「女性の楽屋にいなければいけないと思ってしまって...」小手伸也が体験した「何かおかしい」不思議な出来事

公開: 更新: テレ東プラス

舞台の公演で“何か”が…忘れられない不思議な体験

――少しプライベートな話になりますが、小手さんは、これまで何か不思議な体験をしたことはありますか?

「怖い体験ではありませんが…昔劇団をやっていた時、かわいがっていた後輩の女優さんが、公演に向けての顔合わせの日に、事故で亡くなってしまったんです。悲しい気持ちを背負ったまま台本を書き進め、演出家として稽古場を仕切りながらようやく初日を迎えましたが、本番中、僕の調子がどんどんおかしくなって、なぜかどうしても女性キャストの楽屋に行きたくなってしまったんです。
『変な意味じゃないんだけど、ここにいさせて』と頼みこんで、女性キャストの楽屋に居座りました。“自分はここにいないといけない”という気持ちが強くなって…」

――何かに突き動かされて、どうしようもなかったんですね…。

「本番中、モニターで舞台の様子を確認していたら、一瞬亡くなった彼女の顔が見えた気がしたこともありました。終演後に分かりましたが、その日は彼女のご両親が観に来ていたんです」

――それは……もう何と言っていいものか……。

「はい…。千秋楽の打ち上げでは彼女の席を作り、日本酒を供えました。その最中も、重苦しくて涙が止まらなくなったり、僕に異変が起きて…。みんなからも、お清めとして、供えた日本酒を飲んだ方がいいと言われ、背中をバンバン叩かれながら日本酒を飲み干しました。すると、急にスッと何かが抜けて、晴れやかな気分になったのです。
その翌日は、38度の熱を出して倒れました。全部気のせいかもしれないですけど、あの時は、僕に“彼女”がのりうつっていたんだろうなと。でもそれは、怖いことでも嫌なことでもなく、経験できて良かったと思っています。僕の体から何かが出て行った瞬間のあの感覚は、今も忘れていません」

――とても不思議で貴重な体験をされたのですね。小手さんは、そういう感受性が強いタイプですか?

「普段から霊が見えるというわけではないです。ただ、役者ってそういうものを感じることが多いような気がしますし、『ここは霊の通り道になっている』と言う方や“見える”方もいるので。僕らの発するエネルギーって空間に残るんですね。多分生死を問わず。特に劇場とかはそうした雰囲気を肌で感じることが多いので、僕自身としてはオカルトを完全否定はできないというか、ありうる世界なのかもしれないと思っています。目に見える世界が全てというのもおかしな話しですし」

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――タイトルにちなんで、小手さんご自身が、最近「何かおかしい」と感じることはありますか?

「よくよく考えると、僕の仕事が途切れず、ありがたいことに皆さんが使ってくださるこの状況が、“何かおかしい”と(笑)。僕、初めてレギュラー出演したドラマが、2018年の『コンフィデンスマンJP』で、そこからまだ、4年しか経っていないんですよ。
4年前からちょっと遡った自分は、テレビの仕事もあまりなく、とにかく食えなくてアルバイトをしていました。その時の自分と、4年経った今の自分を比べて、何が変わったのかな? と。売れない時代を下積みと捉えられて、いろんな場所で聞かれますけど、僕としては、当時も今もあまり変わっていないというか、気持ち的には今もずっと下積みなんです。あと、バイトしていた頃が下積みだったとしても、ずっと鬱屈としていたわけでもなかったので。
経験値は多少増えているかもしれないですけど、“仕事をもらえている今の自分と、もらえていなかった4年前の自分の違いって、結局何だったんだろう?”と。
ただ、今の状況が“何かおかしい”といったら、それはそれで、お世話になっている各方面の方々に失礼ですから(笑)」

――ご自身としてはあまり変わっていないはずのに、環境が全然違う…それがおかしな感覚だと。

「そうですね。僕、2019年までバイトしていましたから。月9や大河ドラマをやりながら、夜はバイトをする二重生活を送っていましたが、やがてテレビの仕事が忙しくなり、バイトのシフトに入れなくなってしまったので、辞めざるを得なかったんです。そういうことがなければ、多分今も続けていただろうし。
多くの方に知ってもらえる機会が劇的に増えたことが、お仕事につながっているとは思いますが、作品紹介で“豪華俳優陣”と書かれている中に自分の名前があったり、“大物ゲスト”とか呼ばれたりすると、やっぱり“何かおかしい”と感じてしまいます(笑)」

――最後に、小手さんがプライベートでハマっていることがあれば、教えてください。

「今は趣味と呼べるものがないんですけど、今後ハマれたらいいなと思うのは、乗馬です。大河ドラマのクランクインに合わせて結構練習をしましたが、そもそも生き物に乗る経験がなかったので、最初はめちゃくちゃ難しかったんですよ。使ったことのない筋肉を使うので、足がガタガタになったり、激しい上下運動でお尻の皮がむけたり(笑)。でも、そんな中でも、馬とつながれたと感じられる瞬間があるんですよね。トレーナーの方にも『そういう瞬間が増えると気持ちよく乗れるようになるので、教えていて嬉しい』と言っていただけましたし、“馬が好きになれる人なら絶対にハマる”と聞いたので、乗馬を趣味にできたら素敵だなと思いました」

――小手さん、貴重なお話の数々をありがとうございました!

小手さんが出演するドラマ「何かおかしい」は、毎週火曜深夜0時30分放送! どうぞお楽しみに!

小手伸也 プロフィール】
1973年12月25日生まれ、神奈川県出身。劇団innerchildを主宰。作家・演出家・俳優として活躍の場を広げる。PFFスカラシップ作品映画「不灯港」では主演を務め、海外でも高い評価を受けている。大河ドラマ「真田丸」【塙団右衛門役】、「コンフィデンスマンJP」【五十嵐役】と続き、「シンデレラおじさん」としてブレイク。大河ドラマ「どうする家康」(2023年)にも出演する。

(取材・文/伊沢晶子)

【第5話「儀式」】

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中継スタッフ小野寺(樋口日奈)の20歳の誕生日。ということでリスナーのハガキにあった『婚鎮祭』に行くことに。『婚鎮祭』では、20歳の女性しか乗れない特別な神輿があり、乗れるのは儀式で選ばれた女性だけだという。そして、選ばれた女性には素晴らしい未来が待っているといわれている…。
山奥にある村に到着すると、村長をはじめ村人たちが手厚く小野寺を迎え、早速、儀式の準備をしようと急かす。
今まで一切外には漏らさなかった秘密のお祭りだが、今日は取材を受けるという…その矛盾に花岡は違和感を覚えるが、儀式は進んでいく。だが、儀式の衣装に着替えにいった小野寺が一向に戻ってこない。村人の様子も何かおかしい…。そう、実はこの村の儀式には、とんでもない恐ろしい目的があったのだ。さらに、番組スタッフ・MCの本性が暴かれることに。

【第6話 最終話「隅の婆様」】

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中継スタッフ・小野寺の失踪以来、人気急落で打ち切り寸前の『オビナマワイド』は、捨て身の作戦で「あなたのお困りごとなんでも助けます」というリスナーに媚びたコーナーを実施。
すると、『スクエア』という遊びの手伝いをしてほしいという依頼が若者からくる。『スクエア』とは、4ヶ所、場所を決めて、その4ヶ所を一緒に巡ると願いが叶うという都市伝説的な遊び。番組は『スクエア』に参加する若者を募り、手助けをするが、実は『スクエア』には『隅の婆様』という別名があって、とても恐ろしい儀式だった…。

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