「死ぬ覚悟が、できたのね」彩女と一騎の歪な夫妻関係...その過去がついに明らかに!:雪女と蟹を食う

公開: 更新: テレ東プラス

【3行まとめ】
・ドラマ24「雪女と蟹を食う」第9話「覚悟」をプレイバック
・再会した北と彩女は小樽まで車を走らせる。旅を楽しむ2人だが、北は離れていた時間のことを一切尋ねてこない彩女に『蝉時雨』に出てくる妻を重ねる
・一方の一騎は、巡から彩女が男と北海道にいると聞かされる。彩女と一騎の歪な夫妻関係、その過去がついに明らかに...!

毎週金曜深夜0時12分からはドラマ24「雪女と蟹を食う」(主演:重岡大毅 ジャニーズWEST)を放送!

「テレ東プラス」では、第9話「覚悟」をプレイバックする。

※下記ネタバレあり

痴漢冤罪により全てを失い、人生に絶望した男・北(重岡大毅)は自殺を図ろうとするが、あと一歩踏み切れずにいた。
テレビでグルメ番組を見た北は「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、図書館へ。そこで見かけたセレブ妻・雪枝彩女(入山法子)に狙いを定め、家に押し入り、金を要求するが、彩女に促されるがまま情事を交わしてしまう。彩女に「私も食べたいです、蟹...」と告げられた北は、戸惑いながらも2人で不思議な旅を始めることに。
旅の途中、北は彩女が死ぬために自分についてきたこと、夫で小説家の雪枝一騎(勝村政信)との間で孤独を感じていることを知る。

札幌で彩女と離れ離れになってしまった北は、ニュークラブのホステス・マリア(久保田紗友)の家に身を寄せていた。しかし、マリアに彩女の居場所を聞いた北は、マリアとの幸せな日常を手放し、彩女のもとへ向かうのだった。

「彩女さん!」

彩女が待っている教会へ、無我夢中で走って来た北。しかしそこには誰もおらず、悔しげに立ち尽くす。すると背後から扉が開く音がし...

「北さん?」

振り返ると、そこに彩女が立っていた。すぐに歩み寄り、彩女を抱きしめる北。

「よかった...また会えて...」

「......」

「ごめん。もう待たせたりしない」

「死ぬ覚悟が、できたのね」

「うん。だからここにいる」

まっすぐ見つめ合う2人。

札幌を出た2人は小樽へ。街を散策しながら、「小樽って街全体がレトロな雰囲気で、すごく素敵ですね」と上機嫌な彩女に北は「そうですね」と同意しつつ、彩女の顔色を窺っている。
離れている間にどこで何をしてたのか、一言も尋ねない彩女。それは一騎の小説『蝉時雨』に出てくる"夫の不倫を問いたださない妻"と似ていた。

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昼食を終え、水族館にやって来た2人。多種多様なあざらしを興味深そうに見ている彩女と、心ここにあらずの北。

「あざらしってこんなに種類があるんですね。この水族館、あざらしの展示数が日本一なんですって」

「そうですか...」

「行きましょうか」

彩女は立ち去ろうとするが、北はその場を動かない。

「北さん?」

「なんで聞かないの? 彩女さんと再会するまで、俺がどこにいたとか」

「......」

「気にならないか。俺が誰と何してようと。俺、彩女さんとはぐれてる間、別の女の子のところにいた」

試すように言う北に、彩女は表情を変えず「そう」とつぶやき、あざらしの方に目線を戻す。

「やっぱ怒らないんですね。まぁ俺、彼氏でも旦那でもないからね」

「...怒ってほしい? こういう時、感情に任せて怒る女性の方が、男の人から見れば可愛げがあるのかもしれませんね」

「......」

「でも私は...泣きたくてももう、涙が出なくなってしまったの」

冷たい微笑みを浮かべる彩女に、言葉を失う北。脳裏に、初めて彩女と出会った時のことが蘇る。窓際に立ち、吹雪の音とともに妖艶に微笑んでいた彩女。

(忘れかけていた...『雪女』の正体。それは、悲しみの感情も湧かなくなるぐらい、理不尽に虐げられた、女の末路...)

「行きましょうか」

背を向けて歩き出した彩女に、ハッと我に返る北。思わず、「彩女さん!」と声をかけるが、何と言えばいいか分からず、「喉、乾きません?」と言う。

北が最初に感じた『雪女』という印象は、旅の中でいつの間にか薄れていた。北海道に来るまでの道中、楽しそうにはしゃぎ、優しく微笑みかけてくれた彩女。

(でも、今まで俺が見ていたのは全部演技で、彼女の精神状態が今、普通ではなかったとしたら...)

「普通の人間が強盗と旅をするわけないし...死のうとも思わない」

飲み物を買い、ひとり空を見上げる。

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(俺はそれを、本当の意味で理解していただろうか。彼女に本気で立ち向かう覚悟が、今の俺にあるのだろうか...)

ベンチに座り、北を待っている彩女。空には入道雲が浮かんでいて、激しく鳴く蝉の声に、一騎との日常を思い出す。