オーストラリアの女子高生がニッポンで和包丁作りを体験!帰国後に劇的進化!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

続いて紹介するのは、オーストラリアに住む、和包丁を愛してやまないレイラさん。

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世界でも類を見ない美しさと切れ味を持つ、ニッポンの包丁。その起源は日本刀といわれ、欧米人に比べて身体が小さく、力の弱い日本人は刃物自体の切れ味を追求。その流れを汲んだ和包丁は、世界一の切れ味とも評されています。

10歳の頃、ニッポンの包丁に興味を持ったレイラさん。ナイフ職人の父・カリムさんに作り方を聞いてみましたが、和包丁の作り方は特殊でわからなかったそう。そこで、本やインターネットを参考に独学し、和包丁を自作するまでに。しかし独学のため、どうしてもわからないことがあるといいます。

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ニッポンの包丁は、硬い鋼と柔らかい鉄の二層で作られるのに対し、レイラさんの包丁は鋼のみ。「ニッポンの包丁職人の方に本当の作り方を教えてもらいたいです」。

そんなレイラさんを、ニッポンにご招待! 2年半前、カリムさんと共に念願のニッポンへやってきました。

「包丁作りを学ぶ前に、和包丁が和食の料理人さんにどう使われているのか見てみたいです」と話すレイラさん。和食がユネスコ無形文化遺産に登録された理由の一つは、多様な食材の味を極限まで活かす包丁と、その技術。そこで、和食の伝統が根づく京都に向かいます。

今回お世話になるのは、京料理の伝統を守る割烹「宮川町 水簾」。料理長の河島亮さんは、和食の最高峰を競う「日本料理コンペティション」で技能賞にも輝いた、腕利きの料理人です。

早速見せていただいたのは、多種多様な包丁。和食と共に発展してきた和包丁は、食材によって使い分けられ、その数は50種類以上ともいわれています。

世界に類を見ない、多様な包丁が生まれたのには理由が。日本料理の基本を表すのが、「割烹」の語源でもある「割主烹従(かっしゅほうじゅう)」。「割」すなわち食材を切ることが主で、煮炊きを意味する「烹」はその次。切ることを第一に考えてきたからこそ、ニッポンには様々な形の包丁があるのです。

まずは、細身で長い柳刃包丁を使い、マグロの刺身を作ります。長い刃で一気に切ることで、繊維を押し潰さず、角が立った美しい刺身に。両刃の洋包丁に対し、和包丁は片刃が基本。削ぐように切り込むことができるため、切り口が滑らかで、舌触りも良くなります。

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マグロの刺身をいただいた2人は、その滑らかさと美味しさにびっくり! 包丁ひとつで食感だけでなく、食材の味にも違いが出ることに驚いた様子。当初カリムさんは、包丁で味が変わるという話には半信半疑でしたが、実際に食べてみて考えを改めたそう。

ここで、カリムさんが気になったのは鱧の骨を切る包丁。硬い小骨が多い鱧を切るために厚みと幅をもたせています。包丁の重みを使い、皮一枚を残して骨を切る職人技に、レイラさんは興味津々。特別に骨切りしていないものと食べ比べてみると、その違いは歴然。その後も、和食の包丁技を堪能させていただきました。

続いて向かったのは、福井県越前市。刃物の産地として初めて国の伝統的工芸品に指定されたのが、700年の歴史を持つ「越前打刃物」です。

お世話になるのは、共同工房「タケフナイフビレッジ」。越前打刃物を後世に伝えるため、13の工房が集まり伝統の技を継承しています。まず、レイラさんが自分で作った和包丁を工房の皆さんに見てもらうと、「たいしたもんや」「可愛らしい」とお褒めの言葉が。

学校終わりの時間を使い、お父さんのナイフ工房で和包丁作りをしているレイラさん。炉で鋼を十分に熱して叩いて伸ばし、包丁の形に。刃先を片側だけ研いで、和包丁の基本である片刃包丁にしています。刃の部分にカエデや花の模様をつけるなど、女子高生らしいこだわりも。

今回は、タケフナイフビレッジの中でも片刃包丁の名手、職人歴52年の北岡英雄さんに柳刃包丁の作り方を教えていただきます。

硬い鋼と柔らかい軟鉄、性質の違う2つの素材を合わせて作るのが、和包丁独自の技術。刃となる鋼は硬い反面、欠けやすく脆いため、柔らかい軟鉄が土台となって鋼を支えます。この構造で刃が柔軟になり、欠けにくくなるのです。
一方、レイラさんの包丁は鋼だけ。鋭い切れ味にはなるものの、硬く欠けやすいという欠点が。

鋼と軟鉄を一つにするのに使うのは、鍛接剤(たんせつざい)と呼ばれる粉末。鋼と軟鉄の間で溶け、接着剤の役割を果たすもので、ホウ砂1、ホウ酸3、酸化鉄1の割合で作られています。

いよいよ、レイラさんが最も見たかった「鋼付け」と呼ばれる作業。まず、熱した軟鉄に鍛接剤をまぶした鋼を載せます。ここで重要なのが、接着させる温度。1000度以下では鍛接材が十分に溶けず、1100度以上になると鋼の結晶が荒く、脆い刃に。「一番大事なのは目で見て温度管理です」と北岡さん。熟練の職人は、鋼の色合いを見て20度単位で温度を見分けられるそう。

鋼を載せた軟鉄を1000度に熱し、叩くことで一体に。熱しては叩く作業を何度も繰り返すことで、鋼は硬く強くなっていきます。こうして5分足らずで柳刃包丁の原型が出来上がりました。

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レイラさんも念願の鋼付けに挑戦。しかし、慣れない作業に時間がかかってしまいます。
鋼付けはスピード勝負。冷めないうちに手際よく叩いていかないと接着しません。気を取り直してもう一度挑戦すると、今度は見事にくっつきました!
そして、1000度近い金属を叩き続けること30分、レイラさんの包丁の原型が完成。

カリムさんも挑戦しましたが、右利き用を作るつもりが、なぜか左利き用になってしまいました。右利き用は鋼を軟鉄の左側に置いて接着させるのですが、鋼付けの際、力任せに叩いてしまったため、鋼が右側にずれてしまったのです。

鋼付けした包丁は1時間かけて冷まし、型に合わせて不要な部分を切断。100種類以上ある包丁の型からレイラさんが選んだのは、切りつけ包丁です。裁断機で余計な部分を切り落とし、グラインダーで整形すると、包丁らしい形に。

そして、包丁の質を決定づける最も重要な工程が、鋼をより硬くする「焼き入れ」。焼き入れに使うのは、約800度に溶かし、炭をかけた鉛の液体。ここに浸すと、鋼が炭素を吸着。それを水につけて一気に冷やすと、炭素が固定されて硬くなるそう。冷やした鋼は急激な温度変化で割れる可能性があるため、お湯につけて割れを防ぎます。

すると北岡さんは、整形した焼き入れ前の包丁を曲げてしまいました。焼き入れをすると硬い鋼が縮み、軟鉄が伸ばされるため反ってしまいます。そこで、焼き入れでまっすぐになるよう、あらかじめ軟鉄側に曲げておくのです。

いよいよ焼き入れ。800度の鉛で4分加熱し、水に入れて冷え切らないうちにお湯へ。速く冷やすほど鋼が硬くなるため、スピードと手際が命。レイラさんも挑戦すると、焼き入れ前と比べて包丁がまっすぐになりました。

続いて、焼き入れした包丁を150度の釜に入れます。硬くなった鋼を保温することで、柔軟性を持たせるそう。

この続きはまた明日。工房の皆さんが歓迎会を開いてくださるということで、地元の公民館へ。食卓には、祝い事に欠かせないバラちらしや越前名物のおろしそばなど、手作りの郷土料理がずらり。皆さんへのお礼にと、レイラさん親子が作ったチキンバタースパゲティも好評で、楽しい時間を過ごしました。

翌日は、鋼を研いで刃にしていく「荒研ぎ」の工程に入ります。使うのは、水を巻き込みながら研ぐ水砥石。研ぐ際の摩擦熱で温度が上がると、固まった鋼の組織が壊れ、切れ味に影響が出てしまいます。水砥石は常に水で熱を冷ますため、鋼を極限まで研ぐことができるのです。レイラさんはサンドペーパーを使っていましたが、温度が上がり、鋼の切れ味を引き出せていなかった可能性があるそう。

さらに、北岡さんが出したのは、板に包丁がはまるよう釘を打った手作りの研ぎ棒。高速で回転する砥石に強く押し当てることができるため、抜群の切れ味に仕上げることができます。研いだ刃は薄く、0.2ミリほど。

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北岡さんによると、大事なのは「しのぎ」の線を出すこと。しのぎとは、包丁のほぼ中心を通る、山になった部分のこと。しのぎの線をしっかりと作ることで、刃先をより鋭角にできるのです。レイラさんはしのぎの部分を削り過ぎてしまいましたが、少し手直ししてもらい、最後に自分で仕上げをすると、しのぎが復活!

次は、包丁にお化粧を施します。研いだ包丁の表面に砂を吹きかけると、柔らかい軟鉄だけが研磨され、鋼にツヤが出て、境目がくっきりと出ました。2つの金属を合わせる日本独自の鋼付けが、この美しい模様を生み出すのです。

そして最後に行うのが、柄付け。柄にあけた穴の中に包丁を入れ、刃を上にして木槌で柄の底を叩くとガッチリ固定されました。柄を固定するのに接着剤を使っていたレイラさんは「マジック!」と驚きの表情。

大切に使えば一生持つといわれる和包丁。そのため、木製の柄の部分が劣化しても交換できるよう、接着剤を使わず固定するそう。こうして越前打刃物の伝統が詰まった「切り出し包丁」が完成しました。

別れの時。お世話になった皆さんに感謝を伝えたレイラさん。お礼として、包丁の柄に使ってほしいと、100年に12センチしか成長しないというタスマニア島の最高級木材、ヒューオンパインを贈ります。

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タケフナイフビレッジからは、北岡さん作の柳刃包丁をプレゼント。さらに写真入りのメッセージカードも! 思わぬ贈り物に、「ありがとうございます!」と大感激のレイラさんでした。

あれから2年半。レイラさんからのビデオレターを、タケフナイフビレッジの皆さんに観ていただきます。

タケフナイフビレッジのTシャツを着て登場したレイラさん。大好きなお刺身を作るときは、いつも北岡さんの柳刃包丁を使っています。

現在レイラさんは、シドニー大学で国際学を勉強中。実家のあるキャンベラから車で4時間のシドニーで暮らしていて、包丁を作るため、数ヵ月おきに実家に帰っているとか。

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帰国後に練習を重ねたという和包丁作りを見せてもらいます。まずは、鋼付けから。ニッポンでメモしていた配合をもとに、鍛接剤を忠実に再現。電気の力で金属を加熱する高周波誘導加熱炉を使って溶かしていきます。これは短時間で急速に加熱できる装置で、タケフナイフビレッジでも来年作る予定だそう。

熱した鋼を素早く叩いていくと、鋼と軟鉄が一つに。続いてガス炉で均一に熱し、ハンマーで包丁の形にしていきます。鍛造に長い時間をかけると刃がカーブするので、素早く行います。レイラさんの作業する様子を観た北岡さんは「たいしたもんですよ」と感心。

次は、鋼を硬くするための焼き入れ。ニッポンでは水を使用していましたが、オーストラリアでは金属の材質が違い、水を使うとヒビが入ってしまうのでオイルを使うそう。

焼き入れを終えたら、鋼を研いで刃にしていきます。水砥石の代わりに使うのは、カリムさんが作った、水を循環させて砥石の温度を上げないようにする装置。

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研ぎ棒の代わりに木の棒を押し当て、しのぎが半分くらいにくるように研ぎます。仕上げに砥石を使い、刃を鋭くする手つきは慣れたもの。
そして、教えていただいた通り、接着剤を使わず柄を固定させれば、レイラさんの和包丁が完成! アボカドの種まで切れるほど、劇的に進化しました。

実はレイラさん、シドニー大学で国際学を専攻したのは、ニッポンでの経験があったから。ニッポンでの交流で視野が広がり、国際交流の輪を広げる活動をしたいと考えるようになったのです。

「将来的には今学んでいることは生かしながら、もちろん包丁作りを続けたいと思っています」。

レイラさん親子をニッポンにご招待したら、和包丁づくりがより一層進化し、国際交流の輪を広げる夢に向かって走り出していました!

月曜夜8時からは、ゲストに塚田僚一(A.B.C-Z)とギャル曽根を迎え、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」“ご招待で人生変わっちゃった!”を放送!

「ニッポンで“和牛”を食べたい!」
祖父の代から牛を飼育するペルーのルイスさん。念願の初来日を果たし、すき焼き割烹「日山」で人生初の霜降り肉を堪能!さらに「肉カット」のスペシャリスト・沼本憲明さんの元で、和牛の旨さを最大限に高める神業を目の当たりに! そして、幻の「尾崎牛」を飼育する尾崎宗春さんの元で良質な牛の飼育方法を学ぶ! あれから2年半…ルイスさんの牛肉が劇的な進化を!

「宇治の抹茶がどう作られるか知りたい!」
ドイツ・ミュンヘンに住むフローラさん。彼女が愛するのがニッポンの“抹茶”。
「京都の宇治で、抹茶がどのように作られるかを学びたい!」という彼女のために、創業300年の老舗茶農家「茶園清水屋」さんが全面協力し、伝統の栽培法から抹茶が出来るまでの一部始終、美味しい抹茶の入れ方をビデオレターで披露! 彼女の反応は…? さらに、茶農家しか知らない貴重なプレゼントも!

どうぞお楽しみに!

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