東京から1時間の街に異変!子育て世帯と世界的企業が殺到する理由:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

6月3日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「その"弱み"を強みに変える!」。地域が抱える「弱点」をユニークな発想で強みに変え、勝ち残るための武器にしようとする人たちを取材。一見、ネガティブなものをポジティブに変換し、成功へと導く...その現場に迫った。

厳しい自然が、企業にとっては「最適な環境」に

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東西16キロ、南北2.4キロに広がる国内最大級の砂丘「鳥取砂丘」(鳥取市)は、年間約120万人(2012年〜2018年)が訪れる有名な観光地だが、県民にとっては厄介者だという。
鳥取の人たちは、長い間、砂丘の厳しい自然環境と戦ってきた。強風で砂が舞い、冬は雪で覆われ、夏の地温は60度。そのため県民からは「行っても面白いと思わないので、あのゾーンには行かない」との声も。

鳥取は、約54万4000人(2022年4月現在)と、人口が日本一少ない県。大手飲食チェーンが出店を控えるケースもままあり、「スターバックス コーヒー」ができたのも日本で最後だった。
しかし、今、鳥取を代表するスポット「砂丘」を舞台にした思いもよらない新ビジネスが動き出している。目をつけたのは、タイヤメーカー「ブリヂストン」。
「作れないタイヤはない」と自負する「ブリヂストン」は、月面を走る車両のタイヤを開発するプロジェクトに挑んでいた。担当するのは、次世代技術開発統括部門 エンジニア・今誓志さん。「雪や氷、悪路でも地球上の五大陸のさまざまな道を走れるタイヤを提供してきた。次は宇宙、月面になります」と話す。

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月の表面を覆う砂は、柔らかくサラサラ。万が一、タイヤがこの砂に埋もれて動けなくなったら命取りになる。また月面は、昼と夜の温度差が300度にもなるため、ゴムのタイヤだとボロボロになってしまうのだ。
そこで「ブリヂストンは」、タイヤの表面や内部の材質を金属にし、柔らかい砂に合わせて、内部の金属をたわむように設計。柔らかい金属繊維で覆った表面は、ラクダの足の裏の肉球をヒントにして作られた。地面につくと、砂にめり込まないよう自然に広がる。金属製でパンクの心配がないため、がれきの多い災害現場でも活躍が期待されている。

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この実験は3年前から繰り返されてきた。実験のために作られた人工の砂場には120トンもの砂を入れたが、走れるのは十数メートル。開発のペースを上げるためには、もっと広い場所が必要だ。そんな「ブリヂストン」に、鳥取県庁自ら、砂丘を売り込んだ。企業と鳥取砂丘を結び付けたのは、産業未来創造課だ。

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5月、産業未来創造課のチームリーダー・井田広之課長補佐が砂丘を案内すると、視察にやってきた「ブリヂストン」の今さんは、一目見て気に入った様子だった。しかし、砂丘のどこでも実験できるわけではなく、砂に湿り気のある海に近い場所や国立公園などの保護エリア、希少な生物や植物が生息している場所は外さなければならない。

そこで、後日、井田さんが向かったのは、砂丘の西の端。ここは、砂漠化など、乾燥地の様々な問題に取り組む研究所だ。長年砂丘の研究を続けているセンター長・辻本壽さんに相談すると、幅17メートル、奥行きが130メートルある畑の使用許可が下りた。
「ブリヂストン」の実験はこの地でスタート。県はこれをきっかけに、宇宙関連の実験の場を常設することにした。

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一方、ドローン操縦士の育成などを目的とする地元の企業も鳥取砂丘で実験を始めていた。「skyer」の宇佐美孝太社長は、「実証に関して言うとこれ以上ないフィールドだと思う。日本中どこを探しても、鳥取砂丘しかない」と話す。
「skyer」は、災害時の物流をドローンで担う事業を始めようとしており、砂丘の強い海風と巻き上がる砂塵が今回の実験にもってこいだという。この夏には、大手飲料メーカーと組んだ重要な実験が控えている。

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砂丘を舞台にしたビジネスは他にも。また一つ、砂丘に奇想天外なものが生まれようとしていた......。

「印西市って、どこ?」...なぜそこに世界企業!?

「知りません」「インドネシア? インド?」。
東京・渋谷の街ゆく人たちに「印西(いんざい)」の読み方を聞くと、こんな答えが返ってくる。人口約10万人の千葉・印西市は、都心から電車で1時間。立地がいいのにも関わらず、その知名度はいまいちだ。しかし、そんな印西市に、近年大きな変化の波が押し寄せている。

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市民の6割が住む「千葉ニュータウン」には続々と一軒家が建てられ、完売するほどの大人気だ。3年前、第1子が生まれたのをきっかけに、東京・台東区から引っ越してきた齋藤隆一さん。一家が住む家は、敷地面積51坪の一戸建てで、お値段は4000万円台(販売当時)。
車で10分以内の範囲に、巨大なショッピングモール「BIG HOPガーデンモール印西」もあり、齋藤さんは「商業施設や楽しめる所がいっぱいあるので、引っ越して良かった」と話す。
「東洋経済新報社」が調査した「住みよさランキング」では、印西市は7年連続(2012年〜2018年)で全国1位。人口は年々増加し、若い子育て世帯の移住者が増えている。

人口34万人が暮らす「日本一のニュータウン」を目指し、街の開発が始まったのは1966年。待望の一次入居が始まったのは、1984年だった。
しかし、千葉ニュータウンの開発とともに整備された北総線の運賃の高さやバブル崩壊などの理由から、開発計画は当初の半分以下、入居予定も14万人に減少。街には人が住まない造成済みの土地が多く残った。

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だがそれが、結果的には、近年の発展の大きなきっかけに。使われていない土地にホームセンター「ジョイフル本田 千葉ニュータウン店」(2002年開業)ができ、多くの商業施設がこの街に進出。さらに造成済みの土地が余っているため、広い庭付きの戸建てが割安。街は人気となり、大変貌を遂げたのだ。

さらに印西市には、住民も予想だにしなかった"もう一つの変化"が訪れていた。「データセンター」の建設ラッシュが起きているのだ。その中には「グーグル」などの世界的企業も。なぜ、世界的企業が印西市に目をつけたのか......。

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番組では、印西市にそびえ建つ「データセンター」に初めてカメラが潜入、板倉正直市長に話を聞くなどし、急速に変わりゆく印西市の今を見つめる。

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