群馬県高崎市を舞台にしたヒューマン・グルメドラマ「旅するサンドイッチ」。各地を旅しながら地元の恵みを使ったサンドイッチを提供するフードワゴンを営む主人公たちが、高崎で農業を営む家族と出会い、交流する物語。高崎の新鮮食材を使い、どんなサンドイッチに仕上げるかも見どころです。
主人公・榎本くるみ役の伊藤万理華さん、くるみの幼なじみ・今村かえで役の富田望生さんにインタビュー! 5年前の映画で共演して以来の仲良しだという2人。伊藤さんが本格的にお芝居に取り組むきっかけとなったのも、実は富田さんが関係していた!?
仲良くなったきっかけは写真
――お2人は、映画「あさひなぐ」(2017年公開)での共演をきっかけに、仲良くなったそうですね。演技での共演はそれ以来とのことで、久々の共演はいかがでしたか?
富田「『最高!』のひと言に尽きます。スタッフのみなさんは、私達が友達だとご存じなくて、2人の顔合わせにたっぷりお時間を用意してくださっていたんです。コロナ禍でしばらく会えていなかったので、顔合わせというより、ただただおしゃべりして近況報告会みたいになっていましたね(笑)」
伊藤「スタッフのみなさんに、仲良しをただ見せつけた感じだったよね(笑)」
富田「幼なじみの2人のテンポ感が大事な作品なので、気を使うことなく、気負うことなく自然と話し合える関係は、お芝居する上で重要な部分で。セッション...っていうんですかね(笑)、万理華ちゃんはセッションしやすい方だなと思いました」
伊藤「『あさひなぐ』の時からすごく波長が合って、いつかまた共演する機会があればいいなと思っていました。去年あたりから、セッションしやすい方々と出会える機会が多くて。今回も原案・脚本・プロデュースの畑中翔太さん、監督のアベラヒデノブさんとは2回目のお仕事で、望生ちゃんとは5年ぶりに共演できて、いろんなところから繋がってきたなと感じます。
望生ちゃんは、女優さんとしての魅力ももちろんですが、内側から輝いていて。こんなに肩の力を抜いてお芝居できることってなかったので、それが画面越しにも伝わると思います。お芝居だけど普段の延長のような、その狭間にいる姿を見て欲しいです」
――親しくなったきっかけは何だったんですか?
富田「写真だよね? 『あさひなぐ』の公式サイトに載せる写真を、私が演じた役の目線で撮ってくださいと、デジタルカメラを貸していただいて。みなさんの寝顔とか、もしかしたらあんまり撮られたくない瞬間もヅカヅカと撮っていたので(笑)、みなさんとも距離が近づいたのかな。特に万理華ちゃんとは、『晴れてるから、目の前の公園行ってみようか』とか2人で撮影に行くことが多くて。好きな食べ物も似ているし、写真を撮られることも好きでいてくれているんだろうなと感じたので、プライベートで会った時も自分のカメラで撮ったりしていました」
伊藤「私がグループを卒業した後によく会っていた時も、写真を撮り合いっこしていました。今回は2年ぶりの再会だったので、本読みの後に思い切って『ドライブ行かない?』と誘いました。もっと今の望生ちゃんのことが知りたかったし、くるみとかえでの距離感で現場に臨みたいという気持ちもあって。温泉に行って、望生ちゃんの家に泊まって、『撮影の日、晴れますように』と祈願して、てるてる坊主のお守りを買って。そのお守りを現場に持って行ったので、どこかに映ってないかな?」
富田「映ってるかも!」
伊藤「3年前くらいに遊んだ時に撮った写真も劇中で使っていただいたり、小物使いにも仕掛けを入れました」
富田「今回、かえでの趣味がカメラというのも全くの偶然で。劇中でも休憩中にも撮っていたので、その写真もちょこちょこ出て来たり。そういうところでも2人の距離感がみなさんに見えてくるんじゃないかなと楽しみにしています」
「お芝居やってよ」の言葉で今がある
――5年ぶりの共演で、お互いの成長を感じた点は?
