「言ったでしょ?あなたの指示に従いますって」下着姿のセレブ妻は自分から口づけし...:雪女と蟹を食う

公開: 更新: テレ東プラス

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北は数ヵ月前のことを思い出す。痴漢と間違えられて警察官に取り押さえられ、そのまま警察に連行された日のことを…。被害を訴えた女は、警察に組み伏せられる自分を指差し、口元に笑みをたたえていた。

回想から現実に戻り、彩女を見つめる北。「でも、どうせ死ぬんだ」と彩女の肩に手を回し、キスしようとする。

「待って」

彩女はその手を取ると、ゆっくりと北の頬に触れ、自分から口づけする。

(なんなんだ、これはいったい…)

情事を交わし、裸のままベッドに横たわる北。窓の方を見ると、風で揺れるカーテンの陰

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「もしかして泥棒さん、見た目よりお若いんですか?」

「え?」

「ごめんなさい。高校時代のボーイフレンドと反応が同じだったものですから…」

「なんで笑えるんだ? こんな時に…」

(そもそも架空の生物であるからして、俺はもちろん、見たことないが…もし雪女が現実にいたら、こんな顔で笑うのだろう)

そんなことを思っていると、「コーヒーでもいかがですか?」と意外な言葉をかけられる。

北も服を着てリビングへ。カップを手に取りコーヒーを飲むと、思わず「うまい」とつぶやく。

「良かった、お口に合って。では、コーヒーを飲み終えたら持ってきますね、お金」

「はい、すみません…」

「借金、ですか?」

「いや…死のうと…。でもその前に、北海道に蟹を食いに行こうと思って」

「…いいですね。私も好きです、蟹」

淡々とした彩女の口調に、我に返る北。

「ほんと、馬鹿馬鹿しいですよね。俺もう…自分でもやんなるわ」

「……」

「俺、警察行きます!」

玄関に向かって歩き出すが、すぐに立ち止まる北。

「もう…面倒くさい…! 死にます! 頭がどうかしてたんです! 今もですけど…謝って済む問題じゃないですけど、すみませんでした…!」

嗚咽を漏らしながら頭を下げ、立ち去ろうとする北。

「待って。私も食べたいです、蟹」

「え…?」

「か・に」

微笑む彩女。こうして2人は、北海道までただ蟹を食べに行くことに––––。

旅支度をした彩女。2人は玄関先で、青空に浮かぶ入道雲を見上げる。

「入道雲って、見てるとなんか死にたくなりませんか…って、俺だけか」

「分かります」

「え?」

「だって、子どもの頃みたいにワクワクする夏は…もう自分の人生には訪れないって分かってるから」

「……」

駐車場にあった高級外車に乗り込む。

「いい車ですね」

「主人のです」

「いいんですか? 勝手に」

「出張中は私が自由に使っていいことになっていますから」

「ご主人、職業は?」

「小説家です」

「なるほどね。きっと売れっ子なんでしょう」

「100万円は私の口座から用意します。ただ、お金だけ奪われて途中で捨てられても困るので、これからATMに寄って、当面必要な分だけ下ろすことにしますね」

「……」

少し車を走らせた後、コンビニに寄るため車を停めた。北が車の外で待っていると、彩女を呼び止める警察官の姿が。思わず車の陰に隠れる北。様子をうかがっていると、警官の質問に答えている彩女が、北の方を指差す。

「俺のことチクってる…!」

鼓動が高鳴り、痴漢冤罪で取り押さえられた時のことがフラッシュバックする。そのまま動けずにいた北は何者かに肩を叩かれ……。そしてそこにいたのは…!

【第2話 あらすじ】

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人生に絶望した男・北(重岡大毅)は、死ぬ前に北海道で蟹を食べるため、強盗に入った家の人妻・彩女(入山法子)と車で不思議な旅を始める。日光の街並みを走り抜け、中禅寺湖へ。湖畔のホテルで一泊し、会津若松にたどり着く。この旅を「大人の夏休み」と言い、ご当地グルメや観光地を楽しむ彩女に対し、どこか振り切れない様子の北。そして2人は、次なる目的地に山形の銀山温泉を選ぶが…。