模原へ。
待ち合わせしたのは、某ファミリーレストラン。付き人と共に現れた彼は松葉杖姿だが、顔色は良く、いたって元気そうだ。会うなり屈託のない笑顔を見せ、記者が酒を勧めると、「いいんですか?(笑)」と実に気さくに応じてくれる。

現在は、「テレンスリー☆テレビ」 をはじめ、プロデュース業を生業として活動しているが、果たしてテレンス・リーは今、どんな暮らしをしているのか。また、今の日本をどう見ているのか......。とことん話を聞いた!

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どんな薬も効かないバイオハザード状態

――松葉杖で体の調子も悪いとのことですが、こうしてお会いすると顔色も良く、ちょっと安心しました。お体は、どこが悪いのでしょう。

「傭兵、ボディガードを経て、1993年に帰国してすぐ、膝の具合が悪くなりまして...。今から4年ぐらい前に、『おっ、今度は上半身にも痛みがきたぞ!』と思ったら、そこからはもう早かったですね。原因不明の難病で、当初指は動いていましたが、そこからものすごい痺れがきて、半月ぐらいしたら、もう指の先もあまり動かなくなってしまいました。あっという間に、痛みが広がったという感じ。
今は箸も持てないし、爪も切れない。食事をとる時は、フォークを2本の指で挟んで食べ、爪は毎日やすりで削って伸びないようにしています。

いろんな病院に行きましたが、一番最初に"これが原因じゃないか"と特定してくれたのは、大学病院ではなく、元軍医の町医者でした。ずいぶん前に亡くなってしまった先生ですが、『太平洋戦争中に南方戦線へ行っていた時、俺は似た症状の人を見たことがある! 細菌性の問題だ』と。先生いわく、私の体は"次から次へと耐性がついたバイオハザード状態"だそうで...(笑)。まぁ傭兵時代は、現地調達のものばかり食べていましたからね」

――バイオハザード! 細菌系の病気であれば薬などで治療できるかと思いますが、もう治らないということですか?

「そうですね。いろんな注射や薬を試しましたが、まったく効きませんでした。とにかく痛みが酷いので、今は痛み止めの麻酔注射をしています。でもその注射も、この私が"う~っ"と唸るほど痛いんですよ。注射をすれば痛みは取れますが、症状は治りません。もう先生は、『リウマチってことにしとこう!』と(笑)」

――それはもう、なんと言葉を返していいのやら...。

「ですよね。とにかく日々の生活が不便で、服もジャージしか着られないし...。嫌だけど、私は割と諦めがいい方で、今は仕方がない、付き合っていくしかないと思っています」

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「俺は俺」テレ東こそ坂本龍馬

――そんな大変なご苦労がある中、「テレンスリー☆テレビ」を配信、「レべチな人、見つけた」(2021年11月30日放送)にも出演した女装愛好家・キャンディ・H・ミルキィさんのプロデュースなどもされています。
令和に入り、ネットカルチャー全盛期を迎えていますが、「ようやく俺の時代が来た!」という感覚はありますか?

「確かに、テレビと違って、YouTubeやSNSでたいていのことは言える時代になりましたよね。ただ、古い人間かもしれませんが、私はまだ、ネットの世界をあまり信用していません。"テレビの未来に暗たんたるものがある=ネットに変わる"という気もしない。
今までのマスメディアは巨大なものだったけど、それが分裂し始めたというだけでしょ? 分裂したものはそもそも力が弱いので、それが長続きするとはどうしても思えないんですよ。だから『俺の時代が来た』なんてまったく思わないし(笑)、有名なYouTuberたちが、この先5年、10年と長きに渡って活躍するというのはあり得ないと考えます」

――暴露系YouTuberも、長くは続かないと...(笑)。

「本当にね。ああいう太鼓持ちがお客さんのプライベートについて口を割ったら、世も末。でも、それを喜ぶ大衆が一番下衆ですけどね。
日本人って、外国人から褒められるのが好きじゃないですか。氷山の一角の良いところだけを持ってきて、"日本は美しい"と言う。でも、日本人が本当に美しかったら、暴露系YouTubeのフォロワーが増えちゃいけないんですよ。私は、芸能人の暴露をするくらいなら、その人のいいところをとことん褒めたい!(笑)」

――おお! では、テレビ東京の魅力は何だと思いますか?

「一時期『東海テレビか?(笑)』なんて言われていたこともあったけど、私は、テレ東こそ坂本龍馬だと思いますね。世間様がなんと言おうが、俺は俺。他にはない局でしょ。『世の人は我を何とも言わば言え。我成す事は我のみぞ知る』ですよ。
私は、東京12チャンネルの頃から、よく夜のエッチな番組を隠れて見ていました。あの頃から尖っていましたよね。田原総一朗さんも、12チャンネル時代、フリーセックス集団の取材中にエッチしたとか...大した"タマ"です(笑)」

――そういえば、リーさんは「やりすぎ都市伝説」にも出ていましたよね?

「僕が出演していた頃の『都市伝説』は、アシスタントが大橋未歩さんで、本当にそれはもう、私、どストライクだったんですよ(笑)。面白い芸人さんもたくさん出ていたし、収録はとても楽しかったですね」

――令和に入り、さらにコンプライアンスが問われる時代になりました。SNSでの誹謗中傷、芸能人が不倫やスキャンダルで仕事を失うケースも多くなりましたよね。今後のエンタメ業界は、どうなっていくと思いますか?

「まずは、政治とエンタメの世界を分けなきゃダメですよね。アメリカでは、映画やテレビで差別表現が出てくるけど、もしも大統領がそんなことを言ったら即アウト。さらに言うと、アメリカは喫煙に対して厳しいけど、映画もテレビも、タバコを吸うシーンは普通に出てきますよね。
今の日本は、エンタメの世界でもうるさく言われるじゃないですか。それが、リアリティを追求する作品だとしたら、あり得ないことだと思うんですよ。日本はコンプライアンスを履き違えているし、歪んでいると思いますね」