#絶メシフォーエバー の声に応え、帰ってきた!season 2も「味は変わらない」:絶メシロード

公開: 更新: テレ東プラス

あの、週末の小さな冒険が再び! 2020年1月期に連続ドラマ第1弾、2021年に元日スペシャルが放送された「絶メシロード」。その第2弾となるドラマ25「絶メシロードseason2」(毎週金曜深夜0時52分放送/テレビ東京ほか)がスタートする。

本作は濱津隆之が演じる、ごく普通のサラリーマン・須田民生が、誰にも邪魔されない自由なひとときに心弾ませ、旅先で出会う様々な人々や"絶メシ(=店主の高年齢化や後継ぎ問題など、時代の移り変わりによって"絶滅してしまうかもしれない絶品メシ")に思いを馳せる――そんなシンプルかつハートフルな物語。のんびりとした空気感は、濱津の朴訥とした人柄そのままの自然な演技も相まって、仕事に勉強に、家事に育児に疲れた週末の夜に癒しを与えてきた。

zetsumeshi_20220824_01.JPG
原案・脚本・プロデュースを務めるのは、「絶メシ」にフォーカスを当てた群馬県高崎市の地域創生プロジェクト「絶メシリスト」を手掛けてきた畑中翔太さん(株式会社dea代表/BABEL LABEL)。前作および元旦SPの手応えとは? 新シーズンの展望は? 「絶メシロード」を皮切りに、これまで4作品で畑中さんとタッグを組んできたテレビ東京・寺原洋平プロデューサーを交えてお話をうかがった。

初日の第一声「おかえり」で始まった

zetsumeshi_20220824_02.jpg
――「絶メシロード」シーズン1の放送終了から2年半が経ちました。今、思い返していかがですか?

寺原「平穏を愛する気弱な主人公が1泊2日の車中泊の旅に出る...そんなすごくシンプルな話を、濱津さんという、こちらもまたシンプルな味わいが魅力の役者さんを主役に迎えてやれたこと。しかも最小限のメンバーでやれたことは、本当にラッキーでした」

畑中「そうですね。少人数だからこそ、自由にやらせてもらいました」

寺原「畑中さんが"絶メシ"というコンセプトを作られて、僕らのところ(テレビ東京)に企画を持ってきてくださって。『もう1つ要素が欲しいですよね』と話をする中で"車中泊"が思い浮かんで...。ほかのドラマであれば、もっと大勢の人が関わっていたり、役割り分担などあって難しい部分もあるんでしょうけど、すんなりと事が運びましたね。また、このドラマでゼロからイチを作る喜びを知れたのは大きな財産になりましたし、その後の畑中さんとのタッグ(『八月は夜のバッティングセンターで。』『お耳に合いましたら。』『量産型リコ‐プラモ女子の人生組み立て記‐』)に繋がったと思います」

――その後、2021年には元旦SPを放送。「続編が見たい」との後押しを受けて、今回「絶メシロードseason2」の放送が決まりました。

寺原「もう"うれしい!"のひと言ですよね。『絶メシロード』以来、畑中さんといろんな企画をやってきて、こうしたタイミングで原点回帰できるというのは、僕ら2人にとってもいいことなんじゃないかなと思います」

畑中「最初に寺原さんとのペアで『絶メシロード』をやらせていただいて、そこから"2人でやるの、面白いね""もっとやろう、作ろう!"とドラマを3作品を作ってきて。ショーケースにある程度、品数が揃ったところでもう一度、原点に立ち返ることができるというのは大事なことだし、みなさんから『味が変わったね』と言われないよう気を引き締め直しました」

――主人公の須田民生役は、シーズン1から引き続き濱津隆之さんが。「今回もまた何も起こらないことを願って、どうぞみなさん、肘でもつきながらごろ寝でのんびりご覧下さい」と、いかにも"らしい"コメントを出されていました。

畑中「(笑)、コメントどおり、こちらがビックリするほど平熱でした」

寺原「(笑)、いや本当に。ご自身も初主演ドラマでしたから、さぞや意気込んでいるのかと思えば濱津さんが一番、喜んでいないんじゃないかくらい平熱でしたね」

畑中「もちろん、現場では『どうも!』とか『久しぶり~』という挨拶で始まりましたが、このチームって、よくも悪くも『オーッ!』みたいな感じではないので。みんな優しくて、淡々と撮って笑顔で帰る、みたいな」

寺原「でも、撮影初日の第一声が『おかえり』で始まったのはよかったですよね」

畑中「そうですね。濱津さんもマネージャーさんも『おかえり、って拍手で迎えられる現場ってなかなかない』『すごくいいチームですよね』と言っていただいたのはうれしかったです」

寺原「それくらい何も変わらない、シーズン1が好評を得ても勘違いしないチームと言いますか。season2の撮影も通常営業でやっています(笑)」

こだわったのは"進化させない"こと

zetsumeshi_20220824_03.jpg
――これまで4作品でタッグを組んできましたが、お2人にとっての「絶メシロード」は店の看板メニューであり、創業以来の変わらぬ味...という感じでしょうか?

