子どもの急性肝炎、新型コロナウイルスとの関係は?注意したい症状と知っておきたい予防策<秋津医師に聞く>

公開: 更新: テレ東プラス

長寿番組「主治医が見つかる診療所」(木曜夜7時58分から)は、いま話題の健康法から、いざというときの医師・病院選びのコツまで、医療に関するさまざまな情報をお届けする知的エンターテイメントバラエティ。

今回、WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは、海外で増えているといわれている「小児の急性肝炎」。原因不明とされており、不安に思うご家庭も多いようです。それでは同番組のレギュラー・秋津壽男医師に見解を伺ってみましょう。

新型コロナウイルス、アデノウイルスどちらも関係性は不明

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Q:小学1年生と小学3年生の子を持つ30代の母親です。「原因不明の子どもの急性肝炎」がニュースになっているのが気になっています。めまい、吐き気、下痢、腹痛など症状の出方がいくつかあるみたいですが、どれか1つでも当てはまったら疑うべきなのでしょうか? また、こまめに手洗いをするなどの基本的な感染対策が予防法として紹介されていますが、やはりマスクもできるだけ付けていたほうがいいのでしょうか?

――そもそも急性肝炎とはどんな病気でしょうか。

肝臓が障害を受け、皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)が出たり、尿がオレンジ色になったりします。倦怠感や食欲不振も症状として出ます。肝炎で有名なのは、食べ物からうつるA型や輸血など血液を介してうつるB型とC型。その後もD型、E型とどんどん新しい肝炎が見つかり、現在はA〜E型の5種類が代表的な肝炎です。

今回、報告が相次いでいる原因不明の子どもの急性肝炎は、これまで発見されたどの肝炎とも異なり、原因がわかっていません。はっきりすれば、F型とかG型などと名付けられる「ネクスト肝炎」である可能性が非常に高いです。

――今回の小児の急性肝炎と新型コロナウイルスとの関係についてはいかがですか?

ちょうどコロナ禍で発生したため、新型コロナによる肝障害ではないか、あるいはワクチンによる副作用じゃないかという風説が出回りましたが、実際のところ関係性ははっきりしていません。新型コロナウイルス感染症は世界的な流行のため、それだけにかかった人も多いですから。

実際に調べたところ、原因不明の急性肝炎になった子どもの約6割が新型コロナウイルス感染症にかかっていたということです。一方で、感染していない約4割はどうなのかという話になる。たまたま時期が重なっただけかもしれません。

医学の世界では有名な話ですが、いろいろなウイルスが結果として肝臓に障害を起こすケースは多々見られます。たとえばインフルエンザにかかり、治った人から1週間後に採血すると、肝機能の値が通常よりはるかに高い場合があります。

これは、インフルエンザウイルスと戦っているときのダメージが肝臓に現れているからです。検査すると既存のA〜E型肝炎に当てはまりません。同様に新型コロナウイルスでも一過性の肝障害が起きても不思議ではありません。

――肝炎に間違えられた可能性もあるということですね。一方で子どもの肝炎患者の多くから、アデノウイルスが検出されているようですが...。

アデノウイルスはとにかく数が多いんです。100種類ほどあり、下痢や肺炎など番号に応じて症状が異なり、そもそも感染していない人を探すのが難しいほどです。肝炎を発症した多くの子どもからアデノウイルスの41型が検出されていますが、やはり関連性ははっきりわかっていません。

まずは手洗いとうがいの徹底から

doctor_20220731_02.jpg画像素材:PIXTA

――暗中模索といった感じですが、そんな中でどういった対策をしていけばいいでしょうか。

ウイルスが原因であるのはまず間違いなさそうです。ですから、まずはうがいと手洗いを徹底すること。食べ物由来なのか、飛沫(ひまつ)由来なのか、濃厚接触由来なのかはわかりませんが、マスクをするのもそれなりに有効でしょう。それからなるべく「変わったもの」は口にしないように。たとえば、E型肝炎はブタのレバ刺しから感染するといわれていますし、アユのおどり食いで寄生虫に感染するケースもいまだにあります。

生で食べるのは質の高い食材だけにしぼり、しっかり火を通すことを心がけてください。あとは何より、ウイルスが体内に入っても発症しないよう、不摂生を避けて免疫力を向上させる。現時点で明確な対策が見出せない以上、まずはそこからでしょう。

――今回の相談者からは「めまい、吐き気、下痢、腹痛など、どれか1つでも当てはまったら疑うべきなのでしょうか」との質問がきていますが。

それらは一般的な消化器官の風邪症状なので、関係はありません。黄疸が出ているかどうかが目安です。黄疸は誰がどう見ても......というほど皮膚の色が変わるので、すぐにわかります。お子さんたちの顔を普段から見ていれば、昨日と違うと気づくはずです。

それでも心配なようでしたら「うんちやおしっこを流す前にお母さんに見せて」と子どもに伝えておきましょう。尿がオレンジ色だったり大便が真っ白だったりしたら、すぐに病院に行ってください。

わからないことだらけの今回の肝炎ですが、必要以上にパニックにならず、落ち着いて対処しましょう。これから5〜10年、20年後にもっと怖い病気が発生する可能性もあります。何が流行しても負けない健康な体づくりを基本に、繰り返しますが、まずはうがいと手洗いの徹底を。

――秋津先生、ありがとうございました。

【秋津壽男医師 プロフィール】
1954年和歌山県生まれ
1977年大阪大学工学部発酵工学科卒業 1986年和歌山県立医科大学卒業
1998年秋津医院を開業
日本内科学会認定総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医
日本医師会公認スポーツドクター 日本体育協会公認スポーツドクター
日本禁煙学会認定禁煙専門医
著書に「本当に怖いのは、第三の脂肪」(幻冬舎)、「薬を使わずに『生活習慣病』とサヨナラする法: 医師が教える『自己治癒力を高める』コツ」(三笠書房)、「こわい病気大全」(ダイヤモンド社)など。

※この記事は秋津壽男医師の見解に基づいて作成したものです。

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