トルコ人親子が96歳”ニッポンの母”と涙の再会!恩人・芳代さんの現在は...!?:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

今回は、「感謝のビデオレターが届いちゃいましたスペシャル」をお送りします。

聖地・大阪でたこ焼きを堪能し、高速の焼き技を体験

紹介するのは、メキシコ出身でドイツに住む、「たこ焼き」を愛するヒメナさん。

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ニッポンを代表するファストフード、たこ焼き。2025年開催予定の大阪・関西万博でも出展が計画されるなど、世界中から注目が集まっています。

ヒメナさんは交際5年目のヨハネスさんと2人暮らし。19年前、メキシコの日本食レストランでたこ焼きと出会い、そのおいしさに感動したそう。何とか自分で作ろうとしましたが、インターネットでたこ焼き器を調べると1万円以上。そこで、機械を使わず、強力粉と薄力粉を混ぜて解凍したタコを包む方法を編み出します。しかし、フライパンで焼くとかたくなり、おやきに近い感じに。

たこ焼き作りに使えそうなものを探し、見つけたのはケーキポップメーカー。アメリカ生まれのボール型ケーキを作る器具です。今度は薄力粉だけを使い、食感を良くするために卵も入れ、水も多めの生地で挑戦。一気にたこ焼きらしい食感になりましたが、機械の火力が弱く、ひっくり返すためにフタを開けると温度が下がり、納得できる仕上がりにはならず。

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こうしてたこ焼き作りに使えそうなキッチングッズを探し回ること2年、一口サイズのパンケーキのようなオランダの伝統菓子「ポッフェルチェ」を作る専用のフライパンを発見! ケーキポップメーカーの時と同じ配合の生地を使い、数年かけて試行錯誤した結果、生地はニッポンのたこ焼きに近くなりました。

おいしいたこ焼きが食べたいと日々研究を続けているヒメナさんですが、ニッポンにはまだ一度も行ったことはありません。そんなヒメナさんをニッポンにご招待! 5年前、念願の初来日を果たしました。

早速、たこ焼きの聖地・大阪へ向かいます。まずは、たこ焼きが生まれたと言われる「会津屋」へ。昭和8年創業、ミシュランガイド京都・大阪にも3年連続で掲載された名店です。「やっとここに来られて本当に嬉しいです!」と大興奮!

明治時代、洋食文化の広まりとともに生まれたのが、小麦粉を水で溶いた生地にこんにゃくや牛すじを入れて丸く焼いた「ラヂオ焼き」。そのラヂオ焼きの屋台を営んでいた「会津屋」の創業者・遠藤留吉が、明石焼きをヒントに、牛すじの代わりにたこを入れたのがたこ焼きのルーツと言われています。

「会津屋」にはある特徴があります。たこ焼きが生まれたのは、ソースがまだ一般家庭に広まっていなかった時代。そのため「会津屋」では、今も全てのメニューにソースは塗りません。大阪では、生地の出汁だけで味わう店が多く、何も塗らないたこ焼きは「すっぴん」や「ぼうず」と呼ばれることも。ヒメナさんは「ソースをつけなくてもおいしいんですね!」と、初めてのラヂオ焼きを堪能しました。

続いて向かったのは、大阪で3店舗を構える「十八番」。焼き技が芸術的と評判のお店です。お店の方の手さばきを見たヒメナさんは、その速さにびっくり!

十八番の味のベースは、色鮮やかな小エビ。そこへ天かすをたっぷり加えます。この天かすを外側にまとわせるようにすることで、独特の食感に。味付けはソースのほか、天かすと相性が良い「塩」や、和風出汁につける「天だし」も人気。「外はカリカリ、中はクリーミーで普通のたこ焼きと違うのがよくわかります」。

この食感を出すのに重要なのが、あの高速の焼き技。ヒメナさんの熱意を伝えたところ、特別に教えていただけることに。

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生地には水、小麦粉、出汁の他、牛乳も加えます。これが、生地の粉っぽさを消してクリーミーに仕上げる秘密。たこ焼き器は銅板で熱が伝わりやすいため、焦げないよう素早く返す技術が必要です。

カリッと仕上げるために大切なのは、天かすを入れるタイミング。水分を含んで沈まないよう、生地に熱が通ったタイミングを見極めて天かすを入れ、まとわせながらひっくり返します。右手で生地を銅板から素早く離し、左手をそえて回転。ヒメナさんも挑戦しますが、なかなか速くできません。