畑中「時に左右されないドラマという意味では、それに近いです。シーズン1の放送から2年半が経ちましたが、配信も含めて今も見てくれる人がいて、Twitterでも毎日のように誰かが<観ました>とつぶやいてくれて。それに加えて<このお店いいね><今度行ってみよう>と実際の行動に移してもらえる。そんなドラマって、なかなかないなと改めて思いました。"絶メシ"と同じように、色あせないものなのかもしれないですね」

――過去作を見て「懐かしい」ではなく、今もそのままの時間が流れている。

寺原「畑中さんがおっしゃったように今もTwitterが動いていて、そこから登場したお店を巡るなど行動まで起きているというのは、ちょっとした驚きでしたし、本当にうれしかったです。最終回で"終わっちゃった"というドラマではなくて、ずっと灯がともっている感じがあったので、どこかのタイミングで続編ができればと、ずっと狙っていました」

畑中「なので、season2が決まって寺原さんと話したのは"進化させない"ということでした。シーズン1の地続きのまま同じ空気感でやっていこうと。第2弾となると、いろいろ新しくしたり、足したくなったりすると思うんですが、シーズン1のそのまま、変わらず作る。それが、このドラマに求められていることだと思ったんです」

寺原「そう!どうしても新しい要素を入れたくなっちゃうんですよね。そこをグッと我慢して、欲を抑えることをがんばりました(笑)」

畑中「元旦SPはコロナ禍ということもあって"ファミリーディスタンス"という小さなテーマを設けさせていただいたんですけど、season2はあえてテーマを持たずに"もう一度、民生の小さな冒険が始まる"くらいの肩の力の抜けた雰囲気で作っています」

――とりたてて事件が起こるわけでもなく、主人公が大きな成長を遂げるわけでもなく。でも、幅広い層の共感を呼ぶ不思議なドラマです。

寺原「第1話こそ、season2が始まります、という雰囲気もありますが、あとはどの回をシャッフルしても大丈夫なくらい何も起こらないし、変わらないです(笑)。今回も"あれは自分だ"と、民生に自己投影しつつ、のんびりした気持ちで見ていただきたいですね」

zetsumeshi_20220824_04.jpg
――第1話は、民生自身、久しぶりの旅を前にバージョンアップを目指すものの...という話になっていますね。

畑中「妻の佳苗(酒井若菜)が自宅でブリザーブドフラワーの教室を始めたり、娘の紬(西村瑠香)が進学のため家を出て一人暮らしを始めるなど小さな変化はありますが、何も変わらないし、バージョンアップもありません」

寺原「テーマって、ことさら考えていなくても、自然と盛り込まれるものなんだな...というのがシーズン1をやった実感なんですね。日常のささやかな生活の中で主人公が何か思うことがあって、週末に車中泊に出かけて、おいしいご飯を食べて。別に問題が改善されたわけではないんだけれど、少しだけ気持ちが軽くなって家路に着く。それくらいのさじ加減でいいんだなと思いました。大それたものでなくてもいいから日常の中で小さなテーマを見つけられるか? そこは畑中さんとの間でも一番、意識しました」

畑中「シーズン1の後に経験を積んだぶん、難しい部分もありましたけどね。その後につくったドラマ3作品では、ストーリーの伏線を回収するということとかをやってきたので、脚本をもっと研ぎ澄まそうとしたり...。でも『絶メシ』に関しては、そうじゃないなと。第1話の"派手なメニューではないけれど普通を続けるのだって大変"というセリフは、まさに僕らが感じたことです」

――シーズン1では「#濱津かわいい」などSNSでも話題に。今回も何か仕掛けを考えているのですか?

畑中「シーズン1から"#絶メシフォーエバー"というハッシュタグを付けているんですけど、『絶メシ』に関しては、これ1本頼みと言いますか(笑)」

寺原「アハハハ!(笑)。"#バルス"と並列で考えちゃイケないので」

――(笑)、金曜ロードショーでジブリの『天空の城ラピュタ』を放送するたびにTwitterが"#バルス"で溢れますよね。

畑中「"#ライフイズベースボール"が決め言葉の『八月の夜はバッティングセンターで。』に毎回、元プロ野球選手が登場したり、『お耳に合いましたら。』では往年のラジオパーソナリティーが登場したのは、リアルタイムツイートのための要素でしたが、『絶メシ』はこれ1本ですね。"#濱津かわいい"は、あくまでみなさんが盛り上がってくれた結果であって」

寺原「でも"#絶メシフォーエバー"って、いい言葉ですよね?」

畑中「"お店がなくならないでくれ"との思いはもちろんですが、シーズン1終了の際には"続編希望"という意味にもなりましたし、すべてが集約されている本当にいい言葉だなと思っています」

――リリースによれば、民生が旅先で出会うベテラン車中泊マスター・鏑木勉役で山本耕史さんの続投も明らかになりました。

畑中「どこで、どんなふうにとはまだ言えないですが、引き続き出ていただくことになりました」

寺原「大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも素晴らしいお芝居をされていますし、映画『シン・ウルトラマン』も話題になられてめちゃくちゃお忙しい中、出ていたけることになって。山本さんが『絶メシ』を気に入ってくださっているようなんです」

畑中「あと、濱津さんともとても仲がいいんです。一見タイプの違うお二人なのに、ドラマの役柄の民生と鏑木さんのように馬が合うようで」

寺原「シーズン1でも、濱津さんとのやりとりはもちろん、毎回着ているTシャツを自分で選んで来られたり、鏑木というキャラクターをご自身で考えてくださって。どこよりも自由にやれるチームということもあるかと思いますが、本当にありがたいことだなと思いました」

対談【後編】では、ドラマ畑出身ではない2人だからこそのドラマ作りについての話を。明日公開!

(取材・文/橋本達典)

ドラマ25「絶メシロードseason2」第1話は?

第1話
どこにでもいるごく普通のサラリーマン・須田民生(濱津隆之)は、妻・佳苗(酒井若菜)が毎週土曜日に自宅でプリザーブドフラワー教室を始める事をきっかけに、"絶メシ"を求める旅を再開する事に。久々の旅の行き先に民生は海を目指す。
車を走らせていると、旅の目的だった絶メシ店を海近くの高台に見つける。出会ったのは「お食事処・真珠の庭」。オーシャンビューを一人占めできる店内に目を奪われた民生は、久しぶりの旅でどんな絶メシに出会うのか!?