【3行まとめ】
・ドラマ24「雪女と蟹を食う」第11話「あなたのような人」をプレイバック
・北と彩女は、ついに蟹のフルコースを予約した店に向かう
・蟹を堪能した2人は車で海辺へ。死を覚悟した彩女は、車から降りると「誰にも迷惑がかからない方法にするわ」と北に冷淡な表情で告げ...
毎週金曜深夜0時12分からはドラマ24「雪女と蟹を食う」(主演:重岡大毅 ジャニーズWEST)を放送!
「テレ東プラス」では、第11話「あなたのような人」をプレイバックする。
※下記ネタバレあり
痴漢冤罪により全てを失い、人生に絶望した男・北(重岡大毅)は自殺を図ろうとするが、あと一歩踏み切れずにいた。
テレビでグルメ番組を見た北は「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、図書館へ。そこで見かけたセレブ妻・雪枝彩女(入山法子)に狙いを定め、家に押し入り、金を要求するが、彩女に促されるがまま情事を交わしてしまう。彩女に「私も食べたいです、蟹...」と告げられた北は、戸惑いながらも2人で不思議な旅を始めることに。
旅の途中、北は彩女が死ぬために自分についてきたこと、夫で小説家の雪枝一騎(勝村政信)との間で孤独を感じていることを知る。
ついに"最期の地"と決めた稚内にたどり着いた2人。彩女の死への決意を変えることができず葛藤する北は、「明日一緒に蟹を食べて、一緒に死ぬのよ」と、彩女から特選蟹フルコースの予約が取れたことを報告される。
◆
「約束したでしょ? 旅の間は笑顔でいるって。まだ旅は終わってないんだから」
そう言う彩女に北は思いきり笑ってみせる。彩女は静かに「変な顔」と言って微笑む。
「ねぇ、北さんは生まれ変わったら何になりたい?」
「え?」
「自由に空を舞う鳥? 広い海を縦横無尽に泳ぐ魚? 一生愛されて生きる動物? それとも、雄大な自然の中で長寿な植物? どれになりたい?」
ベッドに横になり、そう訪ねる彩女。北も彩女の隣に寝そべる。
「どれもピンとこないかな。でも、強いて言うなら...電車に乗らなくて良い地域の人間がいい」
「え? 電車?」
「そう」
苦笑いする北の頬に、優しく触れる彩女。
「...いろいろあったのね」
◆
別のホテルにて。一騎の愛人・谷内(齋藤里菜)が、ベッドに寝そべりながら原稿用紙を読んでくすりと笑う。
「先生の字って、お世辞にもきれいとは言えませんね」
「人に見せるためじゃないんだ。それに、作家の字は汚いと相場が決まっている」
面白そうに一騎を見ている谷内。
「そんなことより、どう思った?」
「私は小説のことあんまりわかりませんけど...なんだか、嘘を聞かされているように感じました」
煙草をくゆらせながら、黙り込む一騎。
海沿いの道を歩いている北。ぼんやりと景色を見つめながら(俺は分からない。死にたいと思っている人間をどうやって助けたらいいか...)と思いを巡らせる。
「考えろ...なぁ、考えろよ...俺はあの時...」
(誰に何て言ってほしかったんだ?)
(自分は何が嫌で、何が足りなくて、この世から消えてしまおうだなんて思ってたんだ...)
「そうか、そうだ、そうだ...」
海辺でひとりつぶやく北。涙で視界がにじむ。
「俺、もうそんなことを思い出せなくなるくらい...とっくに救われてた...とっくに救われてた...」
燃えるような夕焼けに、空が赤く染まっていく。
(神様、長生きがしたいわけじゃないんです。ただ、もう少しだけ...この夏の続きが見たいんです...)