エンタメ業界の激変「10年前に今の状況があるとは...」松山洋社長×浜野謙太 対談:チェイサーゲーム

公開: 更新: テレ東プラス

10年前は今の状況があるとは考えられなかった

chasergame_20221027_05.jpgチェイサーゲーム」第8話より

――ドラマの中でも、エンタメ業界の細分化が進み、この10年でゲーム作りに熱を持った若者が減り続けているというお話が描かれていました。ご自身のジャンルにおけるこの10年の変化、そしてこれからの展望はどのように考えていらっしゃいますか?

松山「ゲーム業界に関しては、まったく分からないです。10年前、世界中でWi-Fiが飛んでいて、どこでもゲームができる今の状況があるとは考えられませんでした。10年後は我々が想像している以上にもっと便利になって、とてつもないデジタルエンターテイメントの波がやって来るだろうと思っています。我々はその波に乗りながら、また新しいエンタメを楽しみながら作っていけたら。そのためには漫画、アニメ、映画、ゲーム、ありとあらゆるエンタメを常に吸収し続けるのが大事で、そうするとおのずと2年後3年後が見えてくるはずです」

浜野「10年後に自分が生き残っているかも分からないですが…。音楽はサブスクの時代になって、僕が始めた頃には少しあった『この音楽を知ってます&やってます』と主張できる音楽ジャンルの特権性が、まったく無くなっています。若い人は、自分が知らないジャンルの音楽があったとしても、あえてそこを通っていないだけだったり。そういう意味では、“この音楽を獲得したい”という情熱みたいなものが今はもうないのかな、と。

『チェイサーゲーム』でも、龍也が『インターン志望者のゲームとの向き合い方が自分たちの時代と違う』と語る場面がありましたが、若い人たちはゲームや音楽に対して『もっとやらせろ! 制限すんじゃねえ!』みたいな強い思いがないと思います。何でも手に取れる環境で育ってきたからなのかな。あまり制限も強制もされないで育っているというのか。そういう時代の変化の中で何を作って、どうすればいいのか…。松山さんがおっしゃったように、自分自身がまずたくさんインプットして楽しんで、そこから何かが生まれたらいいのかなとは思います。

松山「ゲームの世界にはまだパッケージ文化がありますが、やはりサブスク販売、ダウンロード販売、スマホでゲームを持ち歩いたり、クラウドでゲームが遊べるようになっています。テクノロジーで便利になるにつれて、古き良きものまでも変わってしまっています。利便性には、かなわないんですよね。エンタメって人の役に立つものであるべきだと思うので、その時代の流れに逆らうことなく見極めて、お客様に寄り添いながら、面白いゲームを提供していけたらと思います」

(取材・文/伊沢晶子)

【プロフィール】
松山洋(まつやま・ひろし)
1970年11月23日生まれ。福岡県出身。福岡県のゲーム制作会社「株式会社サイバーコネクトツー」代表取締役社長。自身が原作を務める、ゲーム業界が舞台のお仕事漫画「チェイサーゲーム」をファミ通.comにて連載(2018~2021年)し、2022年9月テレビ東京にて実写ドラマ化。
「株式会社サイバーコネクトツー」公式サイト
Twitter:@ PIROSHI_CC2

浜野謙太(はまの・けんた)
1981年8月5日生まれ。神奈川県出身。愛称“ハマケン”。バンド「在日ファンク」のボーカル兼リーダー。在日ファンクのデジタルシングル「身に起こる」が11月30日(水)配信、ワンマンライブ「身に起こる the One マン」を12月3日(土)恵比寿LIQUIDROOMにて開催。俳優としては、映画「婚前特急」(2011年)で第33回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞を受賞の他、ドラマ・映画など出演作多数。「つまらない住宅地のすべての家」(NHK)に出演中。映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」が2023年3月24日(金)公開予定。
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