仕事をやめたい...充実感がない...「50代以下の仕事の満足度」を徹底調査!専門家が説く”逆転の発想”

公開: 更新: テレ東プラス

――アンケートでは、今の仕事に満足していないものの、転職しない理由について「収入のため」「転職が面倒」という意見が多く挙がりました。昔と比べて、仕事に対する夢ややりたいことがない人が増えていると感じますか?

「それは確かにそうです。昔は情報が少なく、仕事の選択肢も限定されていましたが、ネット社会になったことで何でも選べる時代になりました。情報と選択肢が増えすぎると、逆に選べなくなってしまう。
ただ私たちは、やりたいことが見つからず悩んでいる若者に『やりたいことがなくたっていいよ!』とアドバイスするようにしています。"やりたいことを仕事にしなければいけない"って、ある意味ハラスメントみたいなものなんですよ。やりたいことが見つかったのであれば、それを仕事にしてもいいと思いますが、"やりたいこと=いい仕事"とは限らない。仕事の一番の目的は"お金を稼いで生計を立てること"なので、給料だけで仕事を選んだっていいわけです。お金はそんなに稼げなくてもいい、その仕事さえできれば幸せという人は、相当少数派だと思います。なので、無理してやりたいことを探さなくてもいいし、それを仕事にしなくてもいいと思っています」

――やりたいことを無理矢理探すのではなく、給与体系を参考にしながら、自分に向いている仕事を探す方がいいと。

「そうですね。人はほとんどの場合、得意なことで結果が出た時、それが『好きなこと』へと変わります。そう考えると、やりたいことを仕事にするというのは、順番がそもそも逆。得意そうな仕事を探して、成果を出せるにようなる。そして、その仕事を好きになるという順番で考えた方がうまくいきます。社会全体で"やりたい仕事を探しなさい"と、間違った教育をしてしまっていると思います。
仕事って、やり方を工夫して、楽しめるようになれば、その仕事が"やりたいこと"に変換できるんですよ。順番を逆転させず、自分の強みが生きて、しっかりと結果が出せる仕事を探しましょう。仕事の充実度を測る上で一番配点が大きいのは、"自分の理想とのマッチ度"なのです」

――逆に、ある程度希望の職種が決まってる人たちに向けて、就活・転職のアドバイスはありますか?

「今、希望している職種のイメージは、実際にその仕事をしてみたら変わる可能性が十分あるとお伝えしたいですね。初志貫徹型の人もいると思いますが、やってみてイメージと違ったら、仕事を変えたっていいんですよ。最初の職種は自分の中で情報が少ない時に決めたことですし、やってみてわかることも多いので、就職して1~2年でも、興味や関心が変わったら、いくらでも転職すればいいと思います。
とはいえ、現実的なアドバイスとしては "3年間続けた方がいい"とは思いますが、まったくもって興味が変わってしまったら、辞めてもいいと思います。
本当は、新卒入社後3年間は、1、2回辞めても不問になるって猶予期間があるといいんですけどね。新社会人になってからの3年間は、正社員だとしてもインターンのようなもので、自分の適性を見極める期間として社会的に認めてしまう。適性を見極める期間、それを伸ばす期間も必要ですから」

manzokudo_20221010_05.jpg川竜/PIXTA

――今の仕事を辞めずに転職活動をすると、時間がなくて集中できないという人もいると思います。転職活動はどのタイミングでするのが正解なのでしょうか。

「仕事を辞めてから転職活動に専念するのは、リスクを背負うことになります。辞めた後だと、転職活動がうまくいかなかった場合、戻る場所がないですから。
転職活動は、いろんな職種を見た上で、"今の職場の方がいいかもしれない"と再認識する活動でもあるので、"戻る"という選択肢を捨ててはいけません。今の職場の方が遥かに恵まれている場合もありますし、転職するにしても時期的にもう少し先の方がいいという場合もあります。
採用面接を受けた企業から、『今は実力不足だから、あと1〜2年かけて◯◯のような経験を積んでから来てほしい』と言われた時、離職してしまっていたらもう戻れませんよね。
実際、大企業であればあるほど、大企業の良さを生かしきれていない人も多く、うまく会社のリソースを使えば、もっといろんな仕事ができるケースもあります。ただ、心身の健康を害するような職場であれば、辞めた方が健全です」

――日々の仕事に飽きないように、何かを変化させていくことも大事?

「個人的には、飽きない仕事などないように感じます。"飽きること=悪い"と考えるのではなく、飽きたら飽きたで仕方がない。ただ、やり方や見方を変えるだけで、同じ仕事を飽きずに続けることはできます。
同じ仕事でも、今まで通りのルーティンでやるのではなく、改善できる余地がないか考えたり、自分の次の工程をやる人がやりやすくなるようにしたり、自分の業務ステップだけではない業務全体の視点で仕事を改善するなど、仕事はちょっとした工夫や視点を変えるだけで楽しくなります」

――企業から選ばれる人の共通点はありますか?

「新卒でも中途でも、やはり企業が利益を最大化する上でプラスになる人ですよね。会社というのは基本的には営利目的ですから、利益を作り出せる人を採用します。しっかりと利益につながる人であり、かつ長く働いてくれるかどうか、採用基準はこの2つが基本だと思います」

――転職する際、エージェントやキャリアコンサルタントに相談するメリットはどこにあるのでしょう。

「独学では学べないキャリア関連知識、採用市場の構造や、採用担当者がどういう視点で採用しているかなどを教えてもらえること。キャリアを構築していく上での基礎的な考え方、業界や職種に関する詳細な情報も知ることができます。
さらには、どのような業種で採用ニーズがあり、今後市場価値が伸びていく職種は何かというトレンドの話など、エージェントなら、ネットで調べただけでは分からない現場の情報を持っています。
エージェントやキャリアコンサルタントを選ぶ際には、1人に絞らず、複数人から話を聞き、いくつかの情報を重ね合わせることがおすすめです。その上で、信用できるエージェントやキャリアコンサルタントを選ぶといいと思います」

川畑翔太郎 プロフィール】

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UZUZ」専務取締役。1986年生まれ。鹿児島出身で高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻し、住宅設備メーカーINAX(現:LIXIL)に入社。1年目から商品開発に携わるも、3年目に製造へ異動。毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。
自身のキャリアチェンジのため、「UZUZ」創業に参画。現在はIT学習支援サービス「ウズウズカレッジ(https://uzuz-college.jp/)」の事業統括だけでなく、キャリアカウンセラーとしてキャリアコーチング事業、企業ブランディングを担当。これまでに累計2,000名以上の就業サポートを実施している。