芸能人がハマる”断食”。ダイエットや長寿...さまざまなメリットが!効果を高めるためのコツと注意点

公開: 更新: テレ東プラス

主治医が見つかる診療所」(月曜夜7時58分から)は、医師や病院の選び方のコツ、無理なくできる健康法など、医療に関するさまざまな疑問に答える、知的エンターテイメントバラエティ。番組では2006年にレギュラー放送開始以来、テーマに沿った最新情報を第一線で活躍する医師たちがわかりやすく解説しています。

さて、今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられたのは、「断食ダイエット」についての質問です。「断食」についてご自身も実践されている同番組レギュラーの石原新菜医師に効果や注意したいポイントについて教えていただきました。

「断食=臓器を休める」ことで体調を整える効果が

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Q:出版社に勤務する30代女性です。美意識が高い後輩が、週に1日だけ断食を行っています。ダイエット効果はもちろん、肌や体調も良くなったとのこと。最近では、芸能人のインスタでも「断食中です」というようなコメントをよく見かけます。私も試してみたいなと思うのですが、実際にはどのような効果が期待できるのでしょうか? 断食を始める際の注意点や成功する秘訣などもあれば教えてください。

――そもそも「断食」にはどういった意味があるのでしょうか。

私たちの体の中にある臓器にとって、最も大変な作業の1つが消化と吸収です。口から入った食物を胃酸で消化して、十二指腸に流し、膵臓(すいぞう)からたんぱく分解酵素などを出して、胆のうから胆汁を出して消化を促進して、ようやく小腸から血液の中に栄養を吸収します。

3食の食事を続けるというのは、この"一大事業"を延々と繰り返している状態になります。常に食べ物が臓器を通っていたら、なかなかメンテナンスをする時間がありません。そこで断食をすることで内臓を休めて、自然治癒力を高めるわけです。

――断食は臓器の休養のために大切なんですね。

これまで血液を汚していた過剰な栄養、尿酸や尿素窒素などの老廃物をエネルギーに変える働きもあります。断食により、余分だったものが生きていくために使われ、結果として血液がきれいになるというわけです。東洋医学では「万病一元、血液の汚れから生ず(あらゆる病気は血液の汚れから生じる)」という言葉があるくらい、血液と健康は密接なものです。

あとはデトックスですね。食事を摂ると消化吸収する臓器に血液が集まり、大腸や腎臓など排泄用の臓器に血液が回りにくくなります。反対に食べなければ排泄用の臓器に血液が行き渡る。すると大便や濃い尿が出るなど、いらないものが出ていく力が強まります。

これらの結果、肌の調子や体調が良くなっていくというわけです。ほかにも長寿に関わる遺伝子の活性化など、断食のメリットはいろいろあります。

――では実際、どれくらいの時間を目標に取り組めばいいのでしょう?

断食を始めて16時間の達成を1つの目安にしてみてください。細胞の自食作用と呼ばれる体の機能「オートファジー」が働き出すのが食事を絶ってからおよそ12〜16時間といわれ、飢餓状態に陥ることで新陳代謝が進んだり、免疫力が高まったりします。

女性の場合、生理前は避けて。断食後の「回復食」に配慮を

doctor_20220529_02.jpg画像素材:PIXTA

――始めるにあたっての注意点を教えてください。

「断食」と聞くと厳しい修行のようなイメージもありますが、いきなり「今日から絶対に2日間食べない!」などと前のめりになると、体や心に変調をきたしてしまいます。まずは朝食だけを野菜ジュースや酵素ドリンクなどに変えてみるといいでしょう。それを何度も繰り返し、空腹感に慣れてきたら、まる1日断食する。さらに慣れたら休日の2日間に断食してみる。そんなふうに自分のペースで少しずつ生活に取り入れていくことをお勧めします。

ちょっとフラフラするようなときは無理せず、具なしのみそ汁を飲む、黒砂糖や蜂蜜を食べるなどしてください。また女性の場合、生理前だと食欲が増したり体がむくみやすくなっていたりします。そうなると効果はあまり期待できないので、生理前の時期は断食を避けたほうがいいでしょう。

断食に「いつからいつまで」の区切りはありません。一生続けなければいけないわけでもないし、反対に自分に合っていると思うなら続けてもいい。とにかく気構えずに、という感じでしょうか。

それと、忘れがちなのが回復食です。断食のあとで急にいつもの食事に戻すと、胃が驚いてお腹が痛くなったり、お腹をこわしたり吐いたりしてしまいます。断食の期間が長ければ長いほど、回復食の期間も長くしなければいけません。最初はおかゆとみそ汁、大根おろしなどから。次のご飯からはそこに湯豆腐や納豆、漬物を足すなど、消化に負担がかからないものを増やしながら、徐々に戻していくといいでしょう。

――「無理せずできる範囲で」と聞くと、試してみようかなという気になります。

昔の人はよく体を動かしていたので1日3食が必要で、さらにご飯とみそ汁、焼き魚と納豆など栄養バランスも良かった。ところが現代は高脂肪・高カロリーの食べ物が多く、運動も不足しがちで、考えなしに3食摂ると栄養過多になってしまいます。

1日2食だけにするのもいい。休日だけ断食をするのでもいい。ちょっと内臓を休める、血液をきれいにする時間をつくるということも現代人には必要だと思いますよ。

――石原先生、ありがとうございました!

【石原新菜(いしはらにいな)医師プロフィール】
イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ講師、本内科学会会員、本東洋医学会会員、本温泉気候物理医学会会員。1980年長崎県生まれ。2006年3月帝京大学医学部卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實医師のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。著書に『お医者さんがすすめる不調を治す10倍ショウガの作り方』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』、『「空腹の時間」が健康を決める』、『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』など。監修に『更年期ってこういうこと図鑑』ほか。2児の母でもある。

※この記事は石原新菜医師の見解に基づいて作成したものです。

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