さらに難しいのはここから。2回目は、たこ焼きを宙に浮かせ、払うように回転させます。こうすると天かすがはがれず、きれいな丸い形になるそう。宙に浮かせないと銅板と擦れ、天かすが剥がれてしまうそう。みっちり3時間練習させていただき、上手になってきたヒメナさん。最後にお店の方からユニフォームと十八番の天かすをいただき、大感激で握手を交わしました。

続いて、激戦区・道頓堀でも屈指の人気店「本家 大たこ」に向かいます。「大たこ」のたこ焼きは、たこの大きさが特徴。一般的なお店の倍近くあります。

「大たこ」の生地のベースは、兵庫のブランド鶏「但馬どり」の出汁。毎朝1時間以上かけて煮出し、旨味が濃くなるよう丸1日寝かせます。具はたこの味を生かすため、天かす、粉がつお、紅生姜と最小限。味付けはソースに高級青のりと、創業から50年変わらない味です。大きく鮮度の高いたこに感激したヒメナさん。特別にたこの加工場を見学させていただくことに。

たこ焼き用のたこを専門に扱う「上田水産」。「大たこ」では、毎朝茹でたてのたこを仕入れています。いろいろなたこがある中、大たこでは旨味が強く、歯ごたえと弾力が抜群のマダコしか使いません。先端はあまり使わないようにお願いしているそうで、大きさは一般的なものと比べると歴然!

たこを切る時は全て手作業。一本一本、太さも形も違うタコの足を、重さを揃えて切り分けるのは機械では難しいそう。ヒメナさんは、加工の様子を間近で見せていただけたことに感謝しました。

翌日向かったのは、120年以上の伝統を継ぎ、銅製品を製造する「甲野製作所」。ニッポンでも数少ない、手作りの銅板たこ焼き器を作る工場の一つです。ヒメナさんの熱意を伝えたところ、快く受け入れてくださいました。

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たこ焼き器を作るところを見せていただきます。火を通すと柔らかくなる銅の特性を生かし、たこ焼きの型を打ち出していきますが、機械でプレスして打ち出すと厚さにムラができ、焼きにも影響が出てしまうとか。一方、手打ちは厚さを圴一にでき、熱を均等に伝えられるそう。

四代目・甲野浩正さんによると、機械で作ったものは耐久力が落ちるので、たこ焼きをキリで突いた時、弱って穴が空きやすくなるとか。「機械で作ったものは2〜3年で穴があくと思います。手で作るんだったら大体10年ぐらいはもちます」と甲野さん。

型を打ち出した後は、金槌で叩いて銅を締めていきます。これは「槌目をつける」と言い、耐久力を上げ、穴があいたり変形したりするのを防ぐ大切な工程。柔らかくなった銅版が叩かれることで板が締まり、元の銅板の状態に戻るのです。こうして、手打ちならではの良さをもつ、たこ焼きの銅板が出来上がりました。

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「手作業で銅板を作ることが、たこ焼きの食感にとってとても重要だとわかりました」とヒメナさん。すると、甲野さんからたこ焼き器のプレゼントが! 「すごい! 本当にプロ仕様じゃないですか! 宝物にします!」と大喜びのヒメナさんでした。

ニッポンご招待から5年。ヒメナさんから感謝のビデオレターが届きました。

ニッポンで何より印象に残っているのは、「皆さんの幸せそうな笑顔です」。その姿を見て、「おいしいたこ焼きを食べてもらいたいという、その想いこそが大切だ」と感じたそう。

来日の際にいただいたタコ焼き器ですが、実はドイツでは環境問題の観点からガスの使用が制限されていて、家庭でほとんど使えないそう。そのため、家族がいるメキシコに送り、たこ焼き作りを楽しんでもらっているとか。ヒメナさんは以前にも増して多くの友人を招き、たこ焼き講座を開くまでになっていました。

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ここで、ヒメナさんから報告が。同棲していたヨハネスさんと10年の交際を経て、今年の10月に結婚する予定だそう。「新婚旅行はもちろんニッポンです。ヨハネスにも美味しいたこ焼きを食べさせてあげたいです。たこ焼き大好き! ニッポン大好き!」と、幸せいっぱいの笑顔で締めくくりました。

ヒメナさん、ヨハネスさん、新婚旅行での来日、お待ちしています!