伊藤「5年前も、しっかりしている印象でしたが、より場数を踏んで"この場ではこうしたらいいんだろうな"という対応力や適応力がすごくなっていて、成長されたなぁと(笑)。今回一緒にお芝居したことで、望生ちゃんとならいろんな役で何をやっても面白くできる気がすると思いました」
富田「5年前は万理華ちゃんはアイドルグループに所属していましたが、お芝居がずば抜けてナチュラルで。"いろんな役に揉まれて欲しい"と勝手に思ったので『お芝居やらないの? やってよ』と言っていたんです。あれからいろんな作品や役に出合って、幅の広がり方や想像力がすごく豊かになっているなと感じました。我ながら、あの時『お芝居やってよ』と言って、本当によかったなと思います(笑)」
伊藤「ホント! そのひと言は、自分の中で相当大きかったです。グループを卒業する直前に撮った映画で望生ちゃんと共演して、間近で同世代の役者の取り組みを見ることができて、その子に『お芝居やりなよ。やったらもっと楽しいよ』とススメてもらえて。自分もそういう場所に飛び込んでいいのかなと、背中を押してくれたのが望生ちゃんだったということを今回の共演で思い出しました」
――物語の舞台・高崎でのロケで印象的だったことは?
伊藤「フェスタのシーンを撮影した希望の丘農園が素敵でした。景色も素晴らしく、地元の方がエキストラとして参加してくださって、キッチンカーも並んで、そこでサンドイッチを食べて...このドラマの象徴的なシーンでもあると思います」
富田「いろんな天候の中、その場で私達がどう動くか、どう過ごすかということも、みなさんとセッションしながら撮影しました。天候によってシーンがキュッと締まって美しくなる。いろんな天候でのその土地の姿が映ることによって、農産物がどんな風に育って、だから美味しくなるんだと、より一層伝わったんじゃないかなと思いました。市役所の農林課の方々がずっと付き添ってくださり、農家の方も温かく迎えてくださいました。高崎のみなさんのおかげで、この作品が生まれました。本当にありがたいです」
伊藤「高崎のみなさんのご協力があってのドラマです」
――高崎で食べた農産物の中で特に美味しかったものは?
伊藤「どれも美味しかったですが、果樹園でプラムを初めて生でいただいたのが印象的でした。マスカットや梨も、フルーツ農家の方がいろいろ説明してくださって。育った畑の近くで食べるからか、より一層美味しく感じられました」
富田「私はプラムをお土産用に買って帰りました(笑)。食べるシーンは、リアルな瞬間を撮りたいということで、どれもファーストテイクでした。なので、本番まで口にするのを我慢して、わくわくしながら食べて、感想もセリフではなく思ったことを言葉にして。中でも、初めて生でいただいたとうもろこしが美味しかった! 青臭いのかなと思っていましたが、茹でたとうもろこしに繋がる甘み、旨味が生でズドーンと来る感じがして衝撃的でした」
――普段、料理はされますか?
伊藤「サンドイッチが好きで、サバ缶を使ったサンドイッチを自分で開発しました。『これ完璧やん』ってくらい、めちゃくちゃ美味しい! いつかレシピを公開したいです」
富田「私も作るのは好きで、ひたすら凝りたくなります。2、3年前には、パスタはまず乾麺を水で戻して生麺みたいにしたり、うどんは鰹節から出汁を取ったりしていた時期がありました。最近だと、ドライブの時、野菜の自動販売機で、顔くらいの大きさの茄子が5本150円で売っているのを見つけて、煮浸しにして、その日のうちに全部食べちゃいました(笑)」
――お互いに食べて欲しい料理や、地元グルメなどはありますか?
伊藤「サバ缶を使ったサンドイッチは、望生ちゃんにも食べて欲しい」
富田「食べたい!」
伊藤「うちおいで! 望生ちゃんの地元のご飯も食べたい」
富田「地元は(福島県いわき市)海沿いなので、お魚が有名ですね。麺類も美味しいし、農業も盛んなので一緒に畑でもぎったものも食べたい。あと、揚げた"とんかつ"じゃなくて、焼いた"やきかつ"があって。ドライブがてら定食屋さんに行って、ガッツリ定食を食べて『あ~お腹いっぱい』っていうのを一緒にやりたい」
伊藤「連れていってください!」
そんな2人が生み出す空気感も楽しみ。ドラマ「旅するサンドイッチ」を観て、お腹もココロも満たされて!
(撮影/市川唯人 取材・文/佐藤ろまん)
あらすじ
日本各地をフードワゴンで放浪し、その地で獲れた地元の恵みを挟んで、お客さんに提供する"旅するサンドイッチ屋"を営む榎本くるみ(伊藤万理華)と今村かえで(富田望生)。ある日、たまたま群馬県高崎市にたどり着いた2人は、畑の中で倒れていた地元農家の木原陽二(寺島進)を助ける。くるみたちは陽二と妻の美沙(宮崎美子)から、お礼に育てている野菜をもらい、その場でサンドイッチにして振る舞う。陽二から、息子の裕樹(遠藤雄弥)と農業のことで対立し、離れて暮らしていることを知ったくるみは、お節介な性格が発動し...。