「まさか、先生を殺す気じゃないですよね?」夫の不倫により死に執着する妻は...

公開: 更新: テレ東プラス

【3行まとめ】
・ドラマ24「雪女と蟹を食う」第8話「ヒーロー」をプレイバック
・ニュークラブで客の妻に襲われたところを北に助けられたマリアは、北と一夜を共にする
・北はまっすぐに想いを告げるマリアに対し、自身の過去と犯した罪を打ち明けるが...

毎週金曜深夜0時12分からはドラマ24「雪女と蟹を食う」(主演:重岡大毅 ジャニーズWEST)を放送!

「テレ東プラス」では、第8話「ヒーロー」をプレイバックする。

※下記ネタバレあり

痴漢冤罪により全てを失い、人生に絶望した男・北(重岡大毅)は自殺を図ろうとするが、あと一歩踏み切れずにいた。
テレビでグルメ番組を見た北は「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、図書館へ。そこで見かけたセレブ妻・雪枝彩女(入山法子)に狙いを定め、家に押し入り、金を要求するが、彩女に促されるがまま情事を交わしてしまう。彩女に「私も食べたいです、蟹...」と告げられた北は、戸惑いながらも2人で不思議な旅を始めることに。
旅の途中、北は彩女が死ぬために自分についてきたこと、夫で小説家の雪枝一騎(勝村政信)との間で孤独を感じていることを知る。

札幌で彩女と離れ離れになってしまった北は、ニュークラブのホステス・マリア(久保田紗友)の家に身を寄せていた。マリアは素性を明かさない北を「コタロー」と呼ぶことに。
ある日、マリアは客の妻に襲われ、北に助けられる。2人はついに一線を越えてしまうが...。

彩女は北を待ちつつも、一騎の担当編集・巡健人(淵上泰史)と落ち合っていた。
一騎が稚内に向かうと聞いた彩女は、自身も稚内へ向かうことを決意。巡はその真意を探りつつ、ホテルで「私の方が彩女さんを喜ばせられる。そう思いませんか?」と彩女に覆いかぶさる。しかし、不意に笑いだした彩女は巡を押し退け、「やっぱり凡庸ね」とつぶやく。

「面白そうと思ってついて来たけど、どう切り取っても三文芝居だわ」

「まるで作家のような口ぶりですね。まぁ、小説のモデルになってるとすれば、ある意味産みの親か。蝉時雨は...あなたの物語じゃないんですか?」

「......」

「私は先生の担当作家として...それ以上に彩女さんと関わってきたつもりです。けど、あなたのことが何ひとつ分からない。落とし方も怒らせ方も...」

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「怒らせたかったの?」

「そうやってするりとかわして、何も教えてくれないんですよね」

彩女は巡をじっと見つめ、そっと頬に手を添える。

「...じゃああなたは、私のために死ねる?」

「え?」

いぶかしげに「ふざけないでください」と言う巡だが、ふと彩女の殺気に恐怖を抱く。

「まさか、本当に先生を殺す気じゃないですよね?」

「そうだと言ったら?」

「全力で阻止します」

「あら、意外と作家思いね」

「彩女さんのためです」

「......。明日、稚内に向かうわ」

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翌朝、札幌を出発する身支度を終えた彩女。ホテルで日記を書いていると、ふと、太宰治の『斜陽』に目がいく。女学生時代に国語教師だった一騎から貰ったものだ。
彩女がそれを持って教会へ行くと、ちょうどマリアが彩女を見つけ、嬉しそうに駆け寄ってきた。何度かこの教会で出くわし、仲良くなった2人。マリアは彩女の"待ち人"は巡だと思い込んでいた。

「てっきり、待ち人さんに会えたからもう来ないかなって」

「ああ...昨日のあの人は」

「違うの?」

「私、もう待つのはやめたの。だから最後に、あなたに会いたいと思って」

「私に?」

マリアも彩女に"コタロー"との出会いを話していた。

「じゃあ、あなたには現れたのね。前に話してた...熊さん?」

「はい。熊っていうよりヒーローかも」

「ヒーロー? ふふ。当たり前だけど、人によって物語はこうも違うものかって」

「え?」

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「私に現れた人は、お世辞にもヒーローとは言えないから...」

「でも、コタローも普段は全然ヒーローじゃないです。むしろ逆というか」

「コタロー?」

「あぁ、コタローっていうのは、私が勝手に付けた名前です。なんか無駄に秘密主義で、名前とか肝心なこと、なんも教えてくれないんですよ。かと思えば超堂々と『働きたくない』とか宣言するし! まぁ、良くも悪くも素直なんですよね。秘密は多いけど、嘘ついてる感じはしない。そういうところが、信頼? できるのかなぁ」

楽しそうにコタローのことを話すマリアを、微笑みながら聴いている彩女。

「根はいい奴っぽくて、優しいとこもいっぱいあるから、結局ほっとけなくて...あー、いやっ、違う!」

「?」

「私の方が必要としてるのかも」

「ふふ、あなたも素直で素敵ね」

「そんな...ってか、ごめんなさい! 私ばっか喋ってた~! 彩女さんを待たせる人が、どんな人かも知りたいです」

「そうね...北さんっていうんだけど」

「北...さん」

「ごく普通に見えるけど、実はそうではなかったり、頑固で強引なのに気が弱くて、よく迷ったり」

「へぇ~不思議な人」

「純粋で誰より優しいからかしら。...私も、彼の本当の名前は知らないの」

「え...っ? なんかちょっと」

「似ているかもね、コタローさんと」

何となく察しがついた様子の彩女に、マリアの心拍数が早くなる。

「どうして、その人と離れちゃったんですか?」

「価値観の違いかしら。泊まっていたホテルから、突然姿を消してしまって」

「連絡は?」

「何も持たずに出たから」

「そ、それって、最近の話?」

「もう4日前になるわ」

「4日前...!」

時系列や彩女の話から、北とコタローが同一人物だと気づくマリア。

「そんな...」

そこへ、マリアの同僚からスマホに電話がかかってくる。しばらくすると着信は切れ、ホーム画面を北の寝顔に設定しているマリアは、慌ててスマホを伏せる。動揺を隠し切れない。