町工場にドラマあり!がんを経験した”神の手”を持つ男...命を救う新たなものづくり:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

7月22日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「ガイア20周年企画 第4弾 町工場にドラマあり!」。
この時代にしたたかに生き残り、明日につながる闘いを続ける"町工場"。その裏に隠された数々のドラマを追う。

鋳物工場が仕掛けるのは観光にブライダル⁉ 父と娘で挑む、今までにない"町工場"

9年前、「ガイア」は、富山・高岡市にある鋳物工場を取材していた。
1916年創業、もとは仏具の下請け工場だった「能作」。この工場が造っているのが、金、銀、プラチナに次いで高価と言われる錫(すず)の鋳物。代表作は曲がる器で、金属なのに簡単に曲がる。錫は柔らかい金属で変形しやすいため、これまで純度100%の錫製品はなかったが、4代目社長・能作克治さん(※当時55歳)は、その柔らかさに着目。独自の製品作りに励んでいた。

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当時は従業員30人ほどの小さな町工場だったが、あれから9年、何があったのか。

3年前、東京の旗艦店としてオープンした「能作 コレド室町テラス店」。こちらのお店では、累計20万個を売り上げる「KAGO」シリーズや、へこみに親指を置くと手になじむ「NAJIMIタンブラー」などが販売されている。
錫は温度を伝えやすい金属で、この時期はタンブラーでキンキンに冷えた飲み物を楽しめる。商品ラインナップも、9年前の約70種類から300種類に。

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能作さんは、「以前取材していただいた時と比べると、売り上げは大体2.5倍、今は約16億円くらい。人員でいうと、約30人だったのが、今は約170人。3、4店舗だった直営店も、今は13店舗全国にあって、台湾台北市にも1店舗新しい店を作りました」と語る。

5年前に建てた「能作」の本社工場では、社長の娘で専務の能作千春さん(36歳)が、見学にきた小学生たちに工場や錫の魅力をPRしていた。職人たちの仕事ぶりや魅力を伝えるのは、千春さんの大きな役目だ。

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工場の一角には、鋳物の体験(1000円〜)ができるコーナーもある。さらに3年前からは、旅行業にも進出。千春さんは「能作」の工場見学や鋳物体験、地元の古民家ホテルでの宿泊をセットにしたオリジナルの「想い旅」までプロデュース。ホテルで使われる食器は「能作」の錫製品。まさに錫づくしの旅だ。

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新たなことに挑戦し続ける千春さんは三姉妹の長女だが、家業を継ぐ気は全くなかったという。大学卒業後、ファッション通販雑誌の編集の道へ進んだ。
ある日、職場で偶然、「能作」の商品が話題にあがったところ...

「『これすごいおしゃれだよね』という話をしていただいて...。(能作の)製品が話題になっていることもすごくうれしかったし、父親がやっていることって本当に素晴らしいことだなというのと、家業に少しずつ興味を持てるようになってきたっていうのがありました」。

千春さんは、12年前に「能作」に入社した。
以来、能作さんと千春さんは、親子二人三脚で会社を大きくしてきた。

そんな千春さんが、今力を入れている事業が「錫婚式」。結婚10年を祝う「錫婚式」を、錫を扱う「能作」ならではのオリジナルのセレモニーとして企画・運営を行う。三三九度も、「能作」自慢の錫100%の盃でかわす。

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錫婚式の料金は8万8000円(※衣装・写真代は別)からで、これまでに60組以上が式を挙げた。

「一生のお客様になっていただけると思っています。『能作』の新しい事業の柱にしたい」

と意気込む。
そしてこの夏、千春さんは、錫製品に馴染みのない人にも気軽に使ってもらえる新製品に取り組んでいた。

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"神の手"を持つ男が後継者に託した新たなものづくり

長野・岡谷市。諏訪湖のほとりにあるのは、9年前に「ガイア」で紹介した「リバーセイコー」。

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社長の西村幸さん(※当時63歳)が手がけるのは、内視鏡手術に使う極小のハサミ。どんな腫瘍でも的確に切り取ることができると評判を呼び、今も500以上の病院で使われている。

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実は当時、西村さん自身もがん患者で、ハサミ作りに没頭するあまり、気づいた時にはがんが進行。自分が開発したハサミは使えず、胃や大腸などの半分以上を切除し、5年後の生存率は50%と告げられていた。

「患者がものをつくるのは強い。こういうものがあったらと身をもって体験していますからね」

と西村さんは話す。

その西村さんを9年ぶりに訪ねてみると、「レイクR&D」という看板が。実は元の会社「リバーセイコー」は、2013年、大手の傘下になり、西村さんが開発したハサミは、この会社の主力製品に。しかし西村さんは、自分たちの手で新たな製品を作りたいと大手を飛び出し、「レイクR&D」を立ち上げた。

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内視鏡手術で使う極小の注射針や、どんな大きさの胆石も確実に捉えることができる器具など、すでに新しい製品も開発。西村さんは、今も新しい会社でものづくりを続けていたのだ。そしてその神業は、今も健在!

そんな西村さんだが、実は大きな不安を抱えていた。がんは治ったというが、心筋梗塞を発症、近く手術をする予定もあるという。

「次にどうするかというと後継者。後継者をなんとかしないといけない」

「レイク」のような町工場は、この10年で約1万3000社も減っている。その理由の多くが後継者不足で、西村さんが新しい会社を立ち上げたのは、自分の手で後継者を育てたいという思いもあったから。

そこで今回、新しい器具の開発を社員たちに任せることにした。これまで作ってきたハサミなどの直径は2ミリほど。これでは内視鏡の中に1本しか入れることができないが、直径を1.8ミリにできれば、2本同時に入れて使うことが可能になるという。しかしそれは、西村さんも実現できなかった領域...。一番弟子の小口祐二さん(53歳)たちは、1.8ミリという、"小さくて"大きな壁に挑む。

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