田原総一朗&竹中平蔵が大反省会「少子高齢化によって年金システムは10年ほどで崩壊する」

公開: 更新: テレ東プラス

日経テレ東大学」YouTubeチャンネルで配信中!

メインMCに経済学者の入山章栄教授を迎え、世の中に溢れる事実(ファクト)を感情論ではなく論理的(ロジカル)に読み解く、新たな経済討論番組『FACT LOGICAL』。

今回のゲストは、ひろゆき成田悠輔に「引退しろ!」と言われた田原総一朗さんと、パソナグループの取締役を退任すると発表した竹中平蔵さんという2大オヤジをお招きし、「なぜ日本は失われた30年になってしまったのか」をテーマに大反省会を実施する!

日本の政治・経済を表からも裏からも牽引してきた2大オヤジは、どのような反省の弁を述べるのか――?

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「嫌われても良い」竹中平蔵と死ぬまで引退しない田原総一朗

1人目のゲストは、パソナの取締役を退任したばかりの竹中平蔵さん。最近、竹中さんは日経テレ東大学の縁で仲良くなったひろゆきさんと、『ひろゆきと考える 竹中平蔵はなぜ嫌われるのか?』(集英社)を出版。もはや「嫌われても良い」と開き直った(?)という気もするが、かつて小泉純一郎元首相から「悪名は無名に勝るから気にするな」と薫陶を受けたことがあるそう。

もう1人のゲストは、紹介する前から竹中さんと小泉元首相のただならぬ関係を熱弁し始めたジャーナリストの田原総一朗さん。田原さんは、日経テレ東大学の『Re:Hack』に出演した際、成田悠輔さんから引退勧告を受けてネットで話題になったという因縁(?)がある。しかし「私は死ぬまでやる」と引退を完全否定し、今日も気合満々で出演!

日本有数の嫌われ者の学者と、引退勧告を受けている大ベテランジャーナリストの両雄が、日本経済を失速させてしまった要因について大反省会を行う。

組織の老害は引退させるべき。しかし・・・

まずは、田原さんへの引退勧告の流れから「老害」についての話題。先日、竹中さんが成田さんと別の番組で共演した際も、老害の話題で盛り上がったそう。
数十年前から政府の中枢で働き、様々な老害を見てきた竹中さんは、「老害はたくさんいる。組織の老害は引退させるべき」と成田さんの意見を肯定した。

一方で、能力の有無に問わず全員65歳などの年齢で一斉に退職をさせる『定年制度』については「先進国で行っている国はない! 年齢による差別」と反対の姿勢。

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組織内においては引退するタイミングを用意することは大事だが、アーティスト・学者・ジャーナリストなどの個の活動を行う人間については定年制度は要らないという考えを示した。この考え方については、成田さんも特に反論をしなかったそうだ。
つまり、ジャーナリストである田原さんは、老害かどうかはさておき、まだまだ引退する必要はないと言えそう。

平均賃金が上がらないのは反対派を潰せなかったから!

ここで反省するべき1つ目のファクトを紹介。日本の平均賃金は横ばい状態が続き、かつては2倍の差があった韓国に2015年に追い抜かれてしまったというデータ。

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この問題を反省する前に、竹中さんが「私と田原さんは、こうならないように多くのアドバイスを送ってきたが、1/20くらいしか実現されなかった。反省するべきはアドバイスに反対してきた人。私たちではない!」とちゃぶ台返し!?(番組の趣旨が・・・)

しかし、田原さんが「いや反省するべき! 反対するやつらをぶっ潰せなかったからだ!」と軌道修正。無事に両雄に反省をしていただけそうだ。

ひろゆきが出馬すれば若者の投票率は上がる?

無事に反省していただけることになったので、ここで両雄の反省点を4つずつ紹介。

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まず、竹中さんに最大の反省点を伺うと、「若い人のためにするべきという意味では・・・被選挙権年齢の引き下げ」とコメント。

選挙権は18歳に下がったが、被選挙権は衆院議員や地方議員は25歳以上、参議院議員や知事に至っては30歳以上のままである。竹中さんは、被選挙権の年齢が下がることで、10~20代が政治について自分事化できるのではないかと主張。同年代の立候補者が出馬すれば、応援するために選挙に行く若者も増える可能性が高く、結果的に投票率の向上にもつながると話す。

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さらに「ひろゆきさんのような若くて勉強している人が立候補すれば、若者の投票率は上がる」と、かつては犬猿の仲であったとは思えないほど、ひろゆきさんを持ち上げて、意見を補強。
しかし田原さんは、「被選挙権年齢を下げても変わらない」と真っ向から反対。「そもそも政治家になりたいという若者がいない!」と、被選挙権年齢を下げても意味がないと主張する。

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これに竹中さんは、「政治に関心のある若者は多い」と反論。上の世代が詰まっているから出づらいことは事実。昔から上の世代のしわ寄せが若者に寄っていたのは同じだが、経済成長していたので、我慢することができた」とコメントした。

議論は再び、経済成長の問題に行きついてしまった――。

既得権益にしがみつく人が経済成長を止めた

ぐるっと回って再び日本が経済成長できない理由について議論。竹中さんは「新自由主義と言われているだけで、全く新自由主義ではないから」と主張。
わかりやすい例として、「日本の株式会社が農地を持てない」を挙げる。農協が強大な既得権益を持っており、農業は新規参入が非常に難しい領域になっており、結果的に競争力を下げたり、若者の農業離れを加速させていると解説した。

世界的に巨大なマーケットになっているUberを代表とする「ライドシェアビジネス」についても、タクシー業界が猛反対し、政府は「ライドシェア」という言葉すら使えない状態だという。

上記2つの事例だけでもわかるように、日本経済停滞の最大の理由は「既得権益を持つ組織が、目の前の小さな利益を守るために、将来の大きな発展の可能性を潰してきたことだ」と、竹中さんは結論付けた。

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年金制度の崩壊は間近

竹中さんの出した農地の話題から、日本の食料自給率・穀物価格の高騰・ロシアのウクライナ侵略・米国バイデン大統領の次期中間選挙の話題など、様々な議論に脱線しながらも、ようやく田原さんの反省に。

田原さんは、最大の反省点として「少子高齢化」を挙げた。少子高齢化によって年金システムは10年ほどで崩壊すると予言。崩壊を防ぐには年金受給年齢を75歳まで引き上げないといけない状態にあると指摘する。

オーストラリアは70歳に引き上げるなど世界的なトレンドではある。しかし日本には定年制度の兼ね合いがあり、受給開始までの空白の期間ができてしまうなどの課題が。竹中さんは「雇用が流動化せずに定年制度があるのが問題」とコメントした。

堂々巡りの議論もあるが、果たして両雄は日本の若者にどのような反省文を残すのか!? 続きは「日経テレ東大学」で。

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※番組情報
【竹中平蔵&田原総一朗】成田悠輔を黙らせたい「定年制こそ年齢差別!」こんな日本にしてしまった大反省会|FACT LOGICAL Season2

MC:入山章栄(早稲田大学大学院ビジネススクール教授)
ゲスト:竹中平蔵 (慶應義塾大学名誉教授)
田原総一朗(ジャーナリスト)

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