近年の「腸活」ブームで「腸内細菌」の存在がクローズアップされていますが、美肌のために重要な「皮膚常在菌」のことは知っていますか？

毎回さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和！」（毎週月～木曜朝9時26分放送）から、肌育成スペシャリスト・川上愛子さんに「菌の力で美肌になる方法」をうかがいました。

「皮膚常在菌」とは？

美しく健康な肌は、酸を含んだ皮脂のベールで覆われ「弱酸性」に保たれています。ニキビなど皮膚に炎症を起こす菌や病原菌は酸性の環境を嫌うので、「弱酸性」を保つことで菌の増殖なども防いでいます。また、ヘルペスなどのウイルスや、爪のカビ（白癬菌）など様々な菌やウイルスから身体を守ってくれるのも弱酸性のベール。肌を「弱酸性」に保つために重要な働きをするのが「皮膚常在菌」なのです。

「皮膚常在菌」とは？
人の体をすみかとする菌「人体常在菌」は、1人の体に10兆～100兆個すんでいるといわれ、人間にとっていい働きをしてくれる菌を「善玉菌」、害を及ぼす菌を「悪玉菌」、環境によって良くも悪くもなる菌を「日和見菌」と呼びます。人体常在菌の中で、肌にすんでいる菌が「皮膚常在菌」です。

3大「皮膚常在菌」の特徴と働き

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お肌の調子を左右する3大「皮膚常在菌」を紹介！

【表皮ブドウ球菌】＝ヒョウくん
肌の表面にすむ「善玉菌」。
皮脂や汗を分解し、うるいおい成分に変えてくれる。
「弱酸性バリア」（皮脂膜）を整え肌を弱酸性に保ち、悪玉菌の繁殖を防ぐ。

【アクネ菌】＝あっくん
毛穴に潜む「日和見菌」。
普段はヒョウくん同様、肌にうるおいを与え、肌を弱酸性に保ってくれている...が、環境が変わると豹変。
毛穴がつまると爆発的に増殖し、ニキビの元を作ってしまう。

【黄色ブドウ球菌】＝おうちゃん
肌が弱酸性バリアで守られている時は大人しいが、アルカリ性に傾くと暴れる「悪玉菌」。
荒れた肌、切り傷などで増え、膿やかゆみを引き起こす。
おうちゃんが勢力を伸ばすと、「日和見菌」のあっくんも悪い道に。

悪玉菌のおうちゃんを退治すればいいかと思いきや、そうではありません。おうちゃんがいることで他の悪い菌が入ってこられなくなるため、肌の正常な機能を維持するのに必要な存在。三者のバランスが大事なのです。肌が弱酸性に保たれていればおうちゃんは悪さができないので、ヒョウくんが元気になる環境を作ることを心掛けましょう。

肌にいいバランスを保つためには？
睡眠不足やストレスはおうちゃんを増やし、あっくんを悪化させる原因に。栄養バランスの取れた食事、適度な運動など規則正しい生活が大事です。お風呂や運動でヒョウくんの好きな汗をしっかりかいて、皮脂を分解してもらい、肌を弱酸性バリアで守ってもらいましょう。

また、過度な洗顔のしすぎや、消毒のしすぎはNG。消毒液は「悪い菌だけを無くす」ことができないので、悪玉だけでなく善玉のヒョウくんまで殺してしまいます。洗顔・消毒の後は必ず保湿して、潤いを保ちましょう。

40代以降の女性の場合は、更年期などによるホルモンバランスの問題もあるため、肌の状態が改善しない場合は婦人科と皮膚科の双方からのアプローチが必要です。更年期には、女性ホルモン（エストロゲン）の減少により、幸せホルモン「セロトニン」も低下の傾向。イライラなどの原因にも。エストロゲンの他にも有名な幸せホルモンといえば「オキシトシン」。オキシトシンは、妊娠・出産時に分泌されることでも有名ですが、ペット、家族、恋人、またはくつろげる毛布など、自分にとって大事な存在を抱きしめることで分泌されるともいわれるホルモン。自分が安らげる時間こそが、心にも体にもお肌にも大切なのです。

規則正しい生活と、表皮常在菌の力を借りて、美しく健康な肌を保ちましょう！

著書「皮膚常在菌ビューティ！」（ワニブックス）は、ヒョウくん、あっくん、おうちゃんの働きを漫画とともにわかりやすく解説。菌の力で美肌に！

取材協力：肌育成スペシャリスト・川上愛子さん。科学的な視点でスキンケアを研究し、2万人以上を美肌に！素肌の持つ力で光り輝く肌を作り出す「洗いすぎない美容」の第一人者。厚労省後援「美容広告管理者養成講座」講師。著書に「こっそりマスク内美容」（主婦の友社）、「 肌が乾くクセを全部やめてみた。」（ワニブックス）など。